愛別町立診療所存続に赤信号

 愛別町の町立診療所の存続に赤信号が点灯している。35年間、一人で町内の医療を支えてきた椎名弘忠院長が今年度限りで辞職する意思を伝えているのに、町長をはじめとする役場幹部は何ら対応策を示さずにいるからだ。医師がいなければ診療所は成り立たない。椎名氏は社会福祉法人の理事長も務めており、このまま進めば、愛別町は医療も福祉も危うくなっていく。

支援少なく院長疲れる
 愛別町立愛別診療所(同町字本町129番地、椎名弘忠院長、病床19)の先行きに暗雲が漂うのは、椎名氏と診療所を設置・管理している町との関係が不穏になっているからだ。長年、一人で診療所を支えてきた椎名氏だが、74歳という高齢に加え、体調面も万全でなくなってきた状況の中で、難しい診療所経営を続ける意欲が失われつつあるのだという。
 意欲を失わせる大きな原因は、ひとえに町の態度にあるようだ。普通なら町に一人しかいない医師は虎の子のように大事にされ、医療行政を担う町長や副町長、保健福祉課長からも一目置かれる存在のはずなのに、椎名氏の診療所経営に関する進言に対して全く反応を示さず、どこ吹く風といった態度なのだ。
 椎名氏は昨年のうちから「もう辞めたい」ともらしていた。懸命に努力を続けながらも、過疎化の進む町の診療所は、赤字を出さない程度でアップアップしている。町の財政から3000万円近くを繰り入れてもらっているが、診療所設備の更新もままならず、医療機能は低迷の一途。
 他町の公立病院や診療所はどうかと近隣自治体の病院特別会計を見渡すと、有床の場合でおおむね2億円から3億円を町費で補っており、愛別町の3000万円がいかにお粗末な金額であるかがわかる。
 椎名氏は町内で特別養護老人ホームいこいの里「あい」を運営する社会福祉法人愛別福祉会の理事長も務めている。この法人もデイサービス部門が毎年500万ほどの赤字を出しており、運営が立ち行かなくなる危機感を抱えている。
 椎名氏は毎年、同法人理事長として町長に赤字の状況を報告し、役場として善後策を講じてほしいと依頼してきたが反応はなく、昨年、あらためて前佛秀幸町長に話した際には「町は民間のことに税金は出せない」と突き放されたという。
 椎名氏はこの時の町長の態度に、さすがにプッツンと切れたようだ。体力的にも精神的にも参っているのである。

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この続きは月刊北海道経済2017年7月号でお読み下さい。