労働審判の最中名寄を見放し? 今度は新得へ移住経営者の評判〝裏表〟

 名寄市の障害福祉事業所の職員が突然解雇され、それを不当とする地位確認(解雇無効)の労働審判が旭川地裁で行われている。相手方の社長はつい最近、新得町でも町の肝いりで名寄と同様の福祉事業所を開設したばかり。名寄の福祉関係者の間からは「新得でも同じような問題を起こさなければいいのだが」と危惧する声が聞かれる。

「解雇は無効だ」労働審判始まる
 労働審判は、労働者と使用者の間で起きた解雇や給料未払いなどの争いごとを、訴訟よりも素早く解決するため10年前から導入されている司法制度。申立人(代理人弁護士)、相手方(同)、裁判官、労働審判員2人によって審理され、原則3回以内の審理で解決案が提示される(解決しなかった場合は訴訟手続きに移行する)。
 今年5月6日、旭川地裁に労働審判を申し立てたのは、名寄市内に本社を置く㈱キートス(土井雅史社長、資本金500万円)の社員だった20代男性のH氏。
 同社は「障がい者就労継続支援A型事業所」(以下A型事業所)と「児童発達支援・放課後等デイサービス」(以下児童デイ)と二つの事業所を運営していたが、今年4月末、利用者減による経営悪化を理由に児童デイ「学びの森コティ」の事業を廃止し、そこに配属されていた4人の社員全員を整理解雇した。
 同社は児童デイとともにA型事業所も運営しているわけだから、配属先だった児童デイの廃止がそのまま会社からの解雇につながる理屈にはならない。しかも4人に解雇通知した直後に新入社員1人を採用するという矛盾もあった。
 そこで解雇された4人を代表する形でH氏が、旭川市内の弁護士を代理人に立て「整理解雇は合理的な理由に欠け、社会通念上認められるものでなく解雇権の濫用であり、解雇は無効である」との労働審判を起こしたのである。
 審判の第1回は6月17日に予定されていたが、相手方の土井社長が急きょ旭川市内の弁護士を代理人に立ててきたことから延期され、7月5日に最初の審判が行われた。この時は審判員の前で互いの主張を述べ合っただけだが、次回(8月1日)までに調整が進むものとみられる。最終的にどういう解決案が出てくるか注目される。

同業者が事業停止求める上申書提出
 実は、この労働審判の申し立てが行われる10日ほど前、名寄市内で㈱キートスと同じようにA型事業所を運営する企業の社長T氏から、上川総合振興局の社会福祉課事業指導係長あてに上申書が提出されている。
 同業者でもあるT氏は、昨年の終盤から㈱キートスのA型事業所の利用者や元利用者、整理解雇された職員らの相談に乗っている間に、同社が職員に対し「到底許すべき行為ではない待遇を行っている」ことを知り、㈱キートスの「事業の制限、または停止を強く要求する」と監督官庁に上申したのである。

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この続きは月刊北海道経済2016年08月号でお読みください。