旭川市議会正副議長選、三井続投は「妥協の人事」

 2年交代が慣例化していた旭川市議会の正副議長選出は、現職の三井幸雄が議長に再選されるという異例な結果となった。自民党系、民主党系の議員間での熾烈な対立、分裂の末の〝妥協人事〟。議会内に大きなしこりが残り、今後の市政運営に多大な影響を及ぼすことは必至の情勢だ。(文中敬称略)

三井の圧勝
正副議長を新たに選出する臨時市議会は5月15日に開かれ、まず前日に辞職願が提出されていた議長を選ぶ投票が行われた。
出席議員数は全員で36人。投票は、誰が誰に入れたか分からない無記名で行われたが、無効票はなくすべて有効票。現職の三井幸雄が全体の3分の2に迫る23票を獲得し、圧倒的多数で再選を決めた。
次点は、自民党系議員で構成する野党第一会派の公正クラブに所属する武田勇美。獲得票数は13票で、三井とは10票の大差が付いた。
前回の議長選では、西川与党の第一会派である民主・市民連合に所属する三井が16票、そして公正クラブが擁立した園田洋司が16票と同数であったため、前代未聞の〝くじ引き決着〟となり、その結果、三井が勝利したという経過がある。
当時の議会内の会派構成を見ると、三井は所属会派の民主・市民連合から11票を得、それに無所属票5票を加えた。一方の園田は所属会派の公正クから6票、同じ自民党系ながら会派の違う市民クから5票、そして公明からも5票を獲得していた。共産は独自候補を擁立したため、議長選を左右する票は共産の4票を引いた32票。これを、三井と園田がちょうど半分ずつ獲得したため、同数となりくじ引きになった。
ところが今回は三井が7票も上積みした。一方の公正ク候補の武田は3票減らした。結果、三井の圧勝となった。
最終決戦の構図から見ると、前回と同様に西川与党の民主・市民連合選出候補と公正クラブ選出候補の争いである。それがなぜ、わずか2年しかたっていないのにこうも大差がついたのか。その要因は、会派間対立、会派内分裂、票固めのための駆け引き、個人的な怨念と様々。一筋縄ではいかない政治の世界、人事の複雑さを見せ付けるものとなった。
まず新しい動きとして、議長選の直前まで民主・市民連合に所属していた岩崎正則が、無所属の金谷美奈子と合流して、新会派「無所属G(ジー)」の旗揚げがあった。2人だけの小所帯ではあるが、この2票が議長選の行方を最後に決めかねない重要なものと見られた。
2人は前回、三井に投票している。どう動くか注目されたが、今回は公正クの武田に回った。これで三井は前回より2票減らすことになった。
それでも三井は前回から7票上積みした。それは、前回は園田に投票した市民クと独自候補を擁立した共産がいずれも三井に投票したからだ。2会派の所属議員数を合わせると9票。つまり、2票減っても9票新たに加わったことで圧勝につながった。

北高同期の確執
それでは前回、共闘を組み園田を支援した市民クがなぜ三井に投票したのか。実は前回の議長選で、市民クは公正クの園田を支援する代わりに、2年後の今回は市民クの杉山允孝を支援してくれるよう、両会派幹部間で内諾が出来ていたのである。

(続きは月刊北海道経済7月号でご覧ください)

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!