ウッドシティ旭川、破産の軌跡

 23年前、東旭川の工業団地に家具製造関連の事業所を集約するために設立された協同組合ウッドシティ旭川(高木均代表理事)が5月29日、旭川地裁から破産開始決定を受けた。負債総額は約14億8400万円。設立時の加盟企業8社が倒産・廃業・脱退したため、商工中金や道から借りた高度化資金の返済ができなくなり、破産のやむなきに至った。バブル期に絶頂を極めた〝旭川家具〟衰退の爪痕でもある。

共同融資を目的に8社で協同組合設立
協同組合ウッドシティ旭川は、旭川市内の家具製造業者、木材木製品製造業者らが、東旭川の工業団地に集団移転し、生産性の向上など経営の合理化を図るため、中小企業等協同組合法に基づき平成2年12月25日に設立された。
設立時の組合員は、小林木工㈱、㈱日家工芸、㈱田村木工、㈲日清建具、㈱和光、日光産業㈱、㈲佐藤工芸、小林通商㈱の8社。各社の社長が組合の理事となり、代表理事には小林正吾氏(小林木工)が就いた。
組合設立の一番の目的は、政府系金融機関や道の高度化資金貸付制度を利用し、共同融資を受けることにあった。各社の社屋や工場の建設、敷地取得のために必要な資金を組合が窓口となって一括で借り入れ、組合員は20年の分割で組合に返済するという仕組みで、いわゆる転貸融資。
組合が融資を受けるにあたっては理事が連帯保証し、各組合員が使用する土地建物については組合が所有権を持ち、商工中金と道が抵当権(共同抵当)を設定した。組合員が組合に対して弁済を終了した時点で抵当権を解除し、所有権を組合員に移すというものだった。
組合を設立して借り入れた金額は、合計で26億7420万円。8社で割ると平均で約3億3400万円。中小企業が1社でこれだけの融資を希望したとしてもかなりの難関となるところだが、事業協同組合という組織体がそれを可能にし、工業団地への集団移転が実現した。
平成に入った頃はバブル期の真っ盛り。各社の社屋や工場は贅を尽くした豪華なものだったが、返済期限の20年後までのことを的確に予想できる組合員はいなかったようだ。返済が始まって10年を過ぎた頃から、バブル崩壊の波に洗われ、組合員企業が相次いで倒産の憂き目にあった。

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この続きは月刊北海道経済2015年8月号でお読みください。 
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