母子家庭貸付金着服した市職員、前職も諭旨退職

 昨年12月、旭川市の外郭団体「旭川市母子福祉連合会」で、嘱託職員M氏(50)が母子家庭向けの貸付金610万円を着服していたことが明るみに出た。M氏が全額を返済したことで市は刑事告発しないことを決めたが、本誌の独自調査でM氏が前職の道職員時代にも金がらみで不祥事を起こし、諭旨退職していたことがわかった。その事実を知らずに採用し今回、事件発覚後の調査でようやく過去の不正が明らかになったわけだが、市はこの経緯をひた隠す。再発防止のためも嘱託職員採用のしくみに問題がないかどうか、検討する必要があるのではないか─。

こつこつ集めた浄財
 旭母連は、旭川市子育て支援部子育て助成課内に事務局を置いている。旭母連の業務の一つ、母子家庭への貸付金制度は、年間に市が200万円を貸し付け、旭母連が自らの活動で集めた200万円と合わせ、合計400万円を原資としている。旭母連が集めた200万円の中には、会員が冬まつり会場で甘酒を販売したり、スタルヒン球場の売店で得た利益を積み立てたものなど、会員が懸命に集めた「浄財」もかなり含まれている。
着服 計400万円の資金は、最大で1件10万円まで、生活に困っている母子家庭から申請を受け、貸し付けている。事件が起きる前年の13年度までは年平均15件程度の申請があり、資金が底をつくことはなかった。返済は無利子で、借り入れた時から1年以内に返済すればいい。貸し付け時期は、市が4月(返済は3月末まで)、旭母連が12月(同11月末まで)とし、お金を借りる時期に融通を持たせ返済をやりやすくしている。
 このように旭母連事務局は、貸付制度の運営を任されているわけだが、事務局の嘱託職員に欠員が出たことから、これを補充するため市はハローワークを通じて14年4月から勤務できる嘱託職員の募集を行った。
 募集に当たって市が踏んだ手順は以下の通りだ。まず、ハローワークから送られてきた履歴書を書類審査し、その中からM氏一人を選び出した。その後、旭母連を管轄する子育て助成課と、市全体の人事を担当する人事課が、別々に面接を行って「問題なし」として採用した。
 採用の決め手になったのは、履歴書の経歴欄に記載されていた「道職員」の経歴。経験も知識もない「素人」を採用するよりも、経験豊かな元道職員のほうが即戦力として働いてくれると期待したのだろうが、皮肉なことにこの判断が後々、大きな問題を引き起こすことになった。

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この続きは月刊北海道経済2017年2月号でお読みください。