コープさっぽろ旭川2店撤退

 人口減やドラッグストアなどとの競争激化に加え、昨年9月の胆振東部地震も影響して道内主要スーパーの苦戦が続いている。宅配事業が好調なものの店舗事業が振るわないコープさっぽろは営業利益が大幅に減。不採算店4店舗を閉店する方針だが、そのうち2店は旭川のアモール店と4条通店だ。

宅配事業を強化
 道内スーパー業界は、アークス、イオン、コープさっぽろの3グループがしのぎを削っているが、2018年度は人口減に加えドラッグストアとの競合が激化し、さらに胆振東部地震が影響して業績は総体的に振るわなかった。
 アークスは商号変更後、初の減収となり、17年度比0・3%減の5122億4600万円の売上高にとどまった。ただし、営業利益は2・6%増加した。イオンは、マックスバリュ北海道が2・6%の増収となったもののイオン北海道が0・5%の減収で、トータルでは1・3%の減収となった。
 コープさっぽろの売上高は前年比0・5%増の2834億円となったが、営業利益は29%の大幅減だった。宅配事業「トドック」が好調だったが、店舗事業が振るわず、売上高・客数ともに減となっている。
 売上高の約3分の1を占めるようになった宅配事業「トドック」が好調なことから、札幌市内に新たな拠点として、西岡センター、石山センターなどを新設し、取扱品目を増やし注文用スマートフォンアプリも新たに導入する計画。一方で、不採算店4店を閉店する予定だ。
 閉店する4店舗は公表されていないが、本誌が得た情報によると、旭川市内の2店舗「アモール店」「4条通り店」も閉店の対象となっている。

8店舗継承
 コープさっぽろは、旭川市内で現在8店舗を展開しているが、そのうち3店舗─アモール店、4条通り店、ツインハープ店(旭神3の5)は、旧「旭友ストアー」の店舗だった。
 旭友ストアーは旭川電気軌道のスーパー事業部で、最盛期に店舗数は15に達したが、ふじスーパーやアークス、コープさっぽろなどとの競争に敗れ、10年にスーパー事業からの撤退となった。前年に神楽の店は福岡から進出してきたディスカウント「トライアル」に賃貸されていたので、スーパー事業撤退時の旭友の店舗数は14。そのうち、アモール店とツインハープ店、西店(現・4条通り店)、旭町店、それに道南の登別店、萩野店(白老町)、木古内店、福島店の合わせて8店が賃貸され、コープさっぽろの店舗に衣替えした。
 当時、アークスが急成長していた旭川市内では、アークス傘下のふじが17店、道北ラルズが5店を展開。これに対してコープさっぽろは5店だけで、商品調達力で水をあけられつつあった。アークスに対抗し、旭川での勢力拡大のための、旭友ストアーの店舗継承だった。

老朽化の2店舗
 店舗数を増やしたコープさっぽろとアークスの争いは、ダイイチも巻き込んで熾烈になり、そこにイオンも〝参戦〟して今に至るが、「最近勢いがあるのいはイオン系のザ・ビッグだ」と、流通大手の幹部が解説する。
 この幹部によると、現在の食品スーパーの旭川での勢力図は─「宮前の1店舗だけのときは存在感が薄かったザ・ビッグだが、17年11月に旭川2店舗目の緑が丘店を開業してから、EDLP(エブリデー・ロープライス)の手法が旭川市民に認知されるようになり集客好調。アークスやダイイチ、コープさっぽろの既存店を脅かす存在となっている。旭友ストアーから継承したコープさっぽろのツインハープ店とアモール店はザ・ビッグの影響を受けており、アモール店と4条通り店は店舗の老朽化もあって不採算の状態から抜け出せないでいる」。
 コープさっぽろが閉店する4店舗に、アモール店と4条通り店が入っているのは老朽化が理由のようだ。

後継はどこか
 アモール店は1983年(昭和58年)に建った建物で、今年で築36年になる。前述のように2010年に破綻するまで旭友ストアーの店舗だった。店舗面積は4830平方メートル。一方、4条通り店は1976年竣工で、築43年を経ている。コープさっぽろの店舗面積は3300平方メートル。
 コープさっぽろは、アモール店を今年11月30日で、4条通り店を10月31日で閉店すると、大家である旭川電気軌道に通達している。
 賃貸借契約期間は7年余り残っているため撤退時期などについて現在、双方の話し合いが行われているが、今秋で閉店のスケジュールは変わらないと思われる。
 食品スーパー業界は生き残りをかけた激しい競争が繰り返されており、前述したようにイオン系のザ・ビッグがいま台風の目となっている。業界内では「マルカツ地下にあったラルズマートが撤退し市の中心部は食品スーパーが過疎の状態。コープ4条通り店の立地は極めて良い。4500平方メートルという敷地面積も手ごろで、コープさっぽろの後にザ・ビッグ出店という可能性も十分ありえる」と見られている。
 またアモール店の後継テナントとして、ディスカウントの「トライアル」の名前が早くも浮上しているとの情報もある。
 旭友ストアーからコープさっぽろへと引き継がれてきた2店舗の去就に注目が集まっている。

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この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。

田園の雑貨店に本場のこけし

 5月18日、19日の両日、雑貨販売店のsimple(鷹栖町19線13号5)を会場に、こけしの展示即売イベント「ナマラコケシ」が開催され、町内や旭川市、遠くは本州から多くのこけしファンが訪れた。

 加藤美希さんが旭川市内で営んでいたsimpleは、2015年に田園風景に囲まれた現住所に移転し、現在は不定期でイベントを開催している。「ナマラコケシ」は、東日本大震災の復興支援活動をきっかけに東北地方とのつながりができた加藤さんが2015年に第1回を開催、今回が5回目となった。

 かつて農家の住まいだった建物を改装した店舗内には、津軽系、南部系、蔵王系、弥次郎系など様々な系統に属するこけしが陳列された。オーソドックスな作品のほか、ずんぐりとした作品、リンゴのような帽子をかぶったユニーク作品なども出展されていた。会場でろくろ(旋盤)を回しながらこけし作りを披露した津軽の工人、阿保正文さんによれば、こけし産地では伝統的なこけしだけでなく、工人の若い感性が反映された新しいタイプも作られるようになっているという。阿保さんもクラーク博士をモチーフに、右手を伸ばしたこけしを出品した。

 来場者は数々の作品に見入り、じっくりと品定めしていた。

表紙1907
この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。

優佳良織をハスコムが買収か

 2016年12月に破たんした㈱北海道伝統美術工芸村(以下、工芸村)が所有していた優佳良織工芸館など3施設(旭川市南が丘)を、旭川市内の大手不動産業者、㈱ハスコムを中心とする数社が買収する方向で検討している。買収額は1億1000万円。諸経費などを含むと2億円規模となる。6月以降、ハスコムや同業の㈱ホッポウ、旭川市と周辺7町で構成される大雪カムイミンタラDMO(観光地域づくり推進法人)などが合同会社を設立する予定で、将来的には旭川市が所有する東海大学旭川校跡地など優佳良織周辺も含めた場所でリゾート開発の構想もある。近年、旭川ではなかった大規模なプロジェクトだけに、今後が注目される。

ピーク時は年間100万人超の入館者
 ハスコムなど数社が優佳良織3施設を買収する方向で検討していることを報じる前に、同施設のこれまでの経緯を簡単に振り返ってみる。
 1980年に開業した優佳良織工芸館を皮切りに、86年の国際染織美術館、91年の雪の美術館と次々と開業したこれら3施設は、旭川を代表する観光施設として人気を集めた。91年のピーク時には年間100万人を超える入館者で賑わった。
 ところが、90年に道央自動車道深川─旭川鷹栖間が開通し、その直後に旭川新道も全線開通したことで、車の流れの変化から観光バスの運行ルートも変わってしまった。91年にはバブルが崩壊したことで買い控えが広がり、高価な商品の優佳良織には大きなダメージとなった。
 2000年代に入ると売り上げはさらに減少し、年間数億円規模の赤字が続く状態に陥った。施設の建設費などを融資していた複数の金融機関の中で、新生銀行(旧日本長期信用銀行)が、長銀時代の債権回収を急いだため、債権の価値が2割劣化すれば預金保険機構に売却できる「瑕疵担保」の取り決め実施を狙い、04年3月に優佳良織工芸館などの施設売却を申請した。
 それにより、当時施設を運営していた㈱エルム(木内和博社長)は60億円の負債を抱え実質的な経営破たんに追い込まれた。競売にかけられた施設は、05年2月の2度目の競売で、休眠法人の名称を変更して設立した工芸村(木内氏の妻が代表)が1億3000万円で買収するという奇策で取得した。結局、実質的な経営者は木内氏のままで、旭川市内の企業らが支援する形で再開することとなった。

経営好転せず11年後にまた破たん
 ただし、依然として苦しい経営状態は改善しなかった。16年11月に木内氏が死去したことでかじ取り役がいなくなり、同年12月12日、工芸村はやむなく旭川地裁へ破産申請して即日開始決定を受けた。破産管財人は旭川市の成川毅弁護士が引き受け、17年3月21日に第1回の債権者集会が開かれた。
 破産管財人は席上、「施設と工芸品を差し押さえている旭川市の同意を得て一括で売却したい」と説明した。2回目の債権者集会は同年7月に行なわれ、「施設売却先を探しているが、企業との売買契約に向けた実際の手続きは進んでいない」とした上で、「第一債権者である旭川市が所有して活用を考えるのが最適だ」と付け加えた。要は買い手が見つからず、旭川市に丸投げするしかない状態だったわけだ。
 同年10月の3回目の債権者集会になると、出席者は20人足らずとなり、債権回収のメドが立たないことでさじを投げた格好になった。破産管財人は、「施設の買収に向けて民間の3社が関心を示しているものの、契約までに至らない」と報告した。結局、第一債権者である旭川市の西川将人市長が18年1月、施設の存続支援を決定して旭川市と周辺7町が加盟する「大雪カムイミンタラDMO」(以下、大雪DMO)が運営主体となるプランを提案した。
 これには旭川市議会や大雪DMOに加盟する周辺7町からは反発の声が挙がった。
 ある市議は「3施設の土地と建物を取得するに1億円超、建物の改修や耐震補強などでさらに1億円超。3館の再生には少なくとも3億円が必要だ。この資金を大雪DMOが金融機関から借り入れ、営業再開にこぎつけたとしても、将来的に安定した経営が続けられるかはなはだ疑問」と、市の姿勢を批判した。
 7町の面々も「優佳良織の3施設合わせて、年間100万人を超えていた入園者も10分の1程度の約10万人に減少し、経営が悪化した。そんな施設をなぜDMOで抱えなければいけないのか。今後かかる経費も莫大でメリットがない」と切り捨てた。別のある町幹部は、「旭川にある施設だから、旭川市が面倒を見ればいいのではないか」と、いらぬ騒動に巻き込まれることに不快感を示した。

6月以降に合同会社を設立
 このような経緯を経て旭川市が考えたのが、滞納分を含めた固定資産税約5億4000万円を棒引きする代わりに、旭川市や周辺地域も協力して観光文化拠点へと再生するプランだった。
 この提案に対して昨年来、水面下で市内不動産業大手のハスコムや同業のホッポウが旭川市と協議を重ね、滞納分を含めた固定資産税をゼロにし、その上で買収することが決定的となった。買収額は1億1000万円。手続きにかかる諸経費を含め2億円近い投資となる。
 6月以降、ハスコムやホッポウなど民間企業と大雪DMOが新たに設立する予定の合同会社へ3施設を売却して、ひとまず管理を大雪DMOに任せる。具体的な施設の改修や活用方法は今後詰める。合同会社へは、ハスコムの山下潔会長が3000万円、ホッポウとほか数社が2000万円、大雪DMOが10万円を出資する予定。
 正式な契約は6月下旬から7月になりそうだが、大雪DMOで作成した「優佳良織工芸館等の活用に係る総括資料」によると、概要は以下の通り。

観光・文化・健康をテーマに掲げる
 事業名は、「大雪カムイミンタラ観光文化拠点商業複合施設整備」。事業概要は、今後の観光客増加を見据えた圏域の観光振興を一層充実するため、新たにマウンテンシティリゾートを当DMOの活動コンセプトとする中で、圏域の独自性や優位性が高い観光施設案内や文化、健康をテーマに掲げ、情報発信できるシンボル的施設を整備する。
 これにより、周辺の多様な観光や文化資源、施設などと調和した新たな滞在エリアの造成を図るとともに、圏域内さらには道内各地への周遊ゲートウェイ機能を構築する。
 主な施設は、観光に関する情報提供や各種周遊商品の手配や販売を担当する観光文化センターや、優佳良織やアイヌなど北の文化を展示販売、発信する芸術館。健康を意識したスポーツ施設としては、スパやe─sports、フィットネス、キッズパークなどを設ける。そのほか、地元食材を使用した飲食や物販、リゾートホテルなどを整備する計画だ。

「個人で支援する」
 優佳良織3施設を買収する方向で検討を進めているハスコムの山下会長は、次のように今後の展望を語った。
 「まだ決定したわけではないが、旭川市が主導的な立場で公共的なもの、例えば博物館のような施設を運営するというのであれば企業(ハスコム)としてではなく、市民の一人として(個人的に)応援したい。ただし、あくまで具体的な計画が見えてきた段階での話で、市の動きを見守っているところだ」
 一方、運営者の一つとして名前が挙がっている大雪DMOの林良和専務理事は、は次のような見解を示す。
 「合同会社を設立して、ハスコムの山下会長やホッポウの渡邊一憲社長らに協力していただく方向で進めている。買収後は、クラウドファンディングやファンド、専門性が高く高度な開発ができる企業に資金提供を依頼する予定だが、そのためにも買収した施設の中身をより濃くする必要がある。それは大雪DMOを含めた合同会社の使命で、この機を逃さず1市7町の観光振興など地域の活性化を目指すものにしたい」
 また林専務は、「観光施設一つ一つを見るだけでなく、訪れる人たちが自分に見合うものをプランニングして非日常感を味わえリフレッシュできる空間をつくりたい」とも語る。

広域で観光と文化を発信する
 ところで、気になる買収後の展望だが、優佳良織3施設がある場所は、背後に東海大学旭川校の跡地が控えている。土地と建物は東海大から旭川市が譲り受けたものの、具体的な活用法は何も決まっていない。そこで、合同会社の一員となる予定のホッポウの渡邊社長は次のような構想を披露する。
 「旭川を中心に広域で見ると、上川管内はスキーやゴルフ、釣りに温泉など観光資源が豊富で、最近の健康志向を後押しする医療機関も充実している。さらに、外国人に大人気のニセコにはない都市機能(旭川)も備えている。さらに、食材で見ると旭川は海や山のものが集まる都市でレベルが高い。やり方次第では、観光都市として世界に誇れるものを造ることができるはずだ。
 場所としては、優佳良織だけでなく遊休地となっている東海大跡地などを含めた広大な土地に国内外から人を集めることができる施設を考えている。大雪DMOが示した資料にあるように、この構想は好景気が持続している今の時期に始めないともうチャンスはやってこない」
 渡邊社長が力説するように、旭川を中心とした上川管内は自然と食べ物の宝庫で、これまで生かしきれてない部分が多かった。受身で積極的に前へ出ようとしない住民性が邪魔をしてきたこともあるが、ニセコに続き富良野が海外から注目され開発されようとしている。その線上にある旭川市や周辺8町も十分価値のある地域で、優佳良織の施設を地元企業が買収するすることをテコに、広域的な観光と文化の発信地を目指すべきだ。

表紙1907
この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。