道内7空港民営化 あいまいな根拠

 8月9日、道内7空港一括民営化について、国土交通省が公表した北海道空港(HKK)を代表とする「北海道エアポートグループ」の事業計画。30年後の姿として7空港合わせて約4300億円を投じて、路線を今より倍以上の142に拡大し、旅客数は今より1.6倍の4500万人あまりに増やす構想を打ち出した。新千歳以外の6空港では赤字経営が続いており、各自治体は、「公的負担を大幅に削減できて空港の基盤強化ができる」などとこの事業計画を歓迎するが、いかにして路線を増やし人を呼び込むのかといった具体的根拠が見えず、根拠があいまいである点を不安視する向きもある。

心地よい言葉を並べた事業計画
 すでに発表されているように、北海道エアポートGは道内7空港の一括運営委託の二次審査で、ライバルだった東京建物㈱を代表とする「SkySeven」グループに約40ポイント差で勝利した。今後は、10月に運営権の設定や実施契約が締結され、年明け早々には7空港一体のビル経営が開始される。その後は、6月に新千歳空港、10月に旭川空港、再来年3月に残る5空港の運営事業が、北海道エアポートG により開始される予定になっている。
 運営会社が決定したことを受け、国交省では8月9日、北海道エアポートGの事業計画を公表した。ところが、30年後という長いスパンで計画が練られているためなのか内容は前向きだが、路線数と旅客数を見てみると、何を根拠に目標値を算出しているのか理解できない内容となっている。
 まず路線数から見てみる。7空港全体で2017年度の60路線を今から30年後の49年度には142路線まで拡大することとなっている。内訳は新千歳が41→80、残る6空港が19→62。国際線と国内線別に見ると、国際線が19→79、国内線は46→68(道内便で重複する分含む)。
 これを各空港別に見ると、新千歳が国際線17→52、国内線28→32。函館が国際線1→7、国内線6→10、旭川が国際線1→8、国内線2→6。釧路が国際線0→4、国内線4→7。帯広が国際線0→4、国内線1→5。女満別が国際線0→3、国内線3→5。稚内が国際線0→1、国内線2→3となっている。

実現できる数字なのか?
 国内線はすでに国内全域に路線が広がっている新千歳を除き、残る6空港を大幅に増やす方針。国際線は新千歳を含む7空港全体がアジア全域をターゲットにした路線拡大を目標に置いている。
 次に空港の旅客数を見てみる。7空港全体では現状(2017年度)の年間2846万人から30年後の49年度に1.6倍の4584万人を目指す。新千歳(2309万人→3537万人)以外の6空港は、同537万人から倍増の1048万人まで拡大する目標を立てている。新千歳以外の6空港ごとの数字を旅客数が多い順に見てみると、函館が179万人→331万人、旭川113万人→238万人、釧路75万人→162万人、帯広67万人133万人、女満別83万人→153万人、稚内20万人→30万人となっている。

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この続きは月刊北海道経済2019年10月号でお読み下さい。
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