道立旭川21世紀の森、移管話に困惑する旭川市

 旭川市街から東へ約30㌔離れた場所にある体験型野外活動ゾーン「道立旭川21世紀の森」(東旭川町瑞穂)。ここは、「旭川市21世紀の森」に隣接する大雪山の懐に抱かれた施設だが、道は3月21日の道議会で、この施設の運営を2014年度から、旭川市へ移管する方針を明らかにした。ところが、市では必ずしもこの動きを歓迎しておらず、最終判断を先延ばしにしたままだ。はたして、どんな事情があるのか─。

85年に開設 08年から移管検討
道立旭川21世紀の森は、青少年に森林や林業の役割を理解させ、人と森林の望ましい結びつきについて啓発することを目的に1985年に開設。敷地面積は約33㌶で建設事業費2億4260万円。道が設置し、旭川市森林組合が指定管理者となり、毎年5月1日から10月31日までの184日間稼働している。
同施設は、森林学習展示館、キャンプ場、自然観察歩道などを備えている。道の財政逼迫などの理由から2008年11月、旭川市に対して施設の廃止や移管を含めた検討を進めるとの説明があった。
道はその後、公共施設における09年度の知事評価で、「道財政の現状を勘案すると、今後、道立で整備していくことは厳しい状況」としながら、「隣接する市の施設と一体的に利用されているため、運営や整備は市が主体的に行うことが効果的であることから、市への移管を基本として協議を進めることを決めた」という。
これを踏まえ、旭川市には10年1月、道の担当部局から移管について協議したいとの申し入れがあり、11年4月から、道と市で構成する「道立の森あり方検討委員会」を設置し、移管に関する協議をスタートさせた。
このとき、道が移管を希望した施設は、旭川市の道立旭川21世紀の森を含めて道内4ヵ所の「21世紀の森」施設。旭川市以外の名寄、津別、真狩3市町村は、道側からの運営費補助を含む支援策を要望。道は今年2月から3月にかけて、これら3市町村に施設の無償譲渡などの支援策を提示し、移管について合意を取りつけた。
3市町村は当初、撤去費と運営費を要求。これに対して道は最初、2年分の運営費を出すからこれでどうかと妥協案を出してきたが、3市町村は足並みそろえてもう少し支援してくれないかと要望した。すると今年に入り、道から4年分の運営費を出すという話があり、それなら納得ということで3市町村は了承した。
移管後の管理運営、施設整備などについて名寄市は、隣接する市営施設「なよろ健康の森」と一体的に管理運営。名寄市観光振興計画に沿って交流人口を拡大することを目指している。津別町では、隣接する町営施設「スポーツレクリエーション施設」と一体的に管理運営。木の遊具などは隣接する木材工芸館(町営)への移設を検討している。真狩村では、隣接する村営施設「羊蹄山自然公園」と一体的に管理運営を行い、村の「羊蹄山自然公園活性化計画」に沿って施設整備などを検討していく考えだ。
ところが、旭川市の場合、移管後の活用方法や移管施設の範囲などについて、いまだに検討している段階。隣接する市の施設「旭川市21世紀の森」との共用部分や、無償で借りている道有地があり、移管に応じざるを得ない義理があるにもかかわらず、道立の施設を引き受けるメリットがなかなか見い出しにくいためだ。本来なら12年度内に移管を済ませる予定だったが、調整がずれ込み、最終判断が持ち越されている状態だ。

(この続きは月刊北海道経済2013年5月号でご覧ください)