道銀が住宅ローン攻勢 貸出先争奪戦激化

 旭川に本店・支店を置く金融機関の住宅ローン争奪戦が過去に例の無い激しいものとなっている。台風の目は北海道銀行。「貸し出し所得基準を大幅に緩和し、これまでなら審査がパスしなかった所得層にも融資する方針に変えた」(市内ハウスメーカー)。また、借り入れ時の保証料不要も打ち出した。ハウスメーカーや工務店は「需要が喚起される」と歓迎している。シェアで道銀より上位の北洋銀行、労働金庫も応戦の構え。

住宅業界の期待膨らむ
 「マイホームを計画したもののローン審査が通らず断念するケースはけっこうある。それだけ旭川の勤労者の所得が低いということだ。ところが先日北海道銀行の営業マンが 〝所得基準を下げ、これまではパスしなかった世帯にも住宅建設資金を貸し付けることになった。どんどんお客さんを紹介してほしい〟とセールスをかけてきた。道銀も思い切ったことをするなと驚いたが、我々業者にとっては大歓迎。所得基準が下がれば若い人でもマイホームを持てる。需要喚起につながる」―と話すのは、市内の某ハウスメーカーの社長さん。
住宅 消費税が5%から8%へ上がる直前、駆け込み需要で新設住宅戸数は増加した。8%から10%への再値上げが近いといわれる今年も駆け込み需要があると業界では予測しているが、年が明けて数ヵ月たったいまのところ兆候は見えない。それだけに「道銀の大胆な決断が起爆剤になるのではないか」とこの社長さんの期待は膨らむ。
 住宅ローンの審査では、年収に対して年間返済額がどの位の割合になるかが重要視される。例えば、年収400万円の人が、毎月の返済額が6万円、年間72万円の返済計画でマイホームを計画したとする。すると、年間返済額72万円を年収400万円で割った答え「18%」が返済率。金融機関によって多少違ってくるが、おおむね25%以内であればOK。18%であればまったく問題ないということになる。
 これが、もっと大きく豪華な住宅のプランにして建設費が高くなり毎月9万円、年間108万円の支払いになったとしたならば、108万円割る400万円で返済率は34%にハネ上がってしまい、審査をクリアし融資が実行されるのは極めて厳しくなる。
 返済率計算には車のローンなども組み込まれるので、住宅の支払いが月6万円でもカーローンが他に月3万円あったとしたならば月額9万円の支払い、年額では108万円となり、年収400万円の場合、返済率は34%となって融資は不可となる。
 また融資可能な額は、「年収の5倍あるいは6倍まで」と言われる。年収400万円ならば2000万円から2400万円位まで。500万円ならば2500万円から3000万円位のローンを組めるというのが一つの目安だ。
 年収が700万円、あるいは800万円を超える高収入であったり、公務員など職場が安定していると判断される場合などは返済率の設定はまた変わってくるが、金融機関は長い間、一定の審査基準を守ってきた。その融資の可否を決めるラインを、道銀が思い切って見直すというのは、お堅い金融機関では極めて異例なことだ。

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この続きは月刊北海道経済2016年06月号でお読みください。
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