旭川空港民営化のメリット・デメリット

 道内にある6つの空港を一括して民営化しようとの構想が進行中。旭川市も旭川空港の民営化に前向き姿勢だ。実現すれば、派遣している10人余りの人件費が削減され億単位で財政的なメリットがあるが、民間企業となれば利益重視から赤字路線継続運航に黄信号が灯りそうだ。空港民営化の損得勘定は!

海外需要を喚起
空港民営化 旭川空港は、国内線が東京(羽田)、名古屋(中部)、大阪(関西)などに運航していて、2015年度の乗降客は国内線が97万4千人。海外からの国際線は19万4千人で、合計117万人に達している。
 国内線の利用状況を見ると、7年前の2008年には124万人だったが、現状は100万人を割った。一方で海外からの利用者数は同時期の約8万人から、約20万人へと2倍以上の増加。利用者の実績を見ると、国内線が圧倒的に多いという現状は変わらないが、低迷、あるいは横ばい状態で、対照的に海外からの旅行客が右方上がりで増え続けているのが実態だ。
 これは何を意味するのか。それは日本全体で人口の減少と高齢化が進んでいるほか、少子化が加速し、国内の利用者数は少なくなっているということだ。国内の航空機需要は今後も〝頭打ち〟で推移する可能性が高いと見られる。とすれば新たな需要を喚起するためには、海外に打って出なくてはならないということになる。
 国際線の利用状況を見ると、2012年9月に復興航空・台北線が就航し、4万人を記録した。そして13年6月にはエバー航空・台北線も就航したことで10万人を突破し、過去最高の乗降客数となった。
 さらに、14年7月には中国東方航空の北京線と上海線が就航し、16万人まで記録を更新。季節限定の韓国・ソウル便も合わせると、15年度の国際線利用者数は19万4千人と20万人台に迫る勢いで増え続けている。

ターミナルビル増設
 この国際線利用者の急増にもかかわらず、旭川空港には国際線専用の出発ロビーはなく、国内線の空き施設を利用して対応しているのが実態だ。しかし、急増する中国からの受入れ便は、午後の早い時間と夕方に集中。待合室が狭いうえ、CIQ(入国税関、出入国管理、入国検疫)も使いづらいのが実態で、利用者に不便を強いている。リピーターの観光客を海外から呼び込むために、空港の混雑が一定のマイナス要素になるのは避けられない。

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この続きは月刊北海道経済2016年07月号でお読みください。
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