2014旭川市長選 自民党土壇場で東国幹に出馬要請

 旭川市の西川将人市長が8月8日、任期満了に伴う市長選に3選を目指して出馬する方針を表明。これに急かされた形で、自民党旭川支部は候補擁立に向けた人選作業を再開。支部長を務める東国幹道議に土壇場で出馬を要請して最終調整をはかりたい考えだ。仮に東氏が出馬を受諾し、西川市長との一騎打ちとなれば、〝東西対決〟となるが…。(記事は8月8日現在)

前回より早めの出馬宣言
西川市長は7月29日夜、ロワジールホテル旭川で開かれた後援会主催のビールパーティーでこの秋の旭川市長選(11月2日告示、9日投開票)に前向きな姿勢を示し、8月8日には出馬を表明した。前回、2010年市長選では9月上旬に出馬表明し、支援者から「時期が遅い」との指摘もあり、今回は早めの表明を模索していた。
東西川市長は06年に民主党の推薦を受け、新人5人が乱立する混戦を制して初当選。子育て支援や企業誘致の促進などを軸に市政の舵取りを担ってきた。昨年は贈収賄事件で市職員が逮捕されたものの、入札制度の見直しを打ち出し、組織的な関与はなかったと主張、西川市長個人にとってそれほど大きな打撃にはなっていない。

アベノミクスも追い風に
財政面については、市税収入の回復などを通じて困難な状況には陥っていないばかりか、自民党にとって皮肉なことに安倍政権の経済政策「アベノミクス」の財政出動によって公共事業が増え、旭川の景気も若干、持ち直してきている。このように西川市長にとって、決して市長選に向けて逆風は吹いていない。
この4年間、西川市長は主要公約に位置づけていた「まちづくり基本条例」の制定など、ソフト面の施策にも力を注いできた。現在、最重要課題の一つとしてとらえているのが、中心市街地の活性化問題だ。今年度、旭川市は買物公園周辺を高齢者のための健康づくりの拠点として整備していく構想を掲げている。
老朽化に加え、耐震性に問題のある市庁舎の建て替えについては、財政面や建設地などの議論が今後、本格化する見通し。ただ、2期目の公約に掲げたはずの北彩都地区シンボル施設構想は、民間企業からの応募がなく難航しており、西川市長はこうした課題に継続して取り組む考えだ。
8月8日の記者会見で西川市長は「子育て支援や地域力の向上、旭川空港の機能拡大、再生可能エネルギーの導入などにも積極的に取り組み、市民と議論を進めながら道筋をつけていきたい」と語った。

「ありえない話」(東)
西川市長の出馬は予想通り。注目されるのは自民党の出方だ。8年ぶりの市政奪還を目指す自民党は、今年2月に「候補者選考委員会」(森本茂廣委員長)を中心に候補者選びをスタート。この選考委内の議論と並行しながら、今津寛衆議と加藤礼一道議会議長、東道議の選考委顧問3人が、それぞれ出馬の可能性がありそうな人物への打診を行ってきた。
しかし、加藤氏が〝意中の人物〟としていたフリーキャスターの佐藤のりゆき氏からも、今津氏が説得した森山病院理事長の森山領氏にしても「お断り」の回答。選考委は次回開催の見通しも立たず「機能停止」の状態となり、支部内では幹部の責任論まで噴出した。
西川市長が明らかにした出馬の意向に促されるように、選考委はようやく再び動き始め、6月13日以来、約2ヵ月ぶりの会議が8月12日に開催される予定となっている。
この選考委では、当初から今津氏が推していた東支部長を候補に立てたい腹づもりのようだが、当の東氏は8月5日、本誌の取材に対し「ありえない話。今は道議会自民党議員会の幹事長職を辞めるわけにはいかないだろう。今津先生の思いも十分理解できるが、ご期待に応えるのは至難なことだ」と話している。
ただ、複数の党関係者は「支部内のアンケートでも人気ナンバーワンだった東支部長で最終調整をはかり、選考委の意見が一致した時点で本人に出馬の要請を申し出ればきっと理解してもらえるはず」などと語り、東擁立に望みをかけている。
西川市政に対しては、一定の評価を示している保守系関係者もいるが、選考委の顧問を務める3人はさまざまな場面で「改革への意欲やリーダーシップが足りない」などと強調し、「必ず勝てる候補を立てる」と対立姿勢を崩していない。

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この続きは月刊北海道経済2014年9月号でお読みください。
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