旧西武A館にツルハが17階建てホテル

 西武A館跡地を取得し創業の地、旭川市にランドマークを建設する計画のドラッグストア全国大手、㈱ツルハ(札幌市)は、早ければ12月中にも建築申請を提出し2020年3月に工事を着工する準備を進めている。建物の規模は、鉄骨造り地上17階建て。施工は大手ゼネコンと地元の㈱エスデー建設のJVで請け負う予定で、土地取得を含めた総事業費は60億円規模となる。

紆余曲折経て計画固まる
 西武A館跡地の再開発は、2017年12月下旬、ドラッグストア大手のツルハが西武所有の土地(全体の約7割)を正式に取得した時点から始まった。その後、西武から業務の代行を任された三井系の不動産業者、三井物産都市開発㈱(東京)が取りまとめ、地元業者が所有する一部の区画を残してほとんどの土地をツルハが取得した。建物は地下と地上部分全てを解体して更地となった。全体の買収額は「建物の解体費も含めて8億円規模」(市内のある不動産業者)と見られていた。
 新たに建設される建物は、中心市街地という場所柄から旭川市とも協議を重ねた結果、ツルハの創業地への思いや国や市からの補助金など様々な要素が交錯した。結局、市からはわずかな補助金(市と国を合わせても1億円程度)しか出せないという結論に達したことから、ツルハは独自で建物の建設に取り組む方向に舵を切った。

1、2階は商業施設 3階以上がホテル
 そのような経緯を踏んで2019年4月にいったんまとまった計画だったが、「A館跡地には高度利用地区という縛りがあり、10階以上の建物を建設する必要があった。そこで計画を練り直し、ようやく計画が固まったのは11月上旬ごろだったようだ」(市内のある設計業者)。
 その後、旭川市へ練り直された事業計画を伝え、早ければ12月下旬までに建築確認申請を提出する運びとなっている。11月下旬現在でわかっている計画によれば、本体の建物は鉄骨造り17階建て。2階部分までをツルハなどの商業スペース、3階から17階は底地より小さめの建物が建設されてホテルが入居する。外観のイメージとしては、現在の旭川市役所本庁舎のような形になる。
 本体とは別に、緑橋通寄りの土地には鉄骨造り10階建て規模の自走式駐車場も建設される予定になっている。総事業費は、土地の取得や建物の解体費を合わせて60億円規模になる模様。施工業者は、大手ゼネコンと地元業者でツルハとの関係が深いエスデー建設のJVになる予定。

気になるホテルの概要
 気になるのはホテルの概要。本誌では19年11月号で、西武B館跡に隣接する山京エイトビルを買収した㈱アマネク(東京)に関して、ツルハが建設する複合ビルに入居するホテルをアマネクが運営する可能性があると報じた。アマネクは「その点についてはノーコメント」としたが、否定はしていなかった。
 ツルハの建物建設に関わるある建設業者にその疑問をぶつけてみると、「あくまで予定」と前置きして次のように語った。
 「今回の計画の最終決定は、12月下旬に開かれるツルハの取締役会に委ねられている。その場で承認されれば、年内にも建築確認申請提出、年明け2月に起工式、3月に工事着工というスケジュールになる。それと並行して、ホテルの運営を委託する業者と契約することになるが、アマネク社と協議していることは否定しない」
 アマネクは02年4月に設立され、18年1月に商号変更した、まだ歴史の浅い企業だが、最近の実績には目覚しいものがある。同社のHPによると、都内を中心に京都や大分で「アマネク」ブランドのホテルを運営している。温泉地として有名な大分県別府市では、約3800平方㍍の敷地に14階建て266室のリゾートホテル「アマネク別府」(仮称)を建設中。同じく大分県由布院で既存の施設をリノベーションした旅館も運営している。また、箱根で土地を購入し、ホテルを建設する計画(建物建設は出資者を募っている)もある。

再開発で中心街に活気戻るか
 A館跡地の再開発計画が最終局面を迎える中で、駅側(宮下通)にあるB館跡はどうなるのか。11月下旬現在、建物の解体が半分以上進み、予定通り20年2月までに解体作業は完了する。土地を所有する前田住設は「6月までに国へ補助金の申請をするが、構想として100億円近い規模の事業計画を立てている」と説明する。
 一方、近隣の1条買物公園通に面するエクスビルは、国からの補助金決定が早ければ年内に控えており、「承認されれば、旭川市と国を合わせて8億円の補助金を得ることができる」(市内のあるデベロッパー)。補助金の決定を受けて20年には建物など概要は見えてくるはずで、エクスビル再開発に支払われる補助金の額は、B館跡地再開発にも大きな影響を与えることになりそうだ。
 旭川の中心部は、西武百貨店の撤退から3年以上が過ぎる中、その衰退ぶりは隠せないが、A館跡地再開発をテコに、もう一度活気が戻ることを願うばかりだ。

表紙2001
この記事は月刊北海道経済2020年01月号に掲載されています。