コープさっぽろ旭川2店撤退

 人口減やドラッグストアなどとの競争激化に加え、昨年9月の胆振東部地震も影響して道内主要スーパーの苦戦が続いている。宅配事業が好調なものの店舗事業が振るわないコープさっぽろは営業利益が大幅に減。不採算店4店舗を閉店する方針だが、そのうち2店は旭川のアモール店と4条通店だ。

宅配事業を強化
 道内スーパー業界は、アークス、イオン、コープさっぽろの3グループがしのぎを削っているが、2018年度は人口減に加えドラッグストアとの競合が激化し、さらに胆振東部地震が影響して業績は総体的に振るわなかった。
 アークスは商号変更後、初の減収となり、17年度比0・3%減の5122億4600万円の売上高にとどまった。ただし、営業利益は2・6%増加した。イオンは、マックスバリュ北海道が2・6%の増収となったもののイオン北海道が0・5%の減収で、トータルでは1・3%の減収となった。
 コープさっぽろの売上高は前年比0・5%増の2834億円となったが、営業利益は29%の大幅減だった。宅配事業「トドック」が好調だったが、店舗事業が振るわず、売上高・客数ともに減となっている。
 売上高の約3分の1を占めるようになった宅配事業「トドック」が好調なことから、札幌市内に新たな拠点として、西岡センター、石山センターなどを新設し、取扱品目を増やし注文用スマートフォンアプリも新たに導入する計画。一方で、不採算店4店を閉店する予定だ。
 閉店する4店舗は公表されていないが、本誌が得た情報によると、旭川市内の2店舗「アモール店」「4条通り店」も閉店の対象となっている。

8店舗継承
 コープさっぽろは、旭川市内で現在8店舗を展開しているが、そのうち3店舗─アモール店、4条通り店、ツインハープ店(旭神3の5)は、旧「旭友ストアー」の店舗だった。
 旭友ストアーは旭川電気軌道のスーパー事業部で、最盛期に店舗数は15に達したが、ふじスーパーやアークス、コープさっぽろなどとの競争に敗れ、10年にスーパー事業からの撤退となった。前年に神楽の店は福岡から進出してきたディスカウント「トライアル」に賃貸されていたので、スーパー事業撤退時の旭友の店舗数は14。そのうち、アモール店とツインハープ店、西店(現・4条通り店)、旭町店、それに道南の登別店、萩野店(白老町)、木古内店、福島店の合わせて8店が賃貸され、コープさっぽろの店舗に衣替えした。
 当時、アークスが急成長していた旭川市内では、アークス傘下のふじが17店、道北ラルズが5店を展開。これに対してコープさっぽろは5店だけで、商品調達力で水をあけられつつあった。アークスに対抗し、旭川での勢力拡大のための、旭友ストアーの店舗継承だった。

老朽化の2店舗
 店舗数を増やしたコープさっぽろとアークスの争いは、ダイイチも巻き込んで熾烈になり、そこにイオンも〝参戦〟して今に至るが、「最近勢いがあるのいはイオン系のザ・ビッグだ」と、流通大手の幹部が解説する。
 この幹部によると、現在の食品スーパーの旭川での勢力図は─「宮前の1店舗だけのときは存在感が薄かったザ・ビッグだが、17年11月に旭川2店舗目の緑が丘店を開業してから、EDLP(エブリデー・ロープライス)の手法が旭川市民に認知されるようになり集客好調。アークスやダイイチ、コープさっぽろの既存店を脅かす存在となっている。旭友ストアーから継承したコープさっぽろのツインハープ店とアモール店はザ・ビッグの影響を受けており、アモール店と4条通り店は店舗の老朽化もあって不採算の状態から抜け出せないでいる」。
 コープさっぽろが閉店する4店舗に、アモール店と4条通り店が入っているのは老朽化が理由のようだ。

後継はどこか
 アモール店は1983年(昭和58年)に建った建物で、今年で築36年になる。前述のように2010年に破綻するまで旭友ストアーの店舗だった。店舗面積は4830平方メートル。一方、4条通り店は1976年竣工で、築43年を経ている。コープさっぽろの店舗面積は3300平方メートル。
 コープさっぽろは、アモール店を今年11月30日で、4条通り店を10月31日で閉店すると、大家である旭川電気軌道に通達している。
 賃貸借契約期間は7年余り残っているため撤退時期などについて現在、双方の話し合いが行われているが、今秋で閉店のスケジュールは変わらないと思われる。
 食品スーパー業界は生き残りをかけた激しい競争が繰り返されており、前述したようにイオン系のザ・ビッグがいま台風の目となっている。業界内では「マルカツ地下にあったラルズマートが撤退し市の中心部は食品スーパーが過疎の状態。コープ4条通り店の立地は極めて良い。4500平方メートルという敷地面積も手ごろで、コープさっぽろの後にザ・ビッグ出店という可能性も十分ありえる」と見られている。
 またアモール店の後継テナントとして、ディスカウントの「トライアル」の名前が早くも浮上しているとの情報もある。
 旭友ストアーからコープさっぽろへと引き継がれてきた2店舗の去就に注目が集まっている。

表紙1907
この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。

田園の雑貨店に本場のこけし

 5月18日、19日の両日、雑貨販売店のsimple(鷹栖町19線13号5)を会場に、こけしの展示即売イベント「ナマラコケシ」が開催され、町内や旭川市、遠くは本州から多くのこけしファンが訪れた。

 加藤美希さんが旭川市内で営んでいたsimpleは、2015年に田園風景に囲まれた現住所に移転し、現在は不定期でイベントを開催している。「ナマラコケシ」は、東日本大震災の復興支援活動をきっかけに東北地方とのつながりができた加藤さんが2015年に第1回を開催、今回が5回目となった。

 かつて農家の住まいだった建物を改装した店舗内には、津軽系、南部系、蔵王系、弥次郎系など様々な系統に属するこけしが陳列された。オーソドックスな作品のほか、ずんぐりとした作品、リンゴのような帽子をかぶったユニーク作品なども出展されていた。会場でろくろ(旋盤)を回しながらこけし作りを披露した津軽の工人、阿保正文さんによれば、こけし産地では伝統的なこけしだけでなく、工人の若い感性が反映された新しいタイプも作られるようになっているという。阿保さんもクラーク博士をモチーフに、右手を伸ばしたこけしを出品した。

 来場者は数々の作品に見入り、じっくりと品定めしていた。

表紙1907
この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。

優佳良織をハスコムが買収か

 2016年12月に破たんした㈱北海道伝統美術工芸村(以下、工芸村)が所有していた優佳良織工芸館など3施設(旭川市南が丘)を、旭川市内の大手不動産業者、㈱ハスコムを中心とする数社が買収する方向で検討している。買収額は1億1000万円。諸経費などを含むと2億円規模となる。6月以降、ハスコムや同業の㈱ホッポウ、旭川市と周辺7町で構成される大雪カムイミンタラDMO(観光地域づくり推進法人)などが合同会社を設立する予定で、将来的には旭川市が所有する東海大学旭川校跡地など優佳良織周辺も含めた場所でリゾート開発の構想もある。近年、旭川ではなかった大規模なプロジェクトだけに、今後が注目される。

ピーク時は年間100万人超の入館者
 ハスコムなど数社が優佳良織3施設を買収する方向で検討していることを報じる前に、同施設のこれまでの経緯を簡単に振り返ってみる。
 1980年に開業した優佳良織工芸館を皮切りに、86年の国際染織美術館、91年の雪の美術館と次々と開業したこれら3施設は、旭川を代表する観光施設として人気を集めた。91年のピーク時には年間100万人を超える入館者で賑わった。
 ところが、90年に道央自動車道深川─旭川鷹栖間が開通し、その直後に旭川新道も全線開通したことで、車の流れの変化から観光バスの運行ルートも変わってしまった。91年にはバブルが崩壊したことで買い控えが広がり、高価な商品の優佳良織には大きなダメージとなった。
 2000年代に入ると売り上げはさらに減少し、年間数億円規模の赤字が続く状態に陥った。施設の建設費などを融資していた複数の金融機関の中で、新生銀行(旧日本長期信用銀行)が、長銀時代の債権回収を急いだため、債権の価値が2割劣化すれば預金保険機構に売却できる「瑕疵担保」の取り決め実施を狙い、04年3月に優佳良織工芸館などの施設売却を申請した。
 それにより、当時施設を運営していた㈱エルム(木内和博社長)は60億円の負債を抱え実質的な経営破たんに追い込まれた。競売にかけられた施設は、05年2月の2度目の競売で、休眠法人の名称を変更して設立した工芸村(木内氏の妻が代表)が1億3000万円で買収するという奇策で取得した。結局、実質的な経営者は木内氏のままで、旭川市内の企業らが支援する形で再開することとなった。

経営好転せず11年後にまた破たん
 ただし、依然として苦しい経営状態は改善しなかった。16年11月に木内氏が死去したことでかじ取り役がいなくなり、同年12月12日、工芸村はやむなく旭川地裁へ破産申請して即日開始決定を受けた。破産管財人は旭川市の成川毅弁護士が引き受け、17年3月21日に第1回の債権者集会が開かれた。
 破産管財人は席上、「施設と工芸品を差し押さえている旭川市の同意を得て一括で売却したい」と説明した。2回目の債権者集会は同年7月に行なわれ、「施設売却先を探しているが、企業との売買契約に向けた実際の手続きは進んでいない」とした上で、「第一債権者である旭川市が所有して活用を考えるのが最適だ」と付け加えた。要は買い手が見つからず、旭川市に丸投げするしかない状態だったわけだ。
 同年10月の3回目の債権者集会になると、出席者は20人足らずとなり、債権回収のメドが立たないことでさじを投げた格好になった。破産管財人は、「施設の買収に向けて民間の3社が関心を示しているものの、契約までに至らない」と報告した。結局、第一債権者である旭川市の西川将人市長が18年1月、施設の存続支援を決定して旭川市と周辺7町が加盟する「大雪カムイミンタラDMO」(以下、大雪DMO)が運営主体となるプランを提案した。
 これには旭川市議会や大雪DMOに加盟する周辺7町からは反発の声が挙がった。
 ある市議は「3施設の土地と建物を取得するに1億円超、建物の改修や耐震補強などでさらに1億円超。3館の再生には少なくとも3億円が必要だ。この資金を大雪DMOが金融機関から借り入れ、営業再開にこぎつけたとしても、将来的に安定した経営が続けられるかはなはだ疑問」と、市の姿勢を批判した。
 7町の面々も「優佳良織の3施設合わせて、年間100万人を超えていた入園者も10分の1程度の約10万人に減少し、経営が悪化した。そんな施設をなぜDMOで抱えなければいけないのか。今後かかる経費も莫大でメリットがない」と切り捨てた。別のある町幹部は、「旭川にある施設だから、旭川市が面倒を見ればいいのではないか」と、いらぬ騒動に巻き込まれることに不快感を示した。

6月以降に合同会社を設立
 このような経緯を経て旭川市が考えたのが、滞納分を含めた固定資産税約5億4000万円を棒引きする代わりに、旭川市や周辺地域も協力して観光文化拠点へと再生するプランだった。
 この提案に対して昨年来、水面下で市内不動産業大手のハスコムや同業のホッポウが旭川市と協議を重ね、滞納分を含めた固定資産税をゼロにし、その上で買収することが決定的となった。買収額は1億1000万円。手続きにかかる諸経費を含め2億円近い投資となる。
 6月以降、ハスコムやホッポウなど民間企業と大雪DMOが新たに設立する予定の合同会社へ3施設を売却して、ひとまず管理を大雪DMOに任せる。具体的な施設の改修や活用方法は今後詰める。合同会社へは、ハスコムの山下潔会長が3000万円、ホッポウとほか数社が2000万円、大雪DMOが10万円を出資する予定。
 正式な契約は6月下旬から7月になりそうだが、大雪DMOで作成した「優佳良織工芸館等の活用に係る総括資料」によると、概要は以下の通り。

観光・文化・健康をテーマに掲げる
 事業名は、「大雪カムイミンタラ観光文化拠点商業複合施設整備」。事業概要は、今後の観光客増加を見据えた圏域の観光振興を一層充実するため、新たにマウンテンシティリゾートを当DMOの活動コンセプトとする中で、圏域の独自性や優位性が高い観光施設案内や文化、健康をテーマに掲げ、情報発信できるシンボル的施設を整備する。
 これにより、周辺の多様な観光や文化資源、施設などと調和した新たな滞在エリアの造成を図るとともに、圏域内さらには道内各地への周遊ゲートウェイ機能を構築する。
 主な施設は、観光に関する情報提供や各種周遊商品の手配や販売を担当する観光文化センターや、優佳良織やアイヌなど北の文化を展示販売、発信する芸術館。健康を意識したスポーツ施設としては、スパやe─sports、フィットネス、キッズパークなどを設ける。そのほか、地元食材を使用した飲食や物販、リゾートホテルなどを整備する計画だ。

「個人で支援する」
 優佳良織3施設を買収する方向で検討を進めているハスコムの山下会長は、次のように今後の展望を語った。
 「まだ決定したわけではないが、旭川市が主導的な立場で公共的なもの、例えば博物館のような施設を運営するというのであれば企業(ハスコム)としてではなく、市民の一人として(個人的に)応援したい。ただし、あくまで具体的な計画が見えてきた段階での話で、市の動きを見守っているところだ」
 一方、運営者の一つとして名前が挙がっている大雪DMOの林良和専務理事は、は次のような見解を示す。
 「合同会社を設立して、ハスコムの山下会長やホッポウの渡邊一憲社長らに協力していただく方向で進めている。買収後は、クラウドファンディングやファンド、専門性が高く高度な開発ができる企業に資金提供を依頼する予定だが、そのためにも買収した施設の中身をより濃くする必要がある。それは大雪DMOを含めた合同会社の使命で、この機を逃さず1市7町の観光振興など地域の活性化を目指すものにしたい」
 また林専務は、「観光施設一つ一つを見るだけでなく、訪れる人たちが自分に見合うものをプランニングして非日常感を味わえリフレッシュできる空間をつくりたい」とも語る。

広域で観光と文化を発信する
 ところで、気になる買収後の展望だが、優佳良織3施設がある場所は、背後に東海大学旭川校の跡地が控えている。土地と建物は東海大から旭川市が譲り受けたものの、具体的な活用法は何も決まっていない。そこで、合同会社の一員となる予定のホッポウの渡邊社長は次のような構想を披露する。
 「旭川を中心に広域で見ると、上川管内はスキーやゴルフ、釣りに温泉など観光資源が豊富で、最近の健康志向を後押しする医療機関も充実している。さらに、外国人に大人気のニセコにはない都市機能(旭川)も備えている。さらに、食材で見ると旭川は海や山のものが集まる都市でレベルが高い。やり方次第では、観光都市として世界に誇れるものを造ることができるはずだ。
 場所としては、優佳良織だけでなく遊休地となっている東海大跡地などを含めた広大な土地に国内外から人を集めることができる施設を考えている。大雪DMOが示した資料にあるように、この構想は好景気が持続している今の時期に始めないともうチャンスはやってこない」
 渡邊社長が力説するように、旭川を中心とした上川管内は自然と食べ物の宝庫で、これまで生かしきれてない部分が多かった。受身で積極的に前へ出ようとしない住民性が邪魔をしてきたこともあるが、ニセコに続き富良野が海外から注目され開発されようとしている。その線上にある旭川市や周辺8町も十分価値のある地域で、優佳良織の施設を地元企業が買収するすることをテコに、広域的な観光と文化の発信地を目指すべきだ。

表紙1907
この記事は月刊北海道経済2019年07月号に掲載されています。

旭川女性の子宮が危ない! 低すぎるワクチン接種率

「がん」と聞くと中高年の病気というイメージがあるが、若い女性の間で急激に増えているがんがある。子宮入口にがんが発生する「子宮頸がん」で、この原因となる「HPVウイルス」に旭川の20代女性の実に3割が感染しているというショッキングな実態が明らかとなった。しかし、依然としてがん検診の受診率は低く、医療関係者の間で懸念が広がっている。

性交渉で感染
 子宮がんには、「子宮体がん」と「子宮頸がん」がある。子宮体がんは、胎児が宿る体部内側の子宮内膜にがんが発生し、一方の子宮頸がんは、子宮頚部と呼ばれる子宮の入り口の部分に発生する。
 子宮頸がんの主な原因となっているのが、HPV(ヒトパピローマウイルス)への感染で、主に性交渉が経路となる。ウイルス自体は、性交渉の経験がある約8割の女性が50歳までに一度は感染すると言われているほどごくありふれたもので、多くの場合、感染しても症状のないうちに自然に排除される。しかし中には排除されずに体内に残るものもあり、長く感染が続くと前がん状態となり、さらに持続するとがんに進行してしまう。

HPV検査を導入
 子宮頸がんは若年層の間で急激に増えている。左頁のグラフは、国立がん研究センターが公表している子宮がん(子宮体がん・子宮頸がん)の年代ごとの発生率をまとめたもの。これを見ると、子宮頸がんの罹患は20代、30代が突出していることは一目瞭然で、子宮体がんの発生状況と比べ、若年層の罹患が極めて多いことが分かる。
 こうした状況の中、旭川市では昨年1月に子宮がん検診の内容を大幅に変更した。これまでは問診と子宮頸部の細胞診、また希望者には体部細胞診による検査を行っていたが、新しい検診では従来の検査に加えて、20歳から40歳代の希望者に対してHPV検査も行っている。検査では細胞診、HPV検査ともに子宮頸部の細胞をブラシや綿棒などでこすり取って採取するが、痛みを伴うことはなく短時間で終了する。
 旭川がん検診センターを含む旭川市内の各診療所と病院における子宮がん検診の受診者やHPV検査の受診者数などについて旭川市保健所がまとめたデータを見ると、18年1月から同年12月までの1年間に子宮がん検診を受診した人数は5588人。そのうち8割を超える4698人がHPV検査も併せて受けた。
 さらに、同期間におけるHPV陽性率をまとめたデータには、実にショッキングな実態が浮き彫りとなっている。HPVの陽性率を見ると20代と30代前半が極めて高く、特に「20~24歳」の陽性率は31.7%で、「25~29歳」は25.7%と突出している。平均すると、旭川の20代の実に3割がHPVに感染している計算だ。
 一体なぜ、旭川の若い女性の間でHPV感染が広がっているのだろうか。
 旭川産婦人科医会の前会長で、旭川市におけるHPV検査導入に尽力したみずうち産科婦人科(旭川市豊岡4条3丁目)の水内英充院長は次のように話す。
「ひと昔前よりも性体験の年齢が低くなっていることが理由として挙げられます。以前は子宮頸がんのピークは40歳以上でしたが、最近では30代にシフトしています。ある自治体の調査では、若年層のHPV感染率は20~25%程度でしたが、旭川がここまで高いとは予想していませんでした」。

低い健診率
 このように若い世代の感染率が高いものの、40代以降と比較すると、旭川の若い世代で子宮がん検診を積極的に受ける人はさほど多くはない。
 旭川市における17年度の子宮がん検診受診者数を見ると、20─24歳は429人、25─29歳が497人と少なく、30代になると緩やかに増えて30─34歳が1325人、35─39歳が1470人。ところが40代になると一気に増加し、40─44歳が2108人、45─49歳1897人という結果となっている。
 子宮頸がんは初期症状がなく、不正出血などの症状が現れた時にはすでに進行し、手術で子宮を全摘出しなくてはならないケースも少なくない怖い病気だ。水内院長は「妊娠年齢にある若い世代こそ子宮がん検診が必要」と警鐘を鳴らす。
 「最近の例では、不妊治療を希望されて受診した患者さんの子宮がん検診をしたところがんがかなり進行していて、全摘しなくてはならない段階にまできていました。そうなるともちろん妊娠は望めません。この患者さんは、当院を受診する1年ほど前に他の自治体でがん検診を受けて異常が見られなかったそうです。
 子宮がんの細胞診検査の精度は8、9割で、これにHPV検査を併用することでほぼ100%の診断を行うことが可能となります。初期の段階では、『円錐切除』という子宮の入口だけを円錐状に切除する手術を行いますが、この場合は妊娠が可能です。
 テレビ報道などの影響で、若い女性の間では乳がんへの関心が高まっていますが、実際には若い世代では乳がんよりも子宮がんにかかる例が多いのが実情です。子宮頸がんが若い人がかかる病気だということをもっと広く知ってもらい、若い世代、特に20歳代、30歳代の女性に検診を受けて欲しいと思います」
 前述のように感染した人が必ずがんに移行するわけではないが、将来的にがんに進行するリスクを抱えていることは否めない。しかし、HPV検査の結果が陽性だった場合、どうすれば良いのだろうか。市保健所では「多くの場合、身体の免疫機能によってウイルスは自然に排除されますが、検査を受けた医療機関の医師の指示に従って、定期的に検査を受けて欲しい」と呼びかける。
 旭川市の子宮がん検診は20歳以上の偶数年齢が対象で、頸部細胞診の費用は700円(国保の場合は300円)で、医師が必要と判断した場合の体部細胞診は500円(国保の場合は無料)。HPV検査は20歳から40歳代の偶数年齢の希望者が対象で費用は500円(国保の場合は300円)で受けられる。対象者はもちろん、特に20歳代と30歳代に積極的に受けてもらいたい。

※記事中の旭川市の数字は「現状値」として示したもの。

表紙1906
この記事は月刊北海道経済2019年06月号に掲載されています。

旭川医大で夏から網羅的遺伝子検査

 ほぼ2人に1人の確率で生涯のうちに患う病気ががん。誰でも家族や友人、同僚、または自分自身ががんと診断されたことがあるはずだ。いま、がんの治療が大きな変革期を迎えようとしている。多くの医師や患者が注目しているキーワードが「パネル検査」(網羅的がん遺伝子検査)だ。患者一人ひとりのがん細胞のなかの遺伝子に注目した新しい手法。まだ課題も多く残っているが、将来的にはがん治療を根本から変えるかもしれないこの新しい技術が、旭川医大にも導入されようとしている。

分子標的薬で進歩
 人体は数十兆個の細胞でできている。細胞にも寿命があり、次々と死んでいくが、一方で細胞分裂で新しい細胞が生まれていく。その際、設計図の役割を果たすのが、細胞核の中のDNAに記された遺伝子。細胞分裂では一つの細胞が2つに分かれるが、どちらも設計図通りに、分裂前と同じものが作られる。ところが、このしくみがうまく働かないことがある。遺伝子に何らかの原因で異常が発生し、増殖が止まらなくなるのが「がん」だ。
 人間の細胞の一つひとつには、膨大な遺伝子情報が記録されているが、すべての遺伝子の異常ががんの原因になるわけではない。傷ついたときにがんを促進する「がん遺伝子」と、通常はがんを抑制しているが、傷ついた時に抑制が効かなくなる「がん抑制遺伝子」は合計約600あると言われている。
 がんの基本的な治療法は、①外科的手術による切除②薬物治療③放射線治療の3つ。ほとんどの患者にはこれらのうち一つを適用するか、複数を組み合わせて治療が行われる。がん治療の現場では、「このような状況の患者に対しては、このような手順で治療を行うべき」という手順(標準治療)が確立されており、どの医師でも採用する治療法は基本的に同じだ。ただ、がんの診断や治療に役立つ新しい技術は次々と開発されており、標準治療も新技術を取り入れるかたちで年々進歩している。
 2000年ごろからがんの治療を進歩させたのが「分子標的治療薬」。がんの発生や増殖に関わるたんぱく質を「狙い撃ち」する分子標的治療薬は、それまでの抗がん剤よりも効果が高く、副作用が軽いなどの特徴があり、多くのがんについて分子標的治療薬が開発された。日本で最初に保険承認されたのは乳がん用のトラスツズマブ(2001年)。続いて肺がん治療薬のゲフィチニブが02年に承認された。他にも多くの分子標的治療薬ががん治療に活用されている(がんだけでなく関節リウマチなど他の病気にも分子標的治療薬が用いられている)。

遺伝子が効きを左右
 ところが、こうした薬は万能なわけではない。たとえばトラスツズマブが効果を発揮する乳がんは、がん細胞の中で「HER2」と呼ばれるがん遺伝子が異常に増幅しているタイプに限られる。この薬がHER2タンパクと結合してがん細胞の増殖を妨げるためだ。HER2遺伝子の状態は乳がんの治療と予後に大きく影響することから、すべての乳がん患者について検査が行われ、患部から取り出したがん細胞の免疫染色あるいは遺伝子検索からHER2遺伝子の増幅があるかいないか(陽性か陰性)を確かめ、トラスツズマブを使うかどうかが決定される。
 体の他の臓器のがんについても、多くの分子標的治療薬が開発されているが、同じ「がん」であってもがん細胞の遺伝子の状態によって「効く、効かない」が左右されるという共通点がある。つまり、がん細胞の遺伝子情報を調べることで、より効果的な治療方法を迅速に選択できる可能性がある。
 しかし、これまでのがん治療では、検査の対象となるがん遺伝子はごく一部で、しかも一度に一つの遺伝子しか調べることができなかった。
安く速く遺伝子解析
 世界で初めて遺伝子情報を読み取る技術を確立したのはイギリスのフレデリック・サンガー博士(1958年、80年のノーベル化学賞受賞)。その技術はサンガー法と呼ばれるが、大量の遺伝子情報を読み取るには長い時間がかかった。ちなみに人間の遺伝子情報を解読するヒトゲノム計画は1990年に始まり、約3万個(のちに約2万2000個に修正)の遺伝子を読み取るのに13年の歳月と27億ドルの費用を費やした。膨大な時間や費用がかかることから、当時、個々の患者の遺伝子情報を医療に活用するのは現実的ではなかった。
 その後、遺伝子情報を読み取る技術は急速に発展した。従来は長い鎖のような染色体を片方の端からもう一方の端に向けて順番に読んでいたが、断片化した上で、同時並行的に読み取ることができるようになった。ベンチャー企業が相次いでこの分野に参入して技術開発競争を繰り広げた結果、いまでは百ドルの資金と1日の時間があればゲノム解析の結果がわかるとさえ言われている。
 ここで話をがん治療に戻そう。前述した通り、がんの効果的な治療方法は、がん細胞の中でどのがん遺伝子が「悪さ」をしているかにより変わってくる。そして、一部のがん遺伝子は、複数の臓器でがんを引き起こすことが知られている。例えば乳がんに関わるHER2は、胃がんにも関わっている。EGFR遺伝子は肺がん、前立腺がん、腎がん、大腸がん、乳がんなど多くのがんに関与している。ということは、特定の遺伝子を狙って開発された分子標的治療薬が、複数の臓器のがんで効果を発揮する可能性があるということになる。
 この手法は、「個別化医療」とも呼ばれる。がん細胞のなかでどの遺伝子が変異しているかは患者一人ひとり異なり、あらかじめそれを調べた上で、どの薬を使うのか判断するためだ。

大量の遺伝子を一度に
 百数十~数百のがん遺伝子とがん抑制遺伝子の状況を一度に調べることで、がんの治療に役立てることを目指すのが、パネル検査(網羅的がん遺伝子検査)だ。国立がん研究センターは、日本人のがん細胞で変異が発生することの多い114の遺伝子を一度に調べることのできる「NCCオンコパネルシステム」を国内企業と協力して開発した。このシステムは昨年末に医療機器の承認を受け、並行して先進医療制度の下で運用が行われてきた。もうひとつ、米国企業が開発した「ファンデーションワン」も承認を受けた。これら2つのシステムを使った検査は、今年の6~7月にかけて保険適応になるとみられ、同時に医療機関でのパネル検査が始まる見通しだ。
 北海道では北大病院が全国11ヵ所の「がんゲノム医療中核拠点病院」の一つに指定され、北大病院の連携病院である旭川医科大学病院でも、正式名称は未定だが「がん遺伝子診療外来」が開設され、道北では唯一、パネル検査が6~7月から受けられるようになる予定。
 検査のあらましは以下の通り。がん患者から内視鏡などで摘出されたがん細胞は、研究機関に送られて、遺伝子の解析が行われる。その結果をもとに、北大・旭川医大の主治医、病理医、腫瘍内科医、遺伝カウンセリング室医師、臨床検査技師、薬剤師、看護師などが参加するエキスパートチームがテレビ会議で検討を行い、患者の治療方針を決定する。
 どんな人でもこの検査が受けられるわけではなく、以下の条件を満たす人だけが保険適応となる。第一に標準治療を受けたが、効果がなかったか、再発した人。または標準治療の確立されていない希少ながんの患者。第二に、全身の状態が「まったく問題なく活動できる」か「肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる」という全身状態のよい患者。このため、がん患者のうち対象となる人の数はかなり限られてくると予想される。ただ、保険適応がなければ自費で検査を受けることも可能だ。自費の場合、検査の費用は数十万円台とみられる。
 しかし、パネル検査に対する過度の期待は禁物だ。検査結果から、患者のがんの主な原因となっているがん遺伝子がわかり、すでに開発されている分子標的治療薬が活用できるのは、検査を受けた人の1~2割にとどまるとみられる。残りの人についてはがんの主要な原因である遺伝子が見つからないか、その遺伝子を狙った薬が現時点では存在しない可能性が大きい。
 検査の結果、がんの主要な原因であるがん遺伝子が発見され、そのがん遺伝子を狙った分子標的治療薬が存在する場合は、それを使った治療が行われる。ただし、適応外(例えば、乳がん用の薬を他のがんの治療に使う場合)には自費診療となる。
 分子標的治療薬が存在しないケースについて有効な治療法を探るのは今後の課題だ。ただ、パネル検査でわかった個々の患者の遺伝子データはがんセンターの「がんゲノム情報管理センター」(C─CAT)に集積され、人工知能技術も活用して有効な薬剤、治療法の開発に役立てられることになっている。

DNAの品質維持
 旭川医大病院の腫瘍センター長の鳥本悦宏教授はパネル検査が医療現場に与える影響について、「インパクトは大きい。現在では治療法が見つからない患者に光明が射すかもしれない」と語る。
 当面はまず標準治療、効かない患者についてパネル検査という順番だが、鳥本教授は「時間をかけて効果を証明することができれば、標準治療より先にまず遺伝子を調べるようになるのではないか」と予想する。
 パネル検査に基づくがんの診断では、病理医が大きな役割を果たす。旭川医大病院病理部の谷野美智枝教授は語る。
 「遺伝子解析結果に基づく最善治療につなげるためには、『正確な病理組織診断』、『精度の高い遺伝子採取のための病理検体管理』などが必要になる」
 例えば検体を採取する際、がん細胞と正常な細胞が混ざってしまうのは避けられない。このため病理医が、検体のうちがん細胞の占める比率がどれくらいなのかを判定しなくてはならない。また、日本病理学会の調査で、従来は医療機関ごとにDNAの品質にばらつきがあることが明らかになった。このためパネル検査では、学会の定めた規程に厳密に従って病理医らが検体を管理し、DNAの品質を高いレベルで保つことが求められる。
 パネル検査で先行するのが米国だ。オバマ政権時代に「プレシジョン・メディシン」(遺伝子レベルの分析を伴う精密医療)が提唱され、研究に大きな進歩があった。日本はある意味「周回遅れ」の状態にあり、ようやく米国を追いかけてスタートすることになる。
 がんの治療は進歩を続けている。国立がん研究センターが4月9日に発表した10年生存率はすべての部位の平均で56.3%(2002~05年にがんと診断された人)。この比率は上昇傾向にあるものの、部位別では前立腺が95.7%、乳房が83.9%に達した一方で、肝臓が14.6%、膵臓が5.4%に低迷するなどばらつきが大きいことが鮮明になった。パネル検査の登場で、患者一人ひとりのがん細胞から取り出されたDNAが、比較的難しいがんの治療にヒントを与えてくれるかもしれない。

表紙1906
この記事は月刊北海道経済2019年06月号に掲載されています。

旭川駅前にタワマン計画浮上

 空き地、空き家が広がる旭川駅前。中でも再開発に向けた動きが見えなかった1条通7丁目、かつてファッションビルのエクスが営業していた区画で、タワーマンション構想が明らかになった。地元5社と本州の大手デベロッパーがチームを組む。大都市圏で大量に建設された「タワマン」は旭川にも登場するのか。行政が本気で支援するかどうかが焦点だ。

他の区画は動き始めたが…
 北海道第2の都市、旭川。いま、その駅前に広がっている風景は寂しい。駅から見て右側の旧西武旭川店B館は2年半前に閉店。建物を覆うように足場が組まれ、解体工事が始まった。左側に入っていた藤田観光ワシントンホテルも約半年前に閉館となった。仲通りを渡って1条側に行けば、右側の旧西武A館跡地では、ツルハが購入したもののまだ工事は始まっておらず、こちらも空き地のままだ。左側ではかつてエクスが営業していた建物の1階でツルハが営業しているものの、他のフロアーは空き家となっている。一等地だった駅前が、15年前のイオンモール旭川西店、4年前のイオンモール旭川駅前の開店で郊外、駅ナカに人の流れを奪われた結果だ。
 しかし、徐々に再開発、再利用に向けた動きは始まっている。旧西武B館での解体工事開始は、前田住設がビル新築に向けてカジを切った結果。まだ詳細は明らかになっていないものの、進出を希望する企業との交渉を行っている模様だ。
 旧藤田観光ワシントンホテルでは建物の内部を改修して、「ホテルウイングインターナショナル旭川駅前」が7月1日にオープンする予定。現在、準備を進めており、すでに専用サイトでの予約受付が始まっている。
 ツルハが取得した西武A館跡地については、別稿で伝えた通り、徐々にホテルを中核とする計画が明らかになりつつある。現場に動きは見えないが、水面下では着実に動いている様子だ。
 駅前の土地のうち、これまで動きがほとんど見えなかったのが、2014年3月までファッションビルとして営業していたエクスの建物だ。1階にツルハが入居し、買物客や従業員が出入りしているとはいえ、使用効率は低い。地域経済のためにも本格的な再開発が望まれるところだが、これまで噂は聞こえてきても、外部から具体的な動きをうかがうことはできなかった。

旭川市に計画を提出
 3月28日、この区画の土地所有者らが旭川市を訪れ、タワーマンションや商業施設の開発計画を明らかにし、協力を要請した。計画によれば、建物は地上25階建てで、3階または4階までの低層部分は商業施設として賃貸する。上層階のマンションの部屋構成は1LDKから4LDKまで合計110戸程度。最上階とその下の階は4LDKが中心、一部が3LDKとなるが、最上階の4LDKの場合、分譲価格は数千万円を見込む。旭川の集合住宅としては過去に例のない高価格帯となる。建設費用は70億円前後の見通し。
 前例がないといえば、長い間旭川市の商業活動の中心地だった4条以南の平和通買物公園に面した敷地に集合住宅が立つのも、これが初めてのケースとなる。現在、旭川で最もフロア数の多い建物は地上17階の星野リゾートOMO7旭川(旧旭川グランドホテル)と、同じく地上17階のホテルルートイングランド旭川駅前だが、1の7タワマンはこれを大幅に上回るランドマークとなる。
 現在、この敷地はトーエー企業(買物公園側)と旭川小型運輸(ローソン側)が大半を所有し、第一マルサン商事、盛永組、柴滝建築設計事務所が地上権を握っている。エクス時代には多数の関係者の間で複雑に入り組んでいた権利関係はほぼ整理がついた。これら主要なプレーヤー5社と組むのが、全国区の大手デベロッパーだ。エクスの灯が消えた後、再開発については複数のプランが検討されたものの、いずれも実現には至らなかった。豊富な経験を持つ大手デベロッパーの参加で、実現の可能性が高まった。
 タワーマンションの完成後は大手デベロッパーが中心となって販売する。主な売り込み先としては、市内の高齢者を中心とする富裕層、そして外国人を含む市外の富裕層を想定しているとみられる。道内ではニセコに続いて富良野でも外国資本の流入が注目を集めているだけに、このタワーマンションも投資先となる可能性がある。

注目される旭川市の出方
 このプロジェクトの成否を左右するのが、行政の出方だ。5社とデベロッパーは、プロジェクトについてまず旭川市から「優良建築物等整備事業」の採択を受け、市を通じて国土交通省に申請を提出し、市と国交省からの支援(補助金)を獲得することを目指している。民間資金だけでは採算が厳しく、一方で市も財政状況は厳しい。国からの支援は市と同額と決まっていることから、市が中心市街地活性化の観点からどこまで補助金をつけるかが今後の焦点になりそうだ。
 今後のスケジュールだが、正式な計画を市に提出した後、6月末までに国に計画を提出し、認可が下りれば設計を開始。約1年後の2020年に着工。2年の工事を経て、2022年完成を見込む。
 「旭川では高級なマンションが不足している。大手企業支店長クラスが住むのに適した物件が見つからない」との声は、十数年前からあった。中心部からやや離れた住宅街の一戸建てに住んでいた高齢者のなかにも、「冬の除雪や家のメンテナンスが大変なので集合住宅に入りたい」と感じる人が増えている。ここ数年で北彩都に複数のマンションが新たに登場。市役所付近でも本州大手による建設工事が現在進んでいるが、今回明らかになった1の7のタワマン構想はこうしたニーズに応えるマンションの「決定版」。中心市街地に及ぼす影響も含め、今後の行方が注目される。

表紙1906
この記事は月刊北海道経済2019年06月号に掲載されています。

ルートインが富良野北の峰に土地取得

 全国大手のホテルチェーン、ルートインジャパン㈱(東京)は2月22日、富良野市北の峰町の北の峰環状線沿いの土地、約5000平方㍍を取得した。隣接する土地の取得も視野に入れ、2020年10月をメドに同社のリゾートホテルブランド「グランヴィリオホテル富良野」を開業する予定になっている。北の峰地区はワールドカップが開催された世界的にも有名な富良野スキー場があり、数年前から中国資本の参入を契機に次々土地が買い占められ、開発が進められようとしている。

躍進するルートイン
 本誌でもたびたび富良野市北の峰地区の再開発について伝えてきたが、今年2月22日、全国大手のホテルチェーン、ルートインジャパンが北の峰町から山部に向かう北の峰環状線沿いの土地、約5000平方㍍を取得した。さらに、隣接する土地の取得も視野に入れており、最大で1万平方㍍を超える土地にリゾートホテルやレストラン、従業員宿舎などを建設する計画がある。
 同社のホームページには、「今後のオープン情報一覧」と題したページに、「2020年10月、グランヴィリオ富良野、客室数202」と記されている。道内では、そのほかに函館(グランヴィリオ函館250室)や網走(ホテルルートイン網走180室)が、開業時期は明記していないが計画に入っている。
 同社のホテル形態は、ビジネスホテルの「ホテルルートイン」をはじめ、都市型の「アークホテル」、観光やリゾート向けの「ルートイングランティア」「グランヴィリオホテル」の4種類のタイプがある。同社は3月1日現在、海外を含め330施設(ホテル300、飲食店21、ゴルフ場5、温浴施設10、スキー場1)を運営している。直近の売上高(18年3月期)は1153億7200万円で、ここ数年はホテルの新築により増収となっている。今年1月には、ホテル300軒を達成した。

スキー場をメインにしたリゾートホテル
 今回、北の峰に計画しているのはリゾートタイプの「グランヴィリオ」。同形態は国内に6軒、海外に3軒運営しており、道内では幕別町で「十勝幕別温泉グランヴィリオ」1軒を運営している。コンセプトは、雄大な自然を背景にゴルフやハイキングなどのレジャーと、疲れた体を癒す天然温泉をセットにしたゆったりした空間。
 富良野の場合は、過去にワールドカップが開催され世界的に著名な富良野スキー場をメインに、温浴施設などを融合したリゾートホテルになりそうだ。この計画は、3年ほど前から温められていたが、ようやく土地を取得することができたことから動き始めた。建物の詳細は明らかになっていないが、雪解けを期に土地の造成が開始される見込み。
 旭川市内の同業他社のある幹部は、「ルートインのリゾートホテルの歴史は浅い。だが最近はこの形態に力を入れており、富良野は以前から狙っていた地区だ」と、ルートインの富良野に対する熱い思いを代弁する。

表紙1905
この続きは月刊北海道経済2019年05月号でお読み下さい。

平成に半減、旭川エリアのGS

 人口減少に伴う需要の落ち込みと後継者難、2010年の改正消防法も追い討ちをかけてGS(ガソリンスタンド)が減り続けている。旭川エリアでは平成年間で半減。鷹栖、比布など周辺5町が経産省の分類で「給油所過疎地」となっている。過疎が進む道北では今後「公営GS」も増えていきそうだ。(経産省などではSSと表記しているが、記事では従来どおりGS表記)

GS難民もうすぐ出現?
 旭川市豊岡に住む男性会社員からこんな意見が本誌に寄せられた。
 「人手不足から営業時間を短縮するガソリンスタンドが増えているのではないか。GSの数自体、年々減ってきている。本州の山間部では最寄りのスタンドまで10㌔以上というところは珍しくなく、給油するのに往復30分以上かかかるという話を聞くが、旭川エリアでも周辺の町では近い将来〝GS難民〟が出現しかねない。昨年10月の胆振東部地震ではブラックアウトで給油所の重要性が再認識された。国や道にはGSを減らさない政策をしっかり打ち出してもらいたい」。「仕事で帰宅が遅くなった際、残量が少なくなったガソリンを補給しようと、GSを探す場面が最近たびたびあった」という経験からの意見だ。

給油所過疎地
 資源エネルギー庁のデータによると、1994(平成6)年時点の全国のGSの数は6万ヵ所を超えていた。その後減り続け、2017年度末で3万747ヵ所と、23年間でほぼ半減となっている。
 広大な北海道では自動車は〝生活の足〟として不可欠な存在だが、全国の傾向と同様、GSは減り続けている。経産省北海道経済産業局のデータでは、2002年の道内GSの数は2572ヵ所だったが、次ページのグラフが示すように、12年に2000の大台を割り込み直近データの17年度末では1819ヵ所となっている。
 旭川ではどうか。
 旭川市と周辺町の業者で構成する「旭川地方石油販売業㈿」のエリアでは、1989(平成元)年に154ヵ所あったGSが2018年度末で67ヵ所にまで減っている。実際のGSの数は、組合に加盟していない業者のGSも加わるので、89年時点では約160ヵ所、18年度末では80ヵ所強と推測されるが、いずれにしても平成年間で旭川エリアのGSも半減している計算。
 GSが減り続ける要因の一つはガソリン需要の落ち込み。ハイブリッドなど燃費の良いエコカーが普及しEV車も登場し、また若者を中心とした自動車離れが進んでガソリン販売量は平成に入ってから減り続けている。
 過疎化と高齢化が急速に進む町村でとくに需要減が顕著となっている。経産省の推計では、ガソリンの平均販売量は、都市部のGS1ヵ所あたり月間530㌔㍑に対し過疎の町村は同34㌔㍑と都市部の10%にも満たないのが実情で、過疎地ほど給油所運営は厳しい。
 このため過疎地から次々にGSが消え、経産省はその実態を調査し17年3月末の集計で、自治体内に3ヵ所以下しかGSがないところを「給油所過疎地」として発表した。それによると、全国で給油所過疎地の数は302市町村。内訳は、給油所ゼロが12町村。1ヵ所だけが75町村、2ヵ所が101市町村、3ヵ所にとどまるのが114市町村となっている。
 旭川エリアでも、鷹栖町と比布町が2ヵ所の過疎地、東神楽町、愛別町、東川町が3ヵ所の過疎地に分類されている。

公営給油所
 市内GS経営者がこう話す。
 「6年前に占冠村トマムにあった地元石油販売会社のGSが閉店した。商圏人口が1000人以上でなければGSの営業は継続できないとされるが、トマム地区は過疎が進み定住人口が400人ほどになって、経営が立ちゆかなくなった。
 旭川近郊では愛別町が人口約2700人、比布町が約3700人。今は2ヵ所、3カ所の給油所があるが、人口減が加速すれば〝GSゼロ〟となりかねない」
 地域からGSが消えた占冠村トマムでは「給油所は絶対必要だ」との住民要望から、村は公営の営業形態で給油所を再開した。危険物取扱資格を持つ住民らで一般社団法人トマムスタンドを設立し、2017年秋から週3日、1日3時間の日時限定で営業を再開している。経営的には年間500万円程度の赤字で、その分を村が委託費として補填している。
 道内では伊達市大滝地区でも農協が運営していた地区唯一の給油所が2年前に撤退した。古い地下タンク更新に1000万円以上が必要なため事業継続を断念したものだが、伊達市は地区住民の利便性を考え、施設を無償で引き取り経産省から補助金を受けて地下タンクを更新。また、事務所や給油設備も更新して指定管理者制度で営業を再開させている。
 「公営給油所」は、旭川エリアの町にとっても他人事ではなくなっているのだ。

表紙1905
この続きは月刊北海道経済2019年05月号でお読み下さい。