大丈夫か旭川電気軌道 不可解な役員の顔ぶれ

 今年3月の株主代表訴訟で始まった老舗企業・旭川電気軌道の経営スキャンダルは河西利記代表取締役社長辞任に発展した。10月11日に臨時株主総会が開かれいったん役員は総辞職し新役員が選出されたが、取締役6人、監査役1人、計7人の顔ぶれは不可解なものとなった。

河西社長辞任
 発端は、今年3月の株主代表訴訟だった。
 原告は電気軌道の株主24人。訴えによると、「元代表の豊島弘通氏は子会社3社を使って親会社である電気軌道の株式を取得するとともに株式を違法に名義変更し、巨額な背任行為を行った」。本来なら賠償を求める相手は元会長本人だが、2015年12月に82歳で亡くなっているため、損害賠償責任は相続財産に含まれるとして、妻と息子、娘の4人の相続人を被告として2億6433万円の損害賠償を求めた。
 この訴訟は相続人への損害賠償請求にとどまらず、子会社「㈲ヒューマック」の設立時の疑惑、実質的な子会社である「㈱光陽商事」のヒューマックなどへの不可解な事業移転追及へと波及していく。株主代表訴訟が起こされてから3ヵ月後の6月23日に開催された電気軌道の株主総会では、男性株主が「ヒューマック設立時に電気軌道が常軌を逸した低金利で資金を貸し付けたのは利益相反行為だ」と河西社長らを厳しく追及。「子会社である3社(旭友リース、エルヴ、上川商事)に議決権はない。(この総会での)役員改選は無効である」とも訴えた。
 総会開催の直前、光陽商事の社長(電気軌道の会計士でもある)を務めていた税理士の小関健三氏が突然辞任した。光陽商事は、電気軌道相手に燃料とタイヤ、自動車部品などの販売、自動車保険業務を行う会社で、電気軌道株108万5700株を所有する最大の株主。光陽商事の事業は、小関氏が休眠会社を見つけて買い取り新たに登記したヒューマックに次々と移されていた。小関氏が社長を辞任したことで、元社長の小山田実氏がトップに復帰した。
 そして小山田社長は、株主総会で男性株主が主張した「ヒューマックへの低金利貸し付けは利益相反行為」「本来は無い子会社3社の議決権を行使した役員再任は無効」との訴えを入れて、河西社長と大竹泰文専務の解任請求を旭川地裁に起こした。さらに、筆頭株主として電気軌道の臨時株主総会召集も請求。河西社長は「解任の理由が分からない」と、小山田社長に解任請求取り下げを求めたが、ヒューマックなどへの事業移転を画策された小山田社長の河西社長、大竹専務への不信感は強く、取り下げを拒否。結局、河西社長は9月13日に辞任となった。

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この続きは月刊北海道経済2017年10月号でお読み下さい。
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