旭川医大病院、手術中失血死は医療事故ではなかったのか?

 昨年秋、旭川医科大学病院(平田哲病院長)で肝臓切除の手術が行われたが、出血が止まらず手術中に死亡するという事例があった。肝臓切除の手術で術中死するのは極めてまれなケースと言われ、同病院の医療関係者からも「あの手術はおかしい」という話が聞こえてくる。

肝内胆管がんで肝臓切除の手術
 今年に入って、途切れ途切れに聞こえてきた情報を総合すると、およそ次のようになる。
idai 肝臓切除の手術が行われたのは昨年10月21日。手術中に亡くなった患者は旭川市内の60代男性。肝内胆管がんを患い、他の病院では外科的治療は難しいとされ化学療法に頼っていたが、旭川医大病院で診察を受けると、化学療法の効果か腫瘍が小さくなっており、手術可能という判断が下され、切除手術に踏み切ることになった。
 執刀医は第2外科の古川博之教授。前任の北大病院では200例を超える肝臓移植を行うなど、ベテランの外科医。他の病院では難しいとされた手術を手がけたのだから、さすがは肝臓の権威と思ってしまうが、その名声があだとなったか、術中死という最悪の事態を招いてしまった。
 市内の医療関係者によると、血管系の解離性大動脈瘤破裂などの場合には、まれに術中死があるが、肝臓手術では普通ならあり得ない。血が止まらないような手術をしたか、止める手技が未熟だったのか?
 亡くなった患者の家族が、詳しい手術の内容を執刀医から聞いたのかどうか分からないが、術中死という希少な事態に直面しても、それを受け止めるだけで、病院に対して特に抗議や訴えをすることはなかったようだ。

医療調査委員会で問題なしと判定?
 厚労省は病院における医療事故を防ぐため、安全管理体制の確立を強く求めており、旭川医大病院でも医療安全管理部が医療安全管理指針をまとめ、その中では「事故を未然に防止し、発生した事故に対しては迅速に公平で透明性のある対応を行う」とうたっている。
 では、肝臓切除の手術中に血が止まらなくなり術中死した患者の例はどういう扱いになるのか。同病院ではこれまで、ガーゼを体内に残した手術、胃ろうボタンの再挿入の誤りといった事例などを医療事故として公表している。これらは「発生した事故に対しては迅速に公平で透明性のある対応を行う」とする指針に基づき公表されたものだが、今回の術中死についてはどこにも公表されていないことからみて〝医療事故〟には当たらなかったものと思われる。
 旭川医大病院の場合、①医療側に過失があり②患者に一定程度の障害があり③過失と障害に因果関係がある─ものを〝医療事故〟としているが、これら①〜③に当てはまるかどうかの判定を行うためにいくつかの段階を踏むことになる。
 その第一段階が障害レベルの認定である。これは同病院の医療管理者であるGRM(ジェネラル・リスク・マネージャー)が現場からの報告を受けて吟味し、障害レベルを認定するもので、現在のGMRは医師、看護師長、看護師の3人で構成されている。

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この続きは月刊北海道経済2016年04月号でお読みください。