グリーンホテル 富良野土地7500坪取得

今や〝第二のニセコ〟と呼ばれている富良野市北の峰地区で、繊維卸、山室繊維㈱のグループ会社、㈱グリーンホテル(旭川市1条通6、山室淳三社長)が昨年11月、約2万5000平方㍍(7500坪)の農地(一部宅地)を取得した。同社では「まだ農地転用ができておらず使い道は未定」と説明するが、日に日に地価が高騰している注目の地区だけにその行方が注目されている。北の峰で不動産バブルの兆しが見えていることをきっかけに、上川管内一体の一大リゾート構想も再浮上している。

〝脱繊維〟を目指す山室繊維グループ
 グリーンホテルの親会社に当たる山室繊維は、低迷する繊維卸業から脱却するため、早くから全国チェーンの飲食店や書籍販売のフランチャイズ(FC)に加盟して、旭川市内を中心に店舗展開してきた。手始めに1986年、モスバーガーを旭川市内1号店としてオープンした。2000年代に入ると、02年にドトールコーヒー、06年にはブックネットワンと次々にオープンした。直近では15年11月、市内忠和にベビーフェイスプラネットをオープンした。これら繊維卸以外の売上高は全体の半分近くを占めるようになり、利益率も繊維卸部門より高い。
 新たな業態に進出して成功した山室繊維だが、グリーンホテルも一時期、旭川市内でホテルを経営していたものの、宿泊業から脱皮し不動産業を中心に変貌を遂げようとしている。その一つが今回の土地の取得だった。

「外国資本ばかりが買収するのはまずい」
 グリーンホテルが買収した土地は、富良野市北の峰町から同市山部方面へ走る道道沿いから富良野プリンスホテルの敷地に向かった一画。総面積は2万4927平方㍍(7554坪)で、地目は2万2228平方㍍が畑、残る2699平方㍍が宅地となっている。
 何らかの用途に再開発するとなれば、全体の約90%を占める畑を地目変更する必要がある。本誌1月号の現地ルポ「富良野が第2のニセコに」で指摘した㈱レックスコーポレーション(札幌市)が買収した約7000坪も土地の大半が畑で、同社では「転売する可能性もあるが、周りの状況を見ながら5年をメドに用途を考える」と、長期的な視野で再開発を検討している。これは簡単に農地を転用できない現状を指しており、比較的柔軟な姿勢を見せている富良野市、しかも再開発が進んでいる北の峰地区とはいえ、再開発の開始までには時間を要する。
 今回の主役、グリーンホテルの山室社長も、レックス社とよく似たコメントを残している。
 「周りの状況を見てみると、中国人など外国資本ばかりが土地を買い漁っている。それはまずいのではないかと考え取得した。決して転売が目的ではなく、ましてや誰かの代行として取得したわけではない」と前置きし、次のような見解を示す。
「地目がほとんど畑のため再開発をする場合は、地目変更が必要になる。すぐさま変更できるわけではないが、将来的にレストランなどの商業施設を考えている。需要があるといわれているホテルなどの宿泊施設は考えていない。地目変更ができなかった場合は、そのまま農地として活用することも考えている」

全国大手のホテルが狙っていた土地
 地目変更に時間がかかるという事情のために、グリーンホテルが取得する以前、別の企業がこの土地の取得を断念したという情報もある。この企業をよく知る旭川のある不動産業者は次のように解説してくれた。
 「具体的な企業名は言えないが、旭川市内でもホテルを運営している全国大手のホテル業者で、富良野にリゾートホテルを建設する計画があった。どちらかといえばビジネスホテルを主体にしていた企業だが、数年前にリゾート部門を新設してからは全国的にリゾートホテルを建設している。ところが、地目変更に時間がかかるため断念したようだ。その代わり、中富良野町に土地を物色しているようで、すでに取得したという情報も伝わっている」
 このホテル業者はそれほど富良野に執着していたようだが、その背景には富良野が道内有数のリゾート地として、ニセコに代わる人気の場所になるという期待感があるのかもしれない。

高騰する地価 「安い買物」
 グリーンホテルが取得した土地は、日に日に上昇している地価と比較すれば、相対的に〝割安〟だったようだ。地元の不動産業者は「地目が畑ということで、坪単価はせいぜい2〜3万円程度でなかったか。それでもグリーンホテルより前に取得を考えていたホテル業者よりも、総額で1000万円ほど高い金額で取得したようだ」と見ている。
 北の峰地区では、用途が幅広く好立地の土地であれば現在、坪当たり70万円という情報もある中で、地元では「地目変更に時間はかかるかもしれないが、急いで開発しないのであれば、安く取得できたのではないか」との声が囁かれている。
 ところで、北の峰地区は、現状でもう手一杯という情報もある。その理由として、同地区の山手側にある富良野スキー場や富良野プリンスホテルの敷地が一つの境目となり、それらの裾野に当たる土地が売買の対象になっていることが挙げられる。
 旭川のある不動産業者は、「その境目を外れると一気に価値が下がり、売買の対象にならない。ニセコも同様の動きだった」と解説する。
 ニセコ地区で一時期、坪当たり140万円という破格の値段が付いた土地は、同地区の比羅夫(ヒラフ)など限られた場所で、それ以外はたとえ交通の便が良い国道沿いの土地であっても「ひと山いくらといった価格にまで下がってしまう」(札幌市のデベロッパー)。

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この続きは月刊北海道経済2019年04月号でお読み下さい。