エアアジア道内就航で急増するタイ人観光客

 旭川を訪れる外国人観光客が順調に増加し、年間宿泊数が延べで21万泊を超えそうだ。旭川市が設定した2018年度目標値を軽々とクリアする好調ぶり。新千歳のエアアジアバンコク直行便就航効果でタイ観光客増加が顕著で、韓国、香港を抜いて宿泊数で三番手になっている。

目標値の3倍強
 東日本大震災の影響から2011年度こそ低迷したものの、翌12年度以降、北海道の観光客は5千万人台をキープしている。最新の17年度の実績は5610万人で過去最高を更新した。84%を道内客が占めて4725万人、道外客が11%の606万人、外国人客が5%の279万人となっている。
 人口減などから増加が見込めない道内客に対して、著しく伸びているのが外国人観光客で、自然景観や温泉、食、冬場の雪やレジャーに魅了されて、北海道を訪れる外国人客は6年連続で過去最多を記録している。
 道内の市や町で集計・公表しているのは「外国人宿泊延数」だが、旭川市のこの数値も全道的な外国人観光客増を反映して、東日本大震災の落ち込みから回復した12年度以降増加が続いており、この4年間は過去最高を更新している。
 上に過去10年の旭川市の外国人宿泊延数総計をグラフで示したが、15年度に15万泊を超えた後、2年後の17年度には20万泊をクリアした。市は14年度にまとめた「観光基本方針」の中で、18年度までの「外国人宿泊延数」の目標を「6万泊」と設定したが、これを早々に超えている。今年度(18年度)は上半期4~9月の集計しか出ていないが、その6カ月分だけで外国人宿泊延数は13万6604泊に達しており、前年同期比を約2万1000泊上回っており、下期とのトータルでは21万泊超えは確実な情勢だ。

ビザ緩和が追い風に
 外国人来道者の飛躍的な増加は、国の訪日キャンペーンや官民一体となったプロモーション活動の成果で、大きなイベントを通じて北海道の自然や観光施設、物産などがPRされ、現地の旅行雑誌やテレビで紹介される機会も増えて「北海道観光ブーム」が起きた。
 最初に火が付いたのは台湾で、98年頃に急増し、道内への外国人観光客の入り込みは年間10万人に達し、旭川の宿泊者数も1万人台となった。
 ところが台湾からの旅行者は05年から06年にかけて頭打ちの感が表れ、これに対して確実に増加してきたのが香港。雪や氷に対する関心が高く、訪日ビザ免除や円安香港ドル高が後押しして冬季イベント開催期間中の来道者が増加し、旭川での宿泊数も07年に台湾を追い抜いてトップとなる。
 旭川─ソウルを定期便が就航して06年頃からは韓国旅行者も増える。また04年頃からはシンガポールも驚異的に伸びてくる。一年中高温多湿なモンスーン地帯ということで、四季のある国に大きな憧れがあり、もともと日本と友好的な関係にあったことで、日本の中でもとくに四季が明確な北海道が旅行先として選ばれた。
 先陣を切った台湾、その後の香港、韓国などを一気に追い抜いて旭川の外国人宿泊者でトップとなるのは中国だ。下に、国(地域)別の宿泊延数をグラフにしたが、08年度にはまだ1944泊にとどまっていたが、14年度に2万7610泊をカウントしてトップとなると、15年度は2・3倍の6万3506泊、翌16年度は7万4190泊を記録した。17年度は2割減の5万9330泊となるが、それでも、他国(他地域)に大きな水をあけて宿泊数でトップを維持している。
 中国人観光客急増の最大の要因は、観光ビザ発給条件の緩和。2000年に団体旅行者へのビザ発給が解禁され、09年には富裕層への個人ビザ発給が始まり、以降、発給条件の緩和が進められ、訪日客が増大する。

表紙1903
この続きは月刊北海道経済2019年03月号でお読み下さい。
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