旭川市長選直前の異例・巨額補正予算

 西川将人市長2期目最後の補正予算は、昨年の2倍を上回る15億円強の積極予算となった。市長選を1ヵ月半後に控え、生活道路の整備に8億円の事業費を計上したほか、除排雪体制も強化する。また、来年2月の旭川開催が内定しているFIS公認のスノーボードワールドカップにも3000万円を盛り込んだ。

早目の除排雪対策
9月16日に開会する第3回定例市議会は、昨年度の決算の認定が最大の争点となる。西川市政が昨年行った事業が適切に行われたのか、そしてそれがまちづくりにどう生かされたのかが焦点だ。西川市政に否定的な自民党系の議員がどう決算を判断し、追及するのか注目される。一方で、2期目最後となる補正予算をどのような方針で、どの程度組むのかにも関心が集まっていた。
市がこのほどまとめた一般会計補正予算は「地域住民の安心と利便性の向上」そして「子どもと高齢者に配慮」した事業が中心となった。
まず、「地域住民─」に関しては、臨時の地方道路整備事業として4億8千万円、側溝整備費として3億2千万円の合計8億円を計上。道路の維持管理、補修などを重点に整備が進められる。生活道路の整備については、地域住民から数多くの要望が寄せられている。市長選を控え少しでも市民からの苦情に応えたいという配慮が働いた模様だ。
また、市民要望が強い除排雪の強化に向けて3億4400万円の補正を組んだ。通常であれば既存の予算が底を突きそうになった時点で補正を組むことになるが、今年は昨年とは違い早めに補正予算を計上。
内訳は、生活道路の排雪を充実させるために2億円、除排雪業者の労務単価引上げのために8700万円、そして堆雪場の管理に5700万円となっている。まだ雪も降っていないこの時期に早々と補正予算を組むのは異例で、昨年は行っていない。堆雪場については来年10月までの事業費を先取りして組んでおり、極めて珍しい。
市幹部によると「排雪は狭い道でも要望が強い。このため小さな市道でも排雪を行えるようにするための予算措置だ。また除雪業者の労務単価はこれまで昼間に勤務するのと同じ単価が適用されている。除排雪は深夜に勤務するケースが多く、労務単価の引き上げは、除排雪従事者を確保するというねらいもある。堆雪場については早めに予算を確保しておくことでスムーズに事業が行える」という。

保育所の格上げ
そして、「子どもと高齢者─」については、まず認可外の保育所を認可に格上げすることと小規模保育所を開設するためにトータルで6200万円を計上した。認可は5カ所、小規模は3カ所でこれも住民要望を強く意識しているようだ。
高齢者については、お年寄りが生活相談などに利用する地域包括支援センターを、永山と東旭川の支所に移転させるための経費として1300万円を組んだ。これまで同センターは市内の各地域に単体の施設として開設されてきた。しかし、単独施設のため、お年寄りが利用しにくいのが実態だった。
昨年、東鷹栖で支所内に同センターを開設したところ地域住民から非常に好評だった。このため、永山、東旭川でも同様の対応でお年寄りの利便性向上を目指す。
また、現在神楽地区で建設中の特別養護老人ホーム開設のための準備費として5600万円も盛り込んだ。入居希望者の多い特養はまだまだ足りないのが現状。今後も施設整備の充実が期待されている。

国際スポーツ開催費
そして、住民生活には直接影響はしないが、国際スポーツ大会の開催費として3400万円も計上した。内訳は来年の2月28日と3月1日にサンタプレゼントパークを会場に開催が決まっているスノーボードワールドカップの経費として3000万円、障害者のクロスカントリーワールドカップに約400万円。
旭川出身の竹内選手がオリンピックで銀メダルを獲得したこともあり、注目を集めているスノーボード。ワールドカップは盛り上がりが期待できる。また、障害者スキーについてもワールドカップ誘致が成功しているため、2つの大会の開催は旭川の名前を世界的に広げる絶好のチャンスといえる。

自民の追及あるか
西川市長にとって2期目最後になる第3回定例市議会は、自民党系の市議がどこまで西川市政を批判し、論戦を展開できるかが焦点となる。自民党系のある市議は「昨年の2倍を上回る巨額補正は市長選を意識したミエミエの〝票集め政策〟だ」と追及の構えを見せている。
ただ、この4年間、市民クラブは西川市政を糾弾する姿勢は見せてこなかった。公正クラブも西川市政と全面対決する場面はなかった。市民ク、公正クから安田佳正、武田勇の2議員が抜けて新会派自民連合が生まれ、市民クから木下雅之議員が抜けて公正クの5人と合流し新会派自民・旭川会議となるなど、自民党系市議は離合集散を繰り返している。3回定例でどこまで突っ込めるか、心もとないというのが実情だ。
「ミエミエの補正予算だが、それも現職の強みか」と、弱気な本音も垣間見える。西川市長のアドバンテージと成りかねない今回の補正予算だ。