旭川市、全国で初めて未届け有料老人ホームを公開

 本誌はこれまで2度にわたって「未届け」が「届け出」を上回る旭川市内の有料老人ホームの実態を取り上げてきた。行政も決して手をこまねいていたわけではないが、特効薬的な策もなく未届け施設の改善は困難を極めていた。一方、法律は未届け施設に甘く、未届けである方が介護保険制度の網から漏れ、施設経営に有利に働くという矛盾があった。しかし「真面目な施設が損をする制度はダメ」と旭川市は全国の自治体に先駆けて改善策をスタートさせた。

3億円の支払いから解放された旭川市
 本誌昨年12月号で「未届け有料老人ホームには介護保険制度の〝住所地特例〟が適用されず旭川市の負担が年間3億円(推定)も増えている」と未届け施設の弊害と介護保険制度の矛盾点を指摘した。
 〝住所地特例〟とは、他市町村から旭川市内の有料老人ホームなどに転居してきた被保険者への介護保険給付は、それまで住んでいた市町村が引き続き保険者となって介護費用を負担するという制度。
 通常は、被保険者が居住する市町村が保険者となり費用を負担するが、他の市や町から転入してきた人まで被保険者にすると、介護施設が集中し、転入者の多い都市の保険金給付が増加し、財政上の不均衡が生じる。
 その不均衡を回避するために設けられた特例措置が〝住所地特例〟なのだが、転居先の有料老人ホームが未届けだった場合はこの特例が効かないことから、未届け施設が100ヵ所を超える旭川市は、推定で年間3億円も余計な保険金を支払っていた。

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この続きは月刊北海道経済2015年7月号でお読みください。
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