社保料過少納付した会社を提訴 3年半の戦いに勝った元社員たち

 東日本大震災後、雇用安定のための助成金をだましとった疑いで仙台の会社の女社長が逮捕された。実はこの会社に対しては、元社員の社会保険料を不当に安く抑えて納めていたとして、道内に住む元社員への損害賠償を命じる判決が下されたばかり。違法行為と不適切な行為が相次いで明るみに出た。

3年半の争いようやく勝利
7月1日、テレビやネットのニュースで、ある人物の逮捕が伝えられた。各社の報道を総合すれば、逮捕されたのは㈱東北医療器械(仙台市青葉区)の木村かほる社長(61歳)と、同小西玲子取締役(55歳)。2人は従業員に支払う休業手当の一部が助成される中小企業緊急雇用安定助成制度を悪用、東日本大震災が発生したあと約2ヵ月間にわたって従業員31人に休業手当を支払ったと虚偽の申告をして、宮城労働局から824万円をだましとった疑いがもたれている(2人の認否は明らかにされていない)。
この仙台で起きた事件について、道内のマスコミの扱いは小さかったが、旭川市内には何人か、このニュースを聞いて特別な思いを抱く人がいた。彼らは3年半にわたって木村社長と法廷で争い、最近になってようやく勝訴したばかり。助成金詐取容疑に対する捜査はこれからだが、この企業が従業員の社会保険料をめぐって不適切な行為を働いていたことは、民事訴訟で認定されている。
札幌地裁で5月29日、鳥居俊一裁判長の下した民事訴訟の判決。裁判の被告は木村社長が経営する東北医療器械で、原告は伊藤陽子氏ら元社員8名(うち6人が旭川市内在住)だ。原告は東北医療器械が社会保険事務所(現年金事務所)に対して虚偽の標準報酬月額(厚生年金保険料算定の基準とするため、給与などの報酬を区切りのいい数字で区分した金額)を申告したため、受け取れる厚生年金が減ってしまったと主張。損害額と慰謝料の支払いを求めていた。判決は8人の被告のうち6人について7万5000円~54万9000円を支払うよう被告に命じ、慰謝料については原告らの訴えを退けた。裁判所は事実認定と判決理由のなかで、原告の主張のうち重要な部分をほぼ認めている。被告側が期日までに控訴しなかったことから、判決はこのまま確定した。

若き社労士がサポート
東北医療器械はもともと、マッサージチェアの販売事業を手がけていた。現在はリゾートホテルでのエステ事業に主力を移しており、北海道から東北、関東にかけての地域で約200店舗に680人のエステティシャンを派遣しているほか、マッサージ業、エステスクールの経営も手がけている。同社ホームページによれば資本金は5000万円、2012年1月期の売上高は33億円だ。マッサージチェアの販売で築いたリゾートホテル業界との密接な関係が、その後のエステ事業の拡大を助けたとみられる。

(この続きは月刊北海道経済8月号でご覧ください)