日本最北のCG制作会社 スタジオBACU

 時代の最先端を進むIT産業で、旭川市内の企業が東京の企業と競争するのは難しいと思われがち。実際には、誰でも知っている人気アニメ映画の一部が、市内のスタジオに並ぶパソコンから生み出されている。Studio BACUを訪ねて、CG映像制作の最新事情を探った。

人気アニメ映画 6作連続で参加
 「旭川ではどんなものが作られているの?」─社会科の宿題に取り組む子や孫から質問されれば、数十年前に小学校で受けた授業を思い出しながら、コメや野菜などの農作物、酒、肉、紙パルプ、家具といった品目を教えるはずだが、いまの子どもたちが飛びつく情報がある。「劇場版『名探偵コナン』最新作の映像のかなりの部分が、この旭川で作られている」
シリーズ第24弾となる『名探偵コナン 緋色の弾丸』の劇場公開は、新型コロナ対策のため予定されていた今年春から来年4月に延期されてしまったが、その予告編を動画サイト「Youtube」で観ることができる。例えば劇中に登場するリニアモーターカー。実車を撮影したわけではなく、仮想の車両データをコンピュータ上で「走らせて」、その映像データを合成している。昔のロボットアニメは見る角度によってロボットの体が歪んでいたり、さらにはペンを握るアニメーターによって微妙に形が異なったりしたものだが、コンピューターが莫大な量の計算を行って作り出す「CG」の映像は常に正確だ。
 戦前から昭和に至るまで、問屋街が形成されていた2条通。その13丁目にStudio BACU(スタジオ・バク)がある。2階の部屋には大量のパソコンが並び(その多くには2台のディスプレイが接続されている)、20代を中心とするスタッフたちが制作に取り組んでいた。アニメ映像の制作が仕事だが、ペンを持つ人は一人もいない。
劇場版コナンの制作に、BACUは第19作の「業火の向日葵」(2015年春公開)から参加している。「担当する部分は少しずつ長くなり、最新作では全編約90分のうち半分以上に関わりました。劇場版コナンのCGはすべてうちでやっています」と、BACUのチーフマネージャー・松倉大樹さんは説明する。
 ちなみに、1997年から毎年春に公開されている劇場版名探偵コナンは日本のアニメ産業、映画産業にとっての「大黒柱」的なシリーズ。2018年の「ゼロの執行人」は同年の興行収入邦画部門1位(91億8000万円)、19年の「紺青の拳」は同2位(93億7000万円)だった。毎年決まったシーズンに上映されるアニメ映画としては他にも「ドラえもん」「ポケモン」などがあるが、近年はコナンが稼ぎ頭だ。

表紙2009
この続きは月刊北海道経済2020年09月号でお読み下さい。