固定資産税データで空き家対策

 約2万3000軒が「蓄積」し、少子高齢化の結果、今後も増加が確実な旭川市内の空き家。放置しておけば都市環境に悪影響を及ぼすのは確実だが、土地と建物の所有者が認知症などで判断能力を失ったり、相続で所有権が分散したりすることが空き家対策を困難にしている。不動産業界は空き家の活用促進のため市が握る固定資産税関係のデータの活用を希望しているが、旭川市は今のところ他の自治体と比較して慎重だ。

子の世代が流出
 昨年12月5日、旭川市西地区にある築40年の木造2階建てアパートが行政代執行によって強制撤去された。老朽化が進み、モルタルの壁が落ちるなどして、市には周辺住民から苦情が寄せられていた。しかし、この工事にかかった費用は380万円で、市が立て替えた。
 取り壊しの費用を考えれば、こうした強制撤去は倒壊の恐れがあるなど例外的な事例でのみ有効な手法。一般的には、使われていない住宅を市場で転売し、建物を取り壊して土地を再活用、または住宅をリフォームして再活用するのが空き家を減らす現実的な手法なのだが、時代の変化のためにそれが難しくなっている。
 まずは年齢別構成の変化。旭川市の人口が緩やかな減少を続けていることはよく知られているが、年齢別の変化に注目すれば、よりダイナミックな動きが生じている。今年4月1日と20年前(1998年3月末)を比較すれば、60歳以上が61%も増加したのに対して、20~59歳の人は25%も減少している。これは、高齢化と少子化だけでなく、家庭の主要な働き手であるはずの世代が市外に流出したことを意味している。昔なら、父と母が建てた住まいを子の世代、とくに長男が継承して住む、または取り壊して立て直すという流れがあったが、子が旭川市内にいなければ、年老いた親はいつかは子の住むまちに移り住むか、市内の施設に入るしかない。いずれにせよ旭川市内の住まいは必要なくなり、空き家増加の要因となる。
 もう一つの要因が高齢化。所有者が認知症などで判断能力を失い、不動産の処分をできないまま売るタイミングを逸してしまう人が増えた。
 認知症の人が所有する不動産を家族などが売却するには、家族、司法書士、弁護士などを成年後見人に立てた上で、家庭裁判所に「居住用不動産処分許可の申立」を行う必要がある。ただし、家裁が所有者本人のためになると判断しなければ、売却は認められない。
 そもそも、空き家を誰が所有しているのかがわからないケースもある。最後の相続から長い歳月が経っていたり、相続手続きが行われていないことがあるためだ。

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この続きは月刊北海道経済2018年6月号でお読み下さい。