重機を仮差押えされたしずお建設運輸

 朝日建設㈱(苫小牧市)への経営譲渡推進派とされ解任された斎藤忠春副社長が「不当解任であり、未払い報酬等を支払え」と、しずお建設運輸㈱(今井優子社長)を訴え、旭川地裁は8月24日、工事現場で稼働中のしずおの建設機械30台余りの仮差押えを行った。経営譲渡発表をわずか1ヵ月後に白紙撤回し役員社員の離職が続くしずお建設の混迷はさらに深まっている。(記事は9月6日現在)

次々と運び込まれた重機
公示書
債権者 齋藤忠春
債務者 しずお建設運輸 
 本物件は、旭川地裁動産仮差押命令申立て事件の判決に基づき、本日執行官が仮差押えし保管したものであるから、何人もこれを処分してはならない。
平成28年8月24日
旭川地裁名寄支部執行官

 
 道内を縦断しながら猛威をふるった台風9号が去った8月24日、道央自動車道旭川鷹栖インターそば、旭川市近文の空き地に次々と重機が運び込まれた。債務者であるしずお建設の複数の工事現場からこの日朝、運び出されてきた。仮差押えで集められた重機の数は、近文のこの空き地と、士別市のもう一ヵ所の場所と合わせて33台を数えた。

唐突な解任
 裁判を起こしている余裕のない場合に、債務者の財産を一時凍結するのが「仮差押え」。行うには当然、「裁判所の許可」が必要で、そのためには、裁判所が納得する証拠書類が不可欠となる。
%e3%81%97%e3%81%9a%e3%81%8a 債権者の齋藤忠春氏(63)は今年6月までしずお建設副社長として、同じく6月まで専務だった甲谷亮市氏とともにしずおの業務のほぼすべてを仕切ってきた人物。本誌8月号記事「迷走するしずお建設運輸 経営譲渡白紙撤回までの一部始終」の中で紹介しているように、6月18日に突然、今井優子社長から解任を言い渡された。「理由もなにもなく、〝辞めてください〟といきなり言われた」と、齋藤氏本人は話している。
 齋藤氏に続いて甲谷専務も解任されている。この時は、解任を通告する手書きの紙が社屋玄関近くに貼り出された。
 両氏が解任されたのは、いったんは成立した朝日建設への経営譲渡が、1ヵ月で破談となった〝迷走劇〟の結果だ。7月号8月号で詳報ずみなので、ごくごく簡単に経緯を紹介すると、こうなる。
 80代半ばを超えたしずお建設創業者の佐藤静男氏は「娘の今井社長と、その夫の今井裕氏(グループのかわにしの丘しずお農場社長)に企業経営は無理だ」と判断し、事業継承をM&Aでと、相手先を探した。中古重機の売買で親交があった美瑛町のS氏が仲介し苫小牧市の朝日建設と交渉し大筋で合意。5月26日に「6月末ごろには株式の売却を完了し、佐藤会長と、長女で社長を務める今井氏も退任する」と発表した。ところが6月に入ると一転、雲行きが怪しくなり、今井夫婦が「反社会的勢力がかかわっている今回の経営譲渡は白紙撤回」と主張。反社会的勢力とは、朝日建設とその親会社の水谷建設、それに仲介者のS氏を指しているものと思われる。そして曲折を経て6月23日に今井社長が「白紙撤 
回」を発表した。
 白紙撤回が決まったのは、発表6日前の6月17日で、その翌日に齋藤副社長は唐突に解任を言い渡されたのだった。その後に甲谷氏も解任となるが、「2氏は〝経営譲渡推進派〟と今井夫婦が判断して切られた」と見られている。

表紙1610
この続きは月刊北海道経済2016年10月号でお読みください。