議会内から慎重論続出の旭川新庁舎建設計画

ゴーサインでたが

 老朽化著しい市総合庁舎について、市は「建て替えが適当」とする判断を初めて明らかにし、新築計画にゴーサインを出した。裏付けとなる財源も昨年3億円を積み立てたのに続き、今年は5億円を新たに追加する方針を固めた。ただ、新築に対する市民合意、議会の同意はこれからが正念場。西川市長は早期着工に意欲を燃やしているが、議会内では建設場所や事業手法をめぐって慎重論も根強く〝長期戦〟に突入することも十分に考えられる。

積立基金増えず

市役所の主要部局が入居する総合庁舎の建て替え問題は、古くて新しい市政の課題。
古くは、総合庁舎が手狭になり、民間ビルを借りて入居せざるを得なくなった20年以上前〝タコ足庁舎〟を解消して市民の利便性を図るため、新庁舎を建設すべきというものだった。しかし、当時は総合庁舎以外にも老朽化した支所も多く、また新たな文化施設の建設などの市民ニーズがあり、庁舎建設は先送りされてきた。
そんな状況に変化が見られたのは、1995年に突如発生した阪神淡路大震災。大規模な地震が発生する可能性は限りなく低いといわれていた地域での直下型大震災に、日本各地、どこでこのような地震が起きても不思議でないという認識が広がり、全国の各自治体で対応を検討する動きが加速した。大規模地震とは無関係といわれていた旭川市も例外ではなかった。
旭川市は地域防災計画の全面的な改定に着手したほか、総合庁舎の耐震診断を実施。その結果、構造耐震指標(IS値)は3階部分が0・004、最上階が0・288と判明。耐震性に問題がないとされるIS値0・6を大きく下回ることが明らかになり、大地震の際には倒壊の恐れがあることが分かった。
このため、市では耐震や免震、そして改修や建て替えなどを想定し、1998年に旭川市庁舎建設整備基金を設置。民間ビル借り上げを含め、市内各所に分散している庁舎を集約して新庁舎を建設する場合の建設費を約200億円と想定し、うち半分の100億円を目標に積み立てを開始した。
ところがその後は、長引く景気低迷に伴う市税の落ち込みや生活保護費の急増、そして中心市街地の活性化を目指す旭川駅周辺開発事業、いわゆる「北彩都あさひかわ」の事業費捻出などで、財政は厳しさを増して行った。このため、基金は設置したものの14年を経過した2011年度末の基金積立額はわずか3900万円にとどまり、建て替え計画を後押しするような状況にはなかった。

(続きは月刊北海道経済3月号でお読みください)

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