低迷する女性の就業率─道内第2の都市なのに

 「北海道の女性」というと、本州に比べてしがらみが少なく、社会でバリバリ働くイメージを抱きがちだが、直近の国勢調査で、全国9地域の中で北海道の女性の就業率が最も低いことが分かった。その中でも旭川は35市中15位と就業率が低迷。道内第2の都市ながら、女性の就労の場が少ないことが原因のようだ。

道内15位
 右下のグラフは、全国9地域の女性の就業率を示したもの。直近の「平成27年国勢調査」をもとに、15歳以上の人口に対する就業者数を算出したものだ。
 最も就業率が高いのが中部地方で49・21(単位は%。以下同じ)。このエリアの9県すべてが全国平均(45・44)を超えており、富山(50・13)、石川(50・47)、福井(51・70)、長野(50・65)は50%を超える高い就業率となった。
 エリア内で最も就業率が高い福井は、3世代同居が多く、祖父母が子供たちの世話をするケースが多い街として知られている。内閣府が発表した「2017年版男女共同参画白書」では、子育て期の女性が最も活躍している県として紹介されており、特に20~40代前半の女性就業率が高い。
 2位は中国地方(46・52)で、3位が東北地方(46・38)。さらに4位九州(45・91)5位四国(45・54)と続く。首都圏や関西圏から離れた地域の方が就業率が高く、ようやく6位に関東(44・53)がランクイン。のんびりマイペースな印象が強い沖縄(44・07)が7位で、8位が近畿(43・28)。最もランクが低かったのが北海道(42・86)だった。
 こうなると旭川の状況が気になるところ。同じく平成27年度国勢調査のデータを基に、道内34市の女性の就業率を調べてみた。
 左ページの表はその結果を示したもの。上位5市は①富良野(50・88)②根室(48・59)③紋別(46・37)④北斗(46・18)⑤名寄(45・73)。主要都市はランクインせず、小さな街が名を連ねる。旭川は15位(42・96)。道内平均(42・86)を若干上回ったものの、全国平均を2・58ポイント下回る結果となった。

〝隠れ差別〟も原因?
 旭川の女性の就業率はなぜ低いのか。経済的に余裕があり、女性が働く必要がないのか。または専業主婦として家庭を守りたいという女性が多いのか、それとも働きたくても就労の場がないのだろうか。
 ハローワーク旭川の武田龍寿次長は「旭川では以前から男性よりも女性の求職者数の方が多く、18年4月から6月までの新規求職者の累計数も男性1936人に対して、女性は2603人と女性が上回った」と説明する。
 このデータと低い就業率を考えると、旭川では就労を望む女性は多いものの、なかなか就職には結び付かないという図式が見えてくる。
 この理由について、市内の公的機関の就労支援担当者は、「〝隠れ差別〟が一因ではないか」と指摘する。「求人を出す時には年齢や性別で差別をすることが禁じられている。そのため企業は女性の求職者の面接は形だけするが、最終的には男性しか採用しない、いわゆる〝隠れ差別〟が存在している」。
 保守的な企業体質も女性の就労機会を奪っているようだ。雇用問題に詳しい人は次のように指摘する。「女性の場合、子育てや介護などで働く時間が限られるケースが多く、本州では約5割の企業が、女性が自分の都合に合わせた時間帯で働くことができるシステムを導入しているのに対し、道内ではそうした企業は全体の5%に過ぎない。システムを大幅に変更することを嫌がる、保守的な企業体質が女性が働く機会を奪っているのではないか」

柔軟な働き方
 少子高齢化が進み、労働人口の減少が予測される中、女性の労働力は潜在成長率を高めるカギとされている。市内でも様々な業界で人手不足が加速しており、道北・道東地域における企業の雇用人員の過不足を示す「雇用人員判断DI」(※人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を差し引いた数値)からも明らかだ。日銀旭川事務所が6月に発表したデータでは、この数値がマイナス45となり、人手不足感が依然として強いことを印象づける結果となった。
 では職を望む女性に雇用の機会を創出し、労働力として有効に活用するにはどうしたらよいのだろうか。旭川市総合政策部調整課男女共同参画の矢萩恵課長は、「働くことを望む女性が就業し、能力を発揮できるようにするためには、短時間勤務やテレワークなどの柔軟な働き方の導入や長時間労働の是正など,男女ともに働きやすい環境づくりが重要」と話す。
 もちろん女性の就業率が高ければ高いほど良いという訳ではなく、夫の収入が高いほど既婚女性の就業率が減少するというデータも存在する。しかし夫婦共働きによるダブル収入の効果は大きく、女性の就業率が高い福井県は、1人あたり県民所得のランキングで上位に位置している。
 そうなるとやはり、女性の就労の場が増えて、旭川でも就業率が向上することを期待したい。

表紙1809
この記事は月刊北海道経済2018年9月号に掲載されています。

災害の要因は無落雪屋根?

 7月2日から3日午前にかけて猛烈な雨が降り、旭川市内では24時間で195㍉を超える観測史上最高の降水量を記録した。このため市内全域の汚水管が集まってくる忠和地区では3ヵ所のマンホールから大量の水があふれ出し、十数戸が床上浸水する被害が発生した。一見、豪雨による自然災害と見られがちだが、実はその要因をつくった責任の一端が市内全域の住民にもあることを知っておきたい。「忠和の災害は、天災ではなく人災だ」の声も聞こえてくる。

旭川は汚水管と雨水管の分流式
 おいしいと評判で、ペットボトルに詰めて販売までしている旭川の水道水。市民の「上水道」に対する関心は高いと思われるが、「上下水道」とひとくくりにされる、一方の「下水道」に対してはどうだろう。重要性では上水道と同等、あるいはそれ以上なのだが、汚水管が地中深くに埋まっていて普段目にすることがないため、一般的な市民生活の中ではほとんど意識されない存在になっている。
 旭川市内の場合、各家庭のトイレや風呂、台所などの生活排水は、地域にくまなく張り巡らされている汚水管を流れて忠和にある下水処理センターへ運ばれる。また旭川は広域圏下水道として周辺の東神楽、鷹栖、比布、当麻、東川の5町の汚水管ともつながり共同処理をしているため、下水処理センターへ流れていく汚水の量は相当なものとなる。
 つまり旭川市内及び周辺5町の汚水は、直接下水処理センターへつながる台場と神居の一部を除いてすべて、忠和へ忠和へと流れていきそこで合流しているのである。下水処理センターでは実に1日に16万㌧以上の汚水を処理し、石狩川へ放流している。現状の処理能力はギリギリのところにあるという。
 旭川の下水道は、汚水と雨水を別の水路で集め、汚水は浄化処理して川へ放流し、雨水はそのまま川へ放流する、いわゆる分流式を採用している。このため、誤って雨水が汚水管へ流れてしまうと、汚水処理場は想定外の事態となり定量オーバーになってしまうのである。
 汚水管と雨水管の分流式。市民はまずこのことをしっかり意識しておかなければならない。

雨水が大量に汚水管へ流入
 7月2日から3日にかけての豪雨による災害を総括した旭川市は、忠和地区の浸水について、その理由として「汚水管への大量の雨水侵入」を挙げた。通常の汚水以外に雨水が大量に混ざり込んだことにより、全市の汚水が集まってくる忠和地区でマンホールの蓋が破壊し、そこから汚水が道路に流れ出し、近くの忠和体育館駐車場や住宅街が浸水したというものである。
 そして、なぜ汚水管へ大量の雨水が流れ込んだのかの理由として、地下に染み込んだ雨水が汚水管のつなぎ目から管の中に侵入したり、マンホールの蓋の穴から雨水が汚水管に流れ込んだり、さらにそれ以上の大きな可能性として、本来、雨水管へつながっているはずの融雪槽からの排水や、無落雪屋根の上に降った雨水を雨水管へ流すスノーダクトが、市内の多くの家庭で汚水管につながっている状況を挙げた。
 通常の汚水の他に大量の雨水が汚水管に入ってくると、流れる量は通常の2倍から3倍ほどに膨れ上がり、下水処理場の能力の限界を超えてしまう。それが処理場近くのマンホールの蓋の破壊につながってしまう。今回の忠和地区の浸水事故はその典型ともいえるのである。

雨水、融雪水は必ず雨水管へ
 旭川市水道局のホームページを見ると、豪雨当日の7月3日に「大雨による下水道への影響について」として次のような発信を行っている。
 「大雨のときには、汚水管にも大量の雨水が入り込むことから、マンホールから水が溢れ出たり、トイレが一時的に流れにくくなったり、ゴボゴボと音がして水が噴き出す現象が発生することがあります。
 これは下水道施設の不具合によるものではなく、大量の雨水が汚水管に流れ込むため、汚水管が満杯となり流れづらくなることと、汚水管の中の空気が上に押し出されることが主な原因です。ほとんどの場合は天候の回復及び時間の経過とともに収まりますが、降雨量が多い場合は上流から流れ込んでくる水量も増えるため、下流側の地域では雨が止んだ後もしばらくこうした現象が続く場合もあります」
 大量の雨水が汚水管に流れ込むことによって生じる状態を説明し、市民に注意を促す内容のものだが、実は同じ水道局のホームページ上では2年以上前から「雨水・融雪水等の放流先について」として次のような発信もしている。
 「雨水、融雪水などは、必ず雨水桝(雨水管)、側溝に流すか、地下に浸透させてください。
 スノーダクト、融雪機などの排水(雨水、融雪水など)は、汚水桝(汚水系統)に接続しないでください。
 汚水桝は、水洗トイレ、台所、風呂などの生活排水を流すための施設です。汚水桝から下水処理場までの一連の施設(公共下水道)は、使用者のみなさまからの使用料によって管理しており、雨水、融雪水などを流されますと、維持管理に支障をきたします。
 なお、雨水・融雪水などの排水管を水道局で管理する雨水舛(雨水管)に接続される場合は、市役所への道路占用申請のほか、水道局への手続をお願いいたします」
 ホームページ上で呼びかけられている二つの内容をつなぎ合わせて読み解くと、つまりこういうことになる。
 「豪雨で上流から大量の雨水が流れ込むと、下流の汚水管が満杯となり、マンホールから水が溢れ出ることがある。だから雨水や融雪水は必ず雨水管か側溝に流すようにして、決して無落雪屋根のスノーダクト、融雪槽などからの排水を汚水管に接続しないようにしてほしい」
 水道局では、汚水管を流れる水の量が増えるのは旭川市内の無落雪屋根、融雪槽の排水管が、本来つなぐべき雨水管でなく、違反行為にあたる汚水管に接続されている可能性が強いとみているのだ。

無落雪屋根の雨水が汚水管へ
 旭川市水道局では、市内の無落雪住宅の屋根からの排水が、正しく雨水管につながっているかどうか、ほとんど把握できていない。また調査する方法もない。住宅敷地内の地下を掘り起こし、排水管がどうなっているのか確認すれば分かることなのだが、市内だけでも何万戸もある個人の住宅でそれを実施することは事実上不可能。
 雪を屋根に乗せたまま自然に溶けるのを待つ無落雪屋根は、道内を中心にここ20年ほどの間に著しい普及を遂げている。旭川でも近年の新築住宅の大半はこの方式で建てられている。
 無落雪屋根にもいくつかの種類があるが、一般的に普及しているのはスノーダクト方式。屋根の形状を緩やかなM字型にし、中央部分に排水溝(スノーダクト)を設け、雪が溶けた水をそこに集め、排水管を通って雨水管に流すという仕組み。
 これは雪が降り積もるシーズンの話だが、雪のない時期には無落雪屋根は大量の雨を受け止め、雨水管へ流すことになる。しかしその雨水が雨水管でなく汚水管の方へ流れる仕組みになっていると、大雨が降れば下水処理場へ流れていく汚水管があふれてしまう。
 水道局では市内の無落雪屋根からの雨水がかなりの量で汚水管に流れ込んでいるのではないかと見ている。その理由として「本来の雨水管へつなぐと凍結する可能性が高くなるので、生活排水のため1年を通して水温が安定している汚水管の方へつないでいるのではないかと思う」と推測する。

違反行為による災害天災ではなく人災?
 無落雪屋根住宅の新築工事の際、建築確認申請では正しい配管の図面を提出するが、実際の工事にあたっては汚水管につないでしまう。建築業者が勝手にやるのか、建て主が要望を出すのか、ケースはいろいろあると思われるが、結果として雨水管につなぐべき雨水を汚水管の方へつないでしまう。このようなことが相当数あるものと想像される。また、新築の際には正しくやっていても、凍結事故の修理の際に〝改造〟してしまうケースもあるようだ。
 行政はそうしたことを承知していながら、現場を掘り返し、確認する作業ができないでいる。その間に忠和地区の汚水管があふれ出し、住宅に被害をもたらしたのである。天災ではなく人災だと言われても仕方ない。
 人災とするならその責任が誰にあるのか難しいところだが、いずれにしてもなんらかの改善策は見出したい。また、使用料金が生じるはずの下水道の無断使用は、発覚すれば詐欺行為に相当する可能性もある。

表紙1809
この記事は月刊北海道経済2018年9月号に掲載されています。

異常だった 7月の天気

 旭川の天気がおかしい。大雨が降り、夏としては記録的な冷え込みを記録したかと思えば、7月後半は本州を思わせる暑さ。エアコンを設置していない家が珍しくないだけに、猛暑にぐったりしている人も多いはず。気になるのはこうした高温多雨の傾向が年ごとのデータだけでなく、長期的な傾向にも現れているということだ。今年よりも来年、来年よりも再来年と、旭川の天気は「熱く」なっていくのだろうか。

過去100年間の「7月」だけに注目
 気象台のホームページにアクセスすれば、条件を指定して気象に関するさまざまな数値をダウンロードできる。本誌では1919年から2018年に旭川地方気象台で観測されたデータのうち、7月観測分だけに注目して、その変化の傾向を探った。
 まず、今年の7月初旬には台風から変わった温帯低気圧の影響で、短時間のうちに大量の雨が降り、旭川市内で発生した住宅地の冠水被害が全国ニュースで伝えられた。天人峡温泉では一時131人の観光客が足止めとなる事態も発生した。
 旭川の348㍉という月間降水量は過去100年間の7月で1953年(418㍉)、2000年(382㍉)に続いて3番目の多さだった。これは宮前東にある現在の旭川気象台で観測した数値。東旭川瑞穂にあるアメダスによる観測では、2日9時から5日24時までで225㍉という数字が記録されている。
 中旬をすぎると一転して暑い7月となった。25日からは7日間連続で最高気温が30度を突破。本州と九州を襲った台風に伴う気圧配置の関係で、この地域としては猛暑の34度超えも2日あった。ただ、月の前半は悪天候続きだったことから、7月を通してみた平均気温は21・3度。過去100年間では29番目と、顕著に暑かったとは言えない。ちなみに、今年7月5日に記録した一日の最高気温11・6度は、7月としては旭川地方気象台が観測を始めてから最も低かった。

10年間の平均値から長期傾向探ると
 こうした気象データの変化は、年ごとの乱高下が激しい。折れ線グラフを描いてみると急な山や谷が連続し、長期的な傾向は読み取りにくい。そこで、過去10年間の平均値(2018年なら2009~2018年の7月だけの数値を足して10で割ったもの)を計算してみると、一定の傾向が読み取れた。まず過去10年間の7月の平均気温は、2008年の20・4度から2018年の21・39度へと、ほぼ「着実」に上昇し続けた。より長い目でみれば時代によって上昇したり下落したりしているものの、少なくとも1926年、つまり昭和初期から現在に至るまで21度を突破したことは一度もなかった。
 ただし、ここで注意しなければならないのは、2004年8月と同年9月の観測の間で、観測地点が旭川東高付近から宮前東の合同庁舎に移転し、ベースが変わったということだ。周辺の環境の変化が測定される温度にも影響をもたらした可能性がある。観測地点移転の影響がなくなってからの5年間でもこの平均値は上昇を続けているが、今後も同様の傾向が続くかどうか、しばらく注目を続ける必要がありそうだ。
 10年間のタイムスパンで見た平均値の変化がもっと顕著なのは降雨量だ。降雨量は気温よりもさらに1年ごとのばらつきが大きいが、それでも7月の雨が100㍉以上の年が増えているのは明らか。過去10年間の平均値も2018年には169㍉に達した。1974~1999年のいずれの年も、過去10年間をさかのぼった平均値は一貫して100㍉以下だったから、旭川で7月の雨がかなり増えたのは数字の上からも明らかだ。もはや「旭川の夏はそこそこ暑いが、雨が少ないので過ごしやすい」と自慢することはできなくなっている。
 しかし、1974年よりも前に注目すれば、降雨量の長期的な変化にも「うねり」があることがわかる。10年間の平均値は、1960年代には概ね100㍉を上回っており、1962年は164㍉と、現在とほぼ同じ水準だった。見方を変えれば、70年代の中盤から90年代は比較的雨が少なかったとも言える。

「旭川のほうが暑い」と関西人ぼやく
 7月末、旭川市内で開かれたある会合に参加するため、関西地区からやってきた人たちが異口同音に語っていたのは「涼しいと聞いていたのに、こっちのほうが暑いのではないか」との驚きだった。
 プール、ビアホール、かき氷店など、猛暑を追い風に賑わうビジネスはある。しかし体の負担を考えれば、今年以上に暑い7月はもう来てほしくないというのが多くの市民に共通する思いだろう。本稿で指摘した「7月の高温多雨化」の傾向が、今後さらに進むのか、それともどこかで「低温少雨化」へと転じるのかに注目したい。
 ちなみに、旭川地方気象台が観測を始めてからの7月で旭川が最も寒かった日は1890年7月7日で、その日の最低気温は1度だった。もしも旭川が同じ気候に戻れば、農業や産業、市民生活への打撃はともかく、猛暑に苦しむ日本全国の人々が涼を求めて旭川に殺到するのは確実だ。

表紙1809
この記事は月刊北海道経済2018年9月号に掲載されています。