「暮らしの便利帳」旭川市からの協力要請に地元企業から疑問の声

 2年前に発刊された「旭川市暮らしの便利帳」。旭川市の概要、公共機関の連絡先、行政手続の概略などの情報が網羅され、転入者だけでなく、市民からもわかりやすいと評判だ。今年9月には2014年版の発行が予定されているが、この再版に関する告知が地元企業から見ればわかりにくかったこと、編集・印刷・広告集めを全面的に委託されている㈱サイネックス(大阪市)を、旭川市が支援しているかのような内容を含む文章が配布されたことが、波紋を広げている。

財政難の中で渡りに船
「旭川市暮らしの便利帳」(以下、便利帳)は、2年前の2012年8月に発刊され、市内の全戸へ17万7千部が配布され、転入者分として約2万1千部、合計19万1千部が発行された。この便利帳は、A4サイズでフルカラー、160ページを超える冊子で、「わかりやすく、文字通り便利な情報誌」と、市民から高い評価を受けた。
市では、かねてから市民が使いやすい便利帳の発行を模索してきた。市広報公聴課は「転入者向けの冊子は以前から作っていたが、税金や福祉関係などの制度改正が相次いだため、以前から住んでいる市民に対しても定期的に同じような便利帳を発行することを考えていた」という。
そこで市はいまから3年前の2011年、市内の広告代理店などに便利帳発行に関する見積りを依頼したが、「全般的に高価格だった。中には5千万円という高額な見積りもあり、財政難のなかこれは難しいと判断」(同課)して、この構想は持ち越しとなった。
その後、広告代理店のサイネックスから、「便利帳発行に関わる費用をすべて当社が負担する代わりに、広告など便利帳の内容はすべて当社に任せてほしい」という提案を受けた。高額な費用に頭を悩ませていた市としては、民間が発行を無料で引き受けてくれるサイネックス社からの提案はまさに渡りに船で、協議もそこそこにすぐさま委託が決定した。
サイネックス社は、全国で400以上の自治体で便利帳を発行しており、道内では札幌市をはじめ千歳市や北見市などで実績を持っている。直近の売上高は100億円を超える規模(14年3月期)で、全国各地の自治体と契約を結んでいる。
市内のある広告代理店の関係者は、「サイネックス社は経費を抑えるため、臨時で人を雇い電話営業で広告集めをする。旭川の便利帳の規模であれば、制作や人、印刷、配布などにかかる経費を合わせると、5千万円の広告収入が採算分岐点」だという。この関係者は「再版となれば初版との共通部分があるため2、3割は安くできるはずで、今回も制作を引き受けたということは、十分採算が取れると踏んでいるのだろう」とみる。

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この続きは月刊北海道経済2014年8月号でお読みください。