旧エクス再開発 政府から「ゴーサイン」の予算

 本誌2019年6月号が伝えた、1条通買物公園旧エクス跡での高層マンション建設計画。その後はこれといった情報がなく、経済界の関係者から本誌には「あのプロジェクトはどうなったのか」といった問い合わせや「結局は消滅してしまったのでは?」といった悲観的な予測が寄せられていた。しかしこの1年、水面下では着実にプロジェクトの実現に向けた作業が進められていた。関係者の口は依然として堅いが、国土交通省の発表を見る限り、唯一残っていた補助金という課題がクリアーされ、事実上の「ゴーサイン」が出たのは確実だ。

国と旭川市から総額4億円余り?
 国土交通省が3月末、ウェブページ上で発表した分厚い資料がある。令和2年度の予算概要から北海道関連分のみを抜粋した128㌻分の資料のうち「社会資本整備総合交付金」の項に、次のような記載を見つけた。「旭川市中心市街地における都市機能や交通結節機能の充実」。その右側には計画策定主体として「旭川市」、配分国費として「5500万円」の記載がある。見逃しそうになる小さな記述だが、これが高層マンション計画の事実上のゴーサインだ。
 前回、この構想について報じた時点で、建設費用は総額70億円前後とみられていた。補助金が5500万円だとすれば少なすぎるが、実際には国と同額の補助金が旭川市から提供されるため、合計1億1000万円。こうした補助金は一括して支給されるわけではなく、工事期間中に分割して支給されることから、工期が仮に4年だとして合計4億円余りに達する計算になる。
 昨年の時点で、プロジェクトの成否を左右するのは4億円程度の補助金が国と旭川市に認められるかどうかとの情報があった。その後、市の幹部からは「あとは国の判断次第」との情報も漏れ伝わってきていた。つまり、市としては補助金の支給に前向きだった。初年度となる2020年度の予算が国土交通省からついたことで、資金面の課題をクリアーすることが確実になったわけだ。

大手開発業者と地元5社が協力
 もう一度、昨年の本誌記事を振り返れば、この計画に参加するのは土地の権利を持つ地元企業5社と全国的なデベロッパー1社。構想では建物は地上25階建てで、3階または4階までの低層部分は商業施設として賃貸される。上層階のマンションの部屋構成は1LDKから4LDKまで合計110戸程度。最上階とその下の階は4LDKが中心、一部が3LDKとなる。最上階の4LDKの場合、分譲価格は数千万円を見込む。旭川の集合住宅としては過去に例のない高価格帯となるのは確実だ。
 本誌には最近、このプロジェクトに関して、「旧エクス建物の1階で現在も営業しているツルハが5月末までに撤退、8月から建物の解体工事が始まり、その完了後、来年8月または9月に新たな建物の工事が始まる」、「1階は地元企業の運営する商業施設、2~6階にホテル、7階から上がマンションになる」といった、昨年の記事の内容とは若干異なる情報も持ち込まれた。その真偽を確かめるべく、本誌は関係者にコンタクトしたが、いずれもノーコメント。ただ、冒頭で紹介した国交省の資料から、少なくともゴーサインが出たことは確実だ。
 タワーマンションの完成後は幅広い販売網を持つ大手デベロッパーが中心となって営業活動を展開する見通し。主な売り込み先としては、市内の高齢者を中心とする富裕層、そして外国人を含む市外の富裕層を想定しているとみられる。現時点では世界のどの国もコロナウイルスの騒動からの出口が見えない状態だが、一つ確実なのは建物が完成するころには騒ぎが収束しているということ。このタワーマンションも富裕層の投資対象となる可能性がある。

函館の開発ラッシュ 旭川でも再現か
 旭川市民が注目すべきはかつての30万都市・函館市(現在の人口は25万人)の駅前の変化だ。昨年1月、道内の老舗百貨店・棒二森屋が閉店したものの、道路を挟んで向かい合う場所にあるWAKO跡地では、2016年にマンションと複合施設を組み合わせた「キラリス函館」がオープンした。建物は地下1階、地上16階建てで、マンションは84戸。低層部分のうち地下1~地上2階は飲食店、物販店、コンビニ、銀行など、3階にVRなど先進技術を使って観光を楽しめる「はこだてみらい館」、4階に「キッズプラザ」が入居している。
 このほか、函館駅に近い一角では昨年12月、ホテルや高級賃貸マンション、昭和の雰囲気を再現した「函館駅前横丁」、スポーツジムなどが入居する11階建ての複合施設「ハコビバ」がオープンした。道内各地にパチンコホールを展開する太陽グループは大門地区で約6700平方㍍の土地を取得し再開発の意向だとも伝えられている。他にも複数のホテル新設計画が同時進行で進んでいる。
 函館では駅前から五稜郭地区に人の流れがシフトしてしまったと指摘されて久しいが、この数年目立つのは観光客の増加による駅前エリアの活性化だ。
 旭川でも中心部の人口減少、イオン旭川西をはじめとする郊外での大型店舗増加で中心街の「地盤沈下」が長年指摘されてきたが、今回事実上のゴーサインが出た駅前の高層マンション・ホテルの計画、そして3月1日に西武A館跡地で着工したツルハの複合商業ビルが、駅前エリアの「反撃ののろし」となるかもしれない。

表紙2005
この記事は月刊北海道経済2020年05月号に掲載されています。