旭川駅前にタワマン計画浮上

 空き地、空き家が広がる旭川駅前。中でも再開発に向けた動きが見えなかった1条通7丁目、かつてファッションビルのエクスが営業していた区画で、タワーマンション構想が明らかになった。地元5社と本州の大手デベロッパーがチームを組む。大都市圏で大量に建設された「タワマン」は旭川にも登場するのか。行政が本気で支援するかどうかが焦点だ。

他の区画は動き始めたが…
 北海道第2の都市、旭川。いま、その駅前に広がっている風景は寂しい。駅から見て右側の旧西武旭川店B館は2年半前に閉店。建物を覆うように足場が組まれ、解体工事が始まった。左側に入っていた藤田観光ワシントンホテルも約半年前に閉館となった。仲通りを渡って1条側に行けば、右側の旧西武A館跡地では、ツルハが購入したもののまだ工事は始まっておらず、こちらも空き地のままだ。左側ではかつてエクスが営業していた建物の1階でツルハが営業しているものの、他のフロアーは空き家となっている。一等地だった駅前が、15年前のイオンモール旭川西店、4年前のイオンモール旭川駅前の開店で郊外、駅ナカに人の流れを奪われた結果だ。
 しかし、徐々に再開発、再利用に向けた動きは始まっている。旧西武B館での解体工事開始は、前田住設がビル新築に向けてカジを切った結果。まだ詳細は明らかになっていないものの、進出を希望する企業との交渉を行っている模様だ。
 旧藤田観光ワシントンホテルでは建物の内部を改修して、「ホテルウイングインターナショナル旭川駅前」が7月1日にオープンする予定。現在、準備を進めており、すでに専用サイトでの予約受付が始まっている。
 ツルハが取得した西武A館跡地については、別稿で伝えた通り、徐々にホテルを中核とする計画が明らかになりつつある。現場に動きは見えないが、水面下では着実に動いている様子だ。
 駅前の土地のうち、これまで動きがほとんど見えなかったのが、2014年3月までファッションビルとして営業していたエクスの建物だ。1階にツルハが入居し、買物客や従業員が出入りしているとはいえ、使用効率は低い。地域経済のためにも本格的な再開発が望まれるところだが、これまで噂は聞こえてきても、外部から具体的な動きをうかがうことはできなかった。

旭川市に計画を提出
 3月28日、この区画の土地所有者らが旭川市を訪れ、タワーマンションや商業施設の開発計画を明らかにし、協力を要請した。計画によれば、建物は地上25階建てで、3階または4階までの低層部分は商業施設として賃貸する。上層階のマンションの部屋構成は1LDKから4LDKまで合計110戸程度。最上階とその下の階は4LDKが中心、一部が3LDKとなるが、最上階の4LDKの場合、分譲価格は数千万円を見込む。旭川の集合住宅としては過去に例のない高価格帯となる。建設費用は70億円前後の見通し。
 前例がないといえば、長い間旭川市の商業活動の中心地だった4条以南の平和通買物公園に面した敷地に集合住宅が立つのも、これが初めてのケースとなる。現在、旭川で最もフロア数の多い建物は地上17階の星野リゾートOMO7旭川(旧旭川グランドホテル)と、同じく地上17階のホテルルートイングランド旭川駅前だが、1の7タワマンはこれを大幅に上回るランドマークとなる。
 現在、この敷地はトーエー企業(買物公園側)と旭川小型運輸(ローソン側)が大半を所有し、第一マルサン商事、盛永組、柴滝建築設計事務所が地上権を握っている。エクス時代には多数の関係者の間で複雑に入り組んでいた権利関係はほぼ整理がついた。これら主要なプレーヤー5社と組むのが、全国区の大手デベロッパーだ。エクスの灯が消えた後、再開発については複数のプランが検討されたものの、いずれも実現には至らなかった。豊富な経験を持つ大手デベロッパーの参加で、実現の可能性が高まった。
 タワーマンションの完成後は大手デベロッパーが中心となって販売する。主な売り込み先としては、市内の高齢者を中心とする富裕層、そして外国人を含む市外の富裕層を想定しているとみられる。道内ではニセコに続いて富良野でも外国資本の流入が注目を集めているだけに、このタワーマンションも投資先となる可能性がある。

注目される旭川市の出方
 このプロジェクトの成否を左右するのが、行政の出方だ。5社とデベロッパーは、プロジェクトについてまず旭川市から「優良建築物等整備事業」の採択を受け、市を通じて国土交通省に申請を提出し、市と国交省からの支援(補助金)を獲得することを目指している。民間資金だけでは採算が厳しく、一方で市も財政状況は厳しい。国からの支援は市と同額と決まっていることから、市が中心市街地活性化の観点からどこまで補助金をつけるかが今後の焦点になりそうだ。
 今後のスケジュールだが、正式な計画を市に提出した後、6月末までに国に計画を提出し、認可が下りれば設計を開始。約1年後の2020年に着工。2年の工事を経て、2022年完成を見込む。
 「旭川では高級なマンションが不足している。大手企業支店長クラスが住むのに適した物件が見つからない」との声は、十数年前からあった。中心部からやや離れた住宅街の一戸建てに住んでいた高齢者のなかにも、「冬の除雪や家のメンテナンスが大変なので集合住宅に入りたい」と感じる人が増えている。ここ数年で北彩都に複数のマンションが新たに登場。市役所付近でも本州大手による建設工事が現在進んでいるが、今回明らかになった1の7のタワマン構想はこうしたニーズに応えるマンションの「決定版」。中心市街地に及ぼす影響も含め、今後の行方が注目される。

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この記事は月刊北海道経済2019年06月号に掲載されています。