道議会議長選で加藤礼一が見せた「本気」

 党・道民会議が候補一本化を目指し調整を進めてきたが、最終的に加藤と本間が立候補。6月5日に会派所属議員48人による投票の結果、当初、本命とみられた富良野市の本間勲道議(68)を旭川市選出の加藤礼一道議(59)が破り、悲願を達成。旭川選出としては1987年の藤井猛以来、歴代2人目の道議会議長となる。(文中敬称略)

眠れる獅子が本気を出した
 加藤が悲願を達成するのか。それとも序盤、最有力とみられた本間が勝ち取るのか……。
さまざまな予測が飛び交い、ことさら注目された今回の道議会議長選だったが、次期議長ポストを事実上射止めたのは加藤だった。「自分の選挙でも本気を出したことがないのに、〝眠れる獅子〟が本気を出した」とジョーク交じりに加藤の勝利を讃える自民党関係者もいる。
慣例に従えば、道議会の議長候補は最大会派の自民党・道民会議から、副議長候補は第2会派の民主党・道民連合から選ばれ、最終的に本会議の投票で正式に決定する。会派内での候補者選びをめぐって多数派工作が繰り広げられるのが「恒例行事」だ。
議長ポストを当選5期目の議員が担うことも慣例。今回、自民党内で5期目にあたるのは、旭川市の加藤礼一、美瑛町の竹内英順、富良野市の本間勲、そして札幌市南区の丸岩公充と留萌管内の工藤敏郎だった。
とりわけ加藤が所属する「岩本派」内での選考は難航が予想された。岩本派では、リーダーの岩本允が2年前に引退して派内の求心力が低下。さらには前回の衆院選では、岩本派所属の道議、船橋利実が辞職して当選したが、一時は岩本ジュニアの剛人が道1区からの出馬を模索して船橋の出馬を邪魔したとされると、船橋を強力に支援していた派の重鎮、釣部勲が憤慨。このため派内の人間関係がギクシャクし、釣部一派と、岩本、伊藤条一、丸岩らの一派が対立する状況が生じた。こうした事情から、岩本派内での候補一本化は至難の業とみられていた。
5期目の加藤は早くから「議長挑戦」の意向を明らかにしていた。議会関係者の間では「瓦解寸前の派閥に身を置いていては無理。自前でグループをつくらなければ議長ポストを狙うのは厳しい」ともみられていたが、派内の修復を第一に考えた加藤は5月に入り、全道各地の道議の自宅や事務所を奔走。会派内の議員らに支持を求めた。
これに対して、党内最大派閥の旧未来塾では、重鎮の高橋文明が本間に肩入れし、ほぼ本間擁立でまとまっていた。農業政策などに通じた本間が「最有力」で、「丸岩や加藤が挑戦したとしても、本間有利は揺るがない」とさえみられた。
ただ、本間の難点とされたのが現在、議長を務める喜多龍一を中心とするグループ「輝志の会」との関係の薄さだ。喜多グループは人数こそ少ないが、「政策についてなら3日でも4日でも語れる」とされ、勢いのあるグループ。前回、2011年の議長選では、わずか4人の小世帯を率いる喜多が議長ポストを獲得して周囲をあっと言わせた。結局、今回も喜多グループがキャスティングボードを握ることとなった。

(続きは月刊北海道経済7月号でご覧ください)

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