旭川市大型工事、落札率軒並み99%

 落札率95%以上の公共工事は「談合の疑いが極めて高い」と言われるが、6月に旭川市が入札を行った武道館、東旭川給食調理場、緑が丘複合コミュニティーセンターの建設、旭川空港エプロン拡張など大型工事10件の落札率は何と99%だった。初夏の〝珍事〟に、議会内から「競争原理がまったく働いていない」との声が聞こえてくる。

次点と100万円差
 いうまでもなく、市が発注する大規模工事は、市民の税金が投入されている。とすれば、少しでも建設費を抑え、より安価に建設するというのが市民に対する市政の使命である。
 ところが、6月15日に開会した第二回定例市議会に提案された契約の議案は、「より安価」とはかけ離れたものだった。
 まず、西川将人市長の公約にも盛り込まれていた武道館については、野球場などとともに整備が進む東光スポーツ公園内に建設予定で、本体工事の総額は約10億円が見込まれている。市が事業費の精査を行い積算した結果、工事は二つに分割して発注することに決定した。一つの建物の建設工事を二つの業者に分けて発注すると工事の内容に差が出て、仕上がりに不具合が出そうな感じだが、逆に互いの業者が競い合うため、この方式でも問題はないという。
 2分割された武道館の建設工事はA工区とB工区に分けて入札が行われた。
 入札結果だが、落札予定額いわゆる設計金額が4億9534万円だったAは、8企業体(JV)が参加し、最も近い金額を入札したのは「荒井・廣野共同企業体」で4億9000万円だった。落札率は98・92%。他のJVはすべて99%を超えており、このJVだけが99%をわずかに下回った。と言っても99%をわずか0・08下回っただけで、ほぼ99%。次点のJVとの差は約5億円という大規模事業にも関わらずちょうど100万円の僅差だった。
 そしてB。こちらの設計金額は4億3770万円で、同じく8JVが参加。落札企業は「高・菅原共同企業体」で入札金額は4億3300万円。落札率は98・93%とほぼ99%。次点のJVとの差はAと同じくちょうど100万円だった。

共同調理所も
 こうした高落札率の契約は武道館に限ったことなのか。同じく第二回定例市議会に提案された契約案件を見てみる。
 すると、緑が丘地域に新築される「複合コミュニティ施設」は設計金額が4億7100万円だったのに対し、落札金額は4億6600万円。落札率は98・94%だった。この工事にも8JVが参加にしており、次点との差は130万円。武道館と同様の傾向がみられる。
 また、第2豊岡団地建て替え新築工事については、設計金額が7億6237万円に対し、落札金額は7億5000万円。落札率は98・38%と幾分率は低下しているものの、次点との差はわずか200万円だった。
 そして、市教委が今後の学校給食のモデル事業として進めている東旭川学校給食共同調理所改築工事に関しても、落札金額が7億6300万円だったのに対し、次点のJVとの差は200万円。旭川空港のエプロン拡張工事についても、落札企業体が工事費を2億900万円と見積もったのに対し、次点のJVは2億1100万円で応札。その差は同じく200万円だった。

早期着工のため先議
 これらの新築工事に合わせて空調設備工事や衛生設備工事など合わせて10件、総額41億円の工事契約が議会に提案されたが、工事を急ぐことなどを理由に、議会では慎重な審議を行う特別委員会ではなく、本会議直接の「先議」で決することに議会が同意。関係資料などを求める特別委員会審議には至らなかった。
 6月15日の本会議で、能登谷繁議員(共産)は、契約案件が議会で可決されなければ事業に着手できない現状を踏まえて「できるだけ早く着工したいのは分かるが、議会審議が形骸化しないか、先議を求めた理由を伺いたい」と市の真意を質した。これに対し、市は「先議によらない場合、仮契約から本契約まで一カ月かかる。人手不足から受注業者が現場作業員を確保しつつ待機させている状況もあると聞いている。早期着工が賃金の面においても大きな効果があり、加えて気候が比較的安定しているこの時期の着工が望ましい」と先議に理解を求めた。
 ただ、これまでも6月議会での議決を経て、着工するには遅すぎるという案件があった。近年ではカムイスキーリンクスのリフト整備や学校施設の整備で、6月議会を待たず、5月に臨時議会を招集し議会審議を経るということもあった。早期着工を目指すのであれば、臨時議会で対応するというのも一つの手法ではないか。
 それを10件もの大型工事契約を一括して6月議会に提案し、先議を求めるというのは、能登谷議員が指摘するように議会審議の形骸化につながりかねない。そして、落札率が高止まりしていることについて、市側は「建設業界の人手不足が顕著となっている状況の中で、最大限努力いただいた結果の入札金額であると受け止めている」と述べるにとどめた。

建設費高止まり
 ただ、議会論議の中で岡田政勝副市長は「議会のチェック機能は重要なものと認識しており、今後も先議が必要な場合は議会に対する丁寧な説明はもちろん、議案によっては臨時議会への提案を含め、議会との協議が必要」と述べ、定例会を待つまでもなく、臨時会で対応を検討する考えを明らかにした。
 市の大型工事の発注は、これからも数多く予定されている。
 中でも、市役所の新庁舎建設は110億円を超えるといわれており、今後の最大の目玉事業となる。事業規模から見て当然、数社の企業体による分割発注となるとみられるが、今回の武道館などのように、工区をAそしてBに分けても、落札率が99%台にとどまり、しかも次点の企業との金額差が100万円では、競争原理が働いたとは考えにくい。建設費の高止まりが懸念される。市民の税金をつぎ込む以上、より公正、公平、そして透明な入札になることが望まれている。

表紙1808
この記事は月刊北海道経済2018年8月号に掲載されています。

反対派封じた富良野市「新庁舎」構想

 富良野市の新庁舎建設計画が、6月29日開催の市議会で基本設計の業務委託料を含む1500万円の補正予算案を可決したことで本格的に動き出した。しかし、今後30年もの長期にわたり市民に負担をかける重要な案件ながら、国の財政支援を得るため「2020年度の着工ありき」で、市民との対話が熟さぬまま見切り発車。市は庁舎建設検討委員会をつくって議論を深めていくとしているが、後手後手の取り組み手法に市民からは不満の声も上がっている。

構想を市民に公開したのは市長選後
 富良野市の新庁舎建設計画は今年5月7日の庁議で決定していたが、前市長の任期の関係もあり、北猛俊新市長が構想の推進を確認したのは同月30日の庁議だった。その後、議会説明を経て市民に市庁舎建設基本構想が市民に公開されたのは6月14日。
 北市長は同月18日から始まる定例市議会に新庁舎建設に向けた基本設計の業務委託料1500万円の補正予算案を提出、同時に市民や学識経験者、市議会議員らの構成による新庁舎建設検討委員会を設置する条例案も提出した。
 その定例市議会では、賛成・反対と議員の判断が二つに割れ、採決の結果、かろうじて市長が提出した予算案が通過したのだが、その時の状況は後で触れるとして、まずは市の基本構想の中身から見てみる。
 初めに事業費の算定だが、市では「新庁舎は多様化する行政需要に対応できる機能を備える一方、華美な要素は極力排除し、機能性・効率性・経済性を重視し、建設費用の抑制に努め、将来の世代への負担を最小にしていくことに配慮する必要がある」とし、他の庁舎建設事例を参考にしながら「1平方㍍当たりの事業費は約59万円。新庁舎の建設規模を9800平方メートルと想定すると総額は概ね58億円が見込まれる」としている。

表紙1808
この続きは月刊北海道経済2018年8月号でお読み下さい。