旭川の避難所12ヵ所は「膝まで浸水」想定

 〝百年に一度〟といわれた豪雨に見舞われ、甚大な被害を受けた茨城県常総市。これを機に旭川でも水害を警戒する声が広がり、「旭川市洪水ハザードマップ」に関心を寄せる市民も増えている。しかし、このマップも十分な「備え」とは言いがたい。大人の膝まで水がつかる施設も避難所に指定されており、「水浸しの避難所に避難?想定が甘いのでは」との声が上がっている。

浸水1万棟以上
river ここ数年、全国各地で集中豪雨などによる水害が頻発している。短時間で河川が増水し、堤防が決壊、広大な地域が濁流に飲み込まれるなど甚大な被害も発生している。この9月に関東・東北地方で起きた水害はその最たるもので、鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市では浸水面積が約40平方㌔㍍におよび、1万1000棟が浸水。家屋が激流に流され、浸水区域に取り残された住民がヘリコプターで救助される場面がテレビ報道されるなど、自然災害の恐ろしさをまざまざと知らされる大災害となった。
 今回クローズアップされたのが〝百年に一度〟というキーワード。1級河川の鬼怒川で今回起きた水害の防止策については、事前に危険箇所が指摘され、百年に一度の災害に対応する必要性の有無をめぐり、当時の政権を巻き込む議論にまで発展したが、最終的に改修工事は先送りされ、その結果、想定された量をはるかに超える豪雨に見舞われ、大災害を招いた。
 これをきっかけに〝川のまち〟旭川でも、想定外の水害を心配する声が市民の間で広がっている。注目を集めているのが「旭川市洪水ハザードマップ」。旭川市内を流れる河川が氾濫した場合に備え、浸水が想定される区域住民が迅速に避難できるよう、2006年から作成されている地図だ(最新版は2012年3月作成)。
 このマップでは国が管理する石狩・忠別・美瑛・牛朱別川流域が、おおむね150年に一度、オサラッペ・辺別川流域は100年に一度起こる大雨によって増水し、堤防の決壊などを経て氾濫した場合を想定。道が管理する倉沼・ペーパン・辺別・江丹別・ポン川についてもシミュレーションを行って作成した「浸水想定区域」図を元に、浸水する区域とその深さ、各地区の避難所などを掲載している。

「膝まで浸水」12施設
 この浸水想定区域とは、迅速な避難を確保して被害を軽減するため、大雨などにより堤防が決壊した場合に浸水が想定される範囲と深さを図面化したもの。その基準となる計画降雨は、3日間の総雨量が忠別川で280㍉、美瑛・牛朱別・倉沼・ペーパン川で260㍉、辺別川250㍉、石狩川230㍉を超える場合、江丹別川とポン川は1日の総雨量がそれぞれ130㍉、104㍉を超えるケースとなっている。
 ハザードマップによると、洪水時の避難所に指定されながら「大人の膝までつかる程度」浸水するとの想定がなされているのは▽東五条小▽大有小▽旭川小▽青雲小▽旧旭川第一中▽旭川中▽常盤中▽旭川商業高▽新旭川地区センター▽豊岡地区センター▽東旭川農村環境改善センター▽東旭川公民館日の出分館の各施設だ。
 大人の膝までつかると聞けば水遊び程度と思われがちだが、水の流れが早い場合や、夜間や停電などの悪条件が重なっている場合、膝まで水につかりながら移動するのは命の危険を伴う行為。避難所へ向かうことが不可能になる事態も十分に考えられる。
 なお、忠和小学校、忠和中学校、聖園中学校などの施設は、「2階の軒下まで浸水する程度」の浸水が想定されている地域にある。これらの施設は「洪水時以外の避難所」に指定されており、洪水発生時はほかの避難所に向かうことが推奨されている。

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この続きは月刊北海道経済2015年12月号でお読みください。