旭川の「日本一安いもの、高いもの」

 安ければ安いほど庶民にとってはありがたいのが物価だが、長期的なデフレ傾向が日本経済を蝕んでいると言われれば、いつまでも喜んでいるわけにはいかない。では旭川市内の物価水準は、全国的に見て安いのか高いのか。総務省の物価調査から、日本一高いものもあれば安いものもあることが明らかになった。中には地域おこしに利用できそうな有力な品目もある。

同じパンなのに…
 旭川市内で購入した1個68円のアンパン。一口食べてもなにも特別なものは感じないかもしれないが、実はこれ、「日本一」のアンパンだ。1個68円(税込み)という市内における実勢価格は、全国の主要な81都市(都道府県庁所在地+人口15万人以上の都市)で政府が行った小売価格調査で最も安いという結果が出た。
 この調査は毎年行われており、今年6〜7月の調査結果が8月23日に総務省のウェブページで発表された。旭川の物価水準については「東京よりも安い」「家賃を除けばそれほど安くない、むしろ高い」といった印象論で語られることが多いが、この調査結果を見れば実態が一目瞭然だ。
 たとえば冒頭で紹介したアンパン。旭川の68円に対して、日本一高い那覇、今治での価格はなんと122円だから、高級菓子パンの感がある。では旭川ではすべてのパンが安いかといえばそうでもなく、カレーパン(1個120円)は全国で3番目に高い。同じ炭水化物でも、干しうどんの旭川における価格は1㌔327円で、これは日本一安い。
 以下、比較的高価なものは上から、安価なものは下からの順位で紹介する。品目によっては81都市すべてで価格調査が行われていないものもあり、多少煩雑になるがこのような表現になることをご理解いただきたい。

主要産地より安値
 上川は全国的にみても主要な「米どころ」だが、こしひかりを除くうるち米の値段は1袋5㌔で2060円、安いほうから数えて全国で20位だったから、市内の消費者が顕著にトクしているわけではない。
 このように、物価の水準と、旭川が主要な産地であるかどうかは必ずしもリンクしていない。それを象徴するのが魚介類。海のない旭川だが、まぐろは100グラム323円で全国3番目の安さ。主要な産地である函館は同422円でかなり高め。目の前で採れる高級品が平均価格を押し上げている可能性がある。さばは100グラム64円で、旭川が日本一安かった。スーパーの鮮魚売り場に行けば、販売されているさばの多くは北欧産で、もはや漁港からの距離ではなく、地元消費者の購買力や需要が価格を左右していると考えられる。
 旭川の豚肉好きは恵まれている。豚肉(バラ)は100グラム173円で全国一安く、豚肉(もも)も全国4位の安さだ。これには旭川に有力な生産者が存在していることがある程度影響していると考えられる。
 意外な順位に位置している品目も多い。牛乳(店頭売り、紙容器入り)は1本1㍑で241円。これは全国で8番目の高さだった。少し車を走らせれば多くの牛が牧草を食んでいる風景を目にすることができる旭川で牛乳が高いのは、どういうわけなのか。バターも高い方から数えて18位、ヨーグルトも8位と、牛乳関連商品の高さが目立つが、一方でチーズは全国8位の安さだった。
 広大な畑が広がる旭川。野菜は安値で販売されているはずと思いきや、安い方から数えて全国10位以内に入ったのは生シイタケ(3位)、長イモ(9位)だけ。一方で高い順番に数えれば、ニンジン(2位)、スイカ(2位)、ナス(6位)、ピーマン(7位)など、この地域で栽培されているにも関わらず高値だったものも多かった。この順位には、季節的な需給バランスの変化と今年初夏の天候が影響した可能性がある。

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道内7空港民営化 あいまいな根拠

 8月9日、道内7空港一括民営化について、国土交通省が公表した北海道空港(HKK)を代表とする「北海道エアポートグループ」の事業計画。30年後の姿として7空港合わせて約4300億円を投じて、路線を今より倍以上の142に拡大し、旅客数は今より1.6倍の4500万人あまりに増やす構想を打ち出した。新千歳以外の6空港では赤字経営が続いており、各自治体は、「公的負担を大幅に削減できて空港の基盤強化ができる」などとこの事業計画を歓迎するが、いかにして路線を増やし人を呼び込むのかといった具体的根拠が見えず、根拠があいまいである点を不安視する向きもある。

心地よい言葉を並べた事業計画
 すでに発表されているように、北海道エアポートGは道内7空港の一括運営委託の二次審査で、ライバルだった東京建物㈱を代表とする「SkySeven」グループに約40ポイント差で勝利した。今後は、10月に運営権の設定や実施契約が締結され、年明け早々には7空港一体のビル経営が開始される。その後は、6月に新千歳空港、10月に旭川空港、再来年3月に残る5空港の運営事業が、北海道エアポートG により開始される予定になっている。
 運営会社が決定したことを受け、国交省では8月9日、北海道エアポートGの事業計画を公表した。ところが、30年後という長いスパンで計画が練られているためなのか内容は前向きだが、路線数と旅客数を見てみると、何を根拠に目標値を算出しているのか理解できない内容となっている。
 まず路線数から見てみる。7空港全体で2017年度の60路線を今から30年後の49年度には142路線まで拡大することとなっている。内訳は新千歳が41→80、残る6空港が19→62。国際線と国内線別に見ると、国際線が19→79、国内線は46→68(道内便で重複する分含む)。
 これを各空港別に見ると、新千歳が国際線17→52、国内線28→32。函館が国際線1→7、国内線6→10、旭川が国際線1→8、国内線2→6。釧路が国際線0→4、国内線4→7。帯広が国際線0→4、国内線1→5。女満別が国際線0→3、国内線3→5。稚内が国際線0→1、国内線2→3となっている。

実現できる数字なのか?
 国内線はすでに国内全域に路線が広がっている新千歳を除き、残る6空港を大幅に増やす方針。国際線は新千歳を含む7空港全体がアジア全域をターゲットにした路線拡大を目標に置いている。
 次に空港の旅客数を見てみる。7空港全体では現状(2017年度)の年間2846万人から30年後の49年度に1.6倍の4584万人を目指す。新千歳(2309万人→3537万人)以外の6空港は、同537万人から倍増の1048万人まで拡大する目標を立てている。新千歳以外の6空港ごとの数字を旅客数が多い順に見てみると、函館が179万人→331万人、旭川113万人→238万人、釧路75万人→162万人、帯広67万人133万人、女満別83万人→153万人、稚内20万人→30万人となっている。

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