住民基本台帳ベースでも34万人割った旭川市の人口

 人口減少が止まらない。2月1日時点の旭川市の人口は33万9858人と、前月比で353人、前年同月比で2775人減少した。長年守り続けた「北海道・東北で札幌、仙台に続く第3の都市」の座も譲り渡した。人口、とくに若年人口が減り続ける将来への対応策が求められている。

多死時代が到来
 33万9858人。今年2月1日時点での旭川市の人口だ。「36万人都市」だったはずの旭川市だが、いつの間にか34万人の大台さえ割り込んでしまった。33万9858人は、住民基本台帳をもとにした数字。人口統計としては他に直近では2015年10月1日を基準日として実行された国勢調査がある。このときの旭川市の人口は33万9605人。同じ日の住民基本台帳ベースの人口は34万5566人だったから、5000人以上のズレがあった。冒頭で挙げた数字は、どの基準を使うにせよ旭川の人口が34万人を下回ったことを意味している。
 人口の増減は、出生数と死亡数の差である自然増(減)と、転入と転出の差である社会増(減)に大別できる。このうち顕著なのは自然減の拡大だ。2007年の自然減は554人だったが、昨年は1987人へと拡大した。07年には2649人が生まれて3203人が死んだのに対して、17年は2203人が生まれて4190人が死んだ。生まれる人が16%減る一方で、死ぬ人は3割増えた計算だ。もうすぐ、死ぬ人の数が生まれる人の2倍に達しようとしているのは、「多死時代」を象徴する現象と言えるだろう。社会増(減)は年ごとのばらつきが大きいものの、減少傾向が続いている。

増加地域は永山だけ
 同じ旭川市内でも人口増減は一律ではない。地区別ごとに傾向には大きなばらつきがある。違いをわかりやすくするために今年1月1日現在の人口と、約20年前の1998年3月末の人口を比較してみると、市全体の人口が6%減ったのに対して、農村部の江丹別・西神楽ではそれぞれ45%、29%減ったのが目立つ。一方で、市の中心部に近い中央地区で15%減、西地区で9%と落ち込みが激しい。一昔前には若い世帯が多かった豊岡および東光の1~4丁目を抱える東地区でも6%減、春光地区と神居地区は10%減少となっている。地区別でこの20年間で人口が増えたのは永山(1・64%)だけだ。
 市内で総人口が減り、生まれてくる子どもが減る中、増加しているグループがある。それは、東南アジア、南アジアの外国人。国勢調査ベースで2000年10月には447人の外国人が居住していた。うち長年日本社会で暮らしている人が多いと見られる韓国・朝鮮人、中国人は288人。ベースは異なるが、住民基本台帳をもとに昨年1月1日時点の外国人数に注目すれば、その総数は812人。韓国・朝鮮人、中国人は374人で、フィリピン82人、ネパール62人、ベトナム142人など東南アジア、南アジア勢の顕著な増加が目立つ。その大半は技能実習生として定住しているとみられ、この旭川でも外国人労働力への依存度はじわりじわりと深まっている。

原発事故の影響
 人口では遠く札幌に及ばない。北海道・東北全体を見回せば、仙台という大都市がある。旭川市民にとってのささやかな自慢は、「北海道と東北で第3の都市」ということだったが、この強みも失われた。
 現在、旭川に代わって「北海道と東北で第3の都市」となっているのは福島県いわき市だ。福島県では県庁所在地の福島市や、歴史の舞台となった会津若松市の方が知名度が高いが、県内で最も人口と工業生産額が多いのはいわき市。福島県は山地で山通り、中通り、浜通りに三分されているが、このうちいわき市は太平洋岸の浜通りの中心都市であり、福島市などが位置する中通りよりも、むしろ南側に広がる茨城県とのつながりが密接だった。新幹線は走っていないが、在来線の特急列車を利用すれば東京から2時間強の距離だ。
 いわき市の人口のピークは1998年に記録した36万661人。その後は旭川市を上回るペースで減少が続いていたが、2015年9月から10月にかけて約2万5000人、率にして約7%も増加して34万9344人に達し、旭川を抜いて「北海道と東北で第3の都市」となった。ちなみに同じ月の旭川市の人口は34万5566人だった。
 この突然の人口の急増には、統計上の要因が作用している。北海道を除く多くの都府県では、「現住人口」をベースに人口統計を発表している。5年おきに実施される国勢調査ではじき出された数字をベースに、その後の自然増減・社会増減を加算して最新の人口を算出する方式だ。ところが、道内の自治体ではこの方式が採用されておらず、国勢調査の結果は発表されるものの、人口統計のベースは住民基本台帳となっている。一般的には現住人口をベースにしたほうが実勢を正確に反映できると言われているが、最新の国勢調査の結果が反映されるたびに大きな数字の変化が生じる傾向がある。いわき市の人口が見かけ上急増した15年10月1日は、前回の国勢調査の基準日だ。
 実際にいわき市の人口が旭川市を上回っているのは確実。2011年3月に事故が発生した東京電力福島第1原発は直線で約40㌔。原発で居住が困難になった自治体から多くの人がいわき市に移り住んだ。原発に近い自治体への帰還は進んでおらず、住民はこのままいわき市に定着する可能性が高い。

9年後には31万
 順位はともかく、長期的な人口減少傾向は避けられない。旭川市は第8次総合計画の中で、2027年度の人口が31万2000人に、高齢化率が36・5%に達すると予測している。110ページの同計画に「人口」という言葉が登場するのは80回。人口減が行政、経済、社会など広い分野に影響し、その対策が必要になっているためだ。
 人口減への対応を迫られているのは行政だけではない。個々の企業も人口のカウントダウンを直視し、生き残りの方法を探ることを求められている。

表紙1803
この記事は月刊北海道経済2018年3月号に掲載されています。

四条通歩道フェンスで通行止めのワケ

 幅が広くて歩きやすい歩道は、東京や大阪に行ったときに気がつくこのまちの魅力の一つ。ところがいま旭川市内、しかも最も主要な道路である4条通(国道12号)に、歩行者が歩道から締め出された場所がある。フェンスが張られた理由を探るうち、このまちの中心街が直面するビルの廃墟化というリスクが浮かび上がってきた。

ネットバブル崩壊
 ガラス張りの新駅が誕生し、イオンが進出した一方で西武が撤退。うちA館が取り壊されたものの、この敷地にツルハが進出することが決まるなど、旭川駅前がめまぐるしく動いている。対照的なのが約1キロ離れた旭川市4条通4丁目。1970年に建てられた青い6階建ての「オリエントホテル」の建物が半世紀近くが経過したいまもそびえている。ホテルは10年以上も前に営業をやめ、固く扉を閉ざしたままだ。
 昨年秋、ビルの前に変化が生じた。目の前の歩道を遮るかたちでビルの正面のスペースがフェンスで囲まれ、歩行者が締め出されたのだ。フェンスには「通行止」「まわり道」などと書いてあるだけだ。
 「時々、旧オリエントホテルの前を歩いていたが、ある日フェンスで歩けなくなった。雪が積もる前は恐る恐る(国道12号の)車道にはみ出して歩いていたが、雪がフェンスの周囲にも積もると大きく迂回しなければならず、怖くて歩けない。仕方なく、いったん国道の向こう側に渡っている。早く何とかしてくれないと不便でしょうがない」との声が、読者から本誌に寄せられた。
 旧オリエントホテルの建物は、長年のオーナーだった人物から2007年9月に横浜に本拠をブリーズベイホテル㈱に2000万円で売却された。同社は全国各地でホテルを買収し、リニューアルして経営する事業を営んでおり、当時すでに帯広と釧路で全国チェーンのホテルを買収するなど、道内でも積極的な動きを見せていた。旧オリエントホテルもブリーズベイの手でリニューアルされて復活するはずだったのだが、しばらくして建物が1000万円で売りに出された。実地調査の結果、改修に予想以上の費用がかかることが判明したためだ。

IT拠点の夢破れ
 そしてこの建物を購入したのが、東京都港区に本社を置くIT企業の㈱アポロン(その後、㈱ミラホールディングスを経て、現在は澪ホールディングス㈱)。本誌は2011年9月号で同社の荒木久義社長に電話取材を行ったが、その際に荒木氏は「ビジネス上の友人を通して旧オリエントホテルが売りに出ていることを知り、安値で購入した」「購入価格は明かせないが、固定資産税や取得税、手数料だけで1000万円以上」などと説明した上で、この建物を建て替えてIT系の開発拠点や事務所を設立し、北海道出身で東京で働くエンジニアのうち北海道に戻りたいと考えている人を採用したいとの考えを示していた。
 しかし、建物を見る限り荒木氏の語るビジョンが実現する兆しはなかった。旧オリエントホテルのビルを取得した直後に景気が悪化してプロジェクトが凍結されてしまったためだ。荒木氏は取材に対し、「現在は経営改善に注力しているが、地方のエンジニアを採用して遠隔地で開発を行うとの目標は変わっていない」と力説していた。
 それから6年余り。アポロンの流れを受け継ぐ企業は澪ホールディングスとして存続してはいるものの、これまで社名変更に加えて、一部事業の他社への売却、本社移転などを繰り返してきた。これらの動きを見れば、安定経営とはお世辞にも言えない状態だ。旧オリエントビルも塩漬け状態が続いている。
 そして昨年、ビルの壁面に取り付けられていた金具が歩道に落下しているのが発見された。通行人に当たれば大けがのおそれもあることから、急遽、4条通の歩道のうちビルの前にある部分がフェンスで囲われた。2018年になったいまも状況は変わっていない。
 この建物は税金の滞納を理由に、2012年に北海道から、昨年には財務省から差し押さえを受けている。滞納分を払えない現在のオーナーに、建物を補修して安全を確保したり、いっそのこと建物を取壊してしまう余裕などあるわけもない。

戸建てだけじゃない
 困惑するのは行政と、ビルの敷地を所有する地主だ。「所有者に粘り強くお願いをしていくしかない」と説明するのは旭川市の建築指導課。ビルが立つ敷地を所有している近所の宗教施設は「ご迷惑をおかけしているが、私たちとしてはどうすることもできない」と説明する。この地主によれば、過去に行った試算によれば取り壊しに1億円以上が必要だという。
 市内の不動産業者は、旭川市内、とくに4階建て以上のコンクリート製建造物が集中する中心部で、今後同様の事態が頻発する可能性があると指摘する。「古くても定期的に補修されているマンションや雑居ビルがある一方で、放置状態で老朽化が急速に進んでいるのが明らかな建物もある。景気の低迷で空き室が増えたことも賃貸料収入の減少につながる。現在の所有者が運用収入を得ているとは思えず、いつか大規模な補修や取り壊しが必要になった時、お手上げになるのではないか」
 近年、注目を集めるようになった「危険空き家」は、旭川市内だけで予備軍を含め約500戸とも言われている。昨年12月には西地区で初めて行政による強制的な撤去が実行された。かかった費用は約380万円。市では所有者に請求したが、所有者に経済力がない場合には血税から支出されることになる。ビルの取り壊しにかかる費用はケタ違いに多く、市の財政状況を考えれば、軽々しく取り壊すわけにはいかない。
 障害物が少なくて歩きやすく、十分な幅を確保している歩道は、このまちの目立たない魅力の一つ。頭上からの落下物が心配で安心して歩けない時代が来ないことを祈るしかない。

表紙1802
この記事は月刊北海道経済2018年2月号に掲載されています。

年金受給者は道・市民税払い過ぎ?

 旭川市内に住む70代の男性Aさんから「年金受給者の多くが道・市民税を払い過ぎている」との意見が寄せられた。「年金収入400万円以下だから確定申告は不要と大半の人が思い込んでいるが、そのために国民健康保険料や後期高齢者医療保険料が控除されずに税金が過払いとなっている」というのだ。切り詰めた生活を続ける年金生活者には聞き逃せない話だ。

1世帯3万円
 「公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は確定申告が不要」─確定申告の時期になると目につくのが、税務署のこの告知だ。ひと月おきに振り込まれる年金額と税務署の告知を見比べて「確定申告は私には無縁」と大半の年金受給者は判断する。「年金が400万円を超える高齢者が世の中にいるのか」とさえ思ってしまうのが実情だろう。 ところが「400万円以下だからと確定申告をしていない年金受給者の多くが道・市民税過払いとなっている」と訴えるのがAさん。
 実はAさんは国民健康保険や後期高齢者医療保険料を納めているのに、その分が控除されず、高額な納税通知書を昨年6月に受け取った。市民税課に出向いて改めて住民税の申告をして〝減額〟され、正しい納税額に修正された。Aさんは毎年確定申告をしているが、体調不良からこの年の申告は遅れた。そのために本来控除されるべき保険料が控除されなかったのである。
 この経験からAさんは「年金から天引きされる介護保険料は自動的に控除されているのに、なぜ、納付書や口座振替で払った保険料などは控除されないのか。介護保険料も国民健康保険料、後期高齢者医療保険料も旭川市が算出徴収しており、どのデータも把握しているのだから、申告の有無にかかわらず行えるはずで、そうするのが市民のための本来あるべき行政サービスだ。年金収入が400万円以下だからといって確定申告していない年金受給者の中にも納付書や口座振替で保険料を払っている人も多いと思うが、その人たちは道・市民税が過払いとなっている」と主張する。「私の計算では、過払い額は夫婦2人の平均的な年金受給者世帯で3万円くらいになる」とも言う。

表紙1802
この続きは月刊北海道経済2018年2月号でお読み下さい。

場外馬券所がアモール2階に

 中央競馬(JRA)の場外馬券が道北で初めて2013年3月から販売されている旭川レーシングセンター(旭川RC、宮下通15丁目)。昨年12月24日には年の瀬の大一番、第62回有馬記念の馬券を求める人で殺到したが、市内ショッピングセンター、アモール(豊岡3条2丁目)にテナントとして移転することが決まり、3月下旬にリニューアルオープンする。

最後の有馬記念レース
 年末恒例の競馬のグランプリ、有馬記念の映像が流れる旭川RCの大型テレビ。その画面には、大勢のファンの熱い視線が注がれた。千葉県船橋市の中山競馬場で繰り広げられた注目のレース。一番人気の名馬キタサンブラックは渡島管内知内町出身の歌手、北島三郎さんがオーナーで、現役最後のレースとなった。
 キタサンブラックは枠2番から飛び出すとダッシュを利かせ、いきなり先頭に。好スタートを切ったまま、コース内側を軽快に走り、一度も先頭を譲ることなく、後続に1馬身半差をつけて鮮やかな有終の美を飾った。
 次の瞬間、旭川RCでも歓喜の声が沸き上がり、会場は興奮に包まれた。これまでオグリキャップ、ディープインパクトの引退レースも優勝に導いた武豊騎手がキタサンブラックと共にテレビの画面に現われると、ファンからは惜しみない拍手が送られた。旭川と中山競馬場とは1000㌔以上離れているが、身近で見ているかのように興奮しているファンの姿もあった。
 そんな旭川RCを運営する一般社団法人北海道軽種馬振興公社旭川場外馬券発売所では、JRAの馬券を13年3月23日から発売した途端、13年4月から14年3月までのJRA分の馬券売上げが9億8700万円にも上り、当初計画していた7億7600万円を大きく上回る増収となった。
 それとともに道営競馬分が前年対比166%で2億600万円、全国の他の地方競馬分も前年比115%の7億5000万円と、いずれも予想を上回る結果に。入場者数は前年度の2万4000人に対し、13年度は4倍近い8万5000人に。土日開催(一部、祝日も)のJRA分だけでみると、3万4750人が入場したことになり、改めてJRA人気を裏づけた。そして13年度の一番のピークが有馬記念だ。当日の売上げだけで3800万円に上り、一日分の最高売上げを記録している。
 翌14年度には、レース実況やオッズを表示していたブラウン管テレビを順次、大型60インチのデジタルテレビに交換。人の出入りをスムーズにするため場内のレイアウトも変更。馬券購入の際に利用する記帳台も増やすなど改善に努めた。最近はインターネットによる販売が増えつつあるものの、旭川では場外馬券所とはいえ、実際の競馬場にも似た臨場感を味わえるスペースの存在意義が重宝されているようだ。

スポーツクラブと相乗効果?
 旭川RCから移転することになったアモールでは、2006年から07年にかけて敷地内にミニ場外馬券発売所「AIBA旭川豊岡」を新設する計画があった。実現には至らなかったものの、06年の競馬法改正に伴い馬券発売の民間委託が可能になった。
 道としては、道営競馬の05年度赤字が14億9000万円で、これを08年度までに半減することを条件に06年から3年の継続が決まったという苦しい懐事情からすれば、AIBAの設置は有効な手段。しかも、郊外商圏で新設できれば、道内で初めての試みでもあった。
 当時、道農政部や競馬事務所関係者がアモール周辺の町内会、東町小学校、光陽中学校等を訪れ、AIBAを設置する意向を伝えた。競馬法や設置基準によれば、AIBAを受け入れるかどうかについて学校の了解を得る必要はなく、基本的に町内会の判断となったが、町内会の意見は賛否あり、計画が頓挫した経緯がある。
 ところが、今回の移転話は新設するのではなく、テナントとして入るため、前回とは事情が異なる。戸建てで新設するとなるとハードルが高く、なかなか許可が下りにくいが、テナントとして既存施設に入る場合は超えるべきハードルが低く、基本的には地域の同意も不要だ。ただ、慎重を期して近く道などが主催し住民説明会を開く予定だという。
 旭川場外馬券発売所が旭川RCから移転する先は、アモールの2階に広がる空白のスペース。家具販売大手、長谷川グループの「スイートデコレーション」が撤退した跡で、レッスンメニューが豊富なスポーツクラブ「ジョイフィット・ヨガ」に隣接して営業している。このスポーツクラブでは話題のヨガや人気のダンスエクスサイズ、水泳、ニュージーランド発信のグループエクササイズ等も利用できるため、アモールとしては相乗効果も期待できそうだ。
 移転の理由については現在のところ明かされていないが、関係者の話によると、宮下通にある現在の施設の老朽化に伴う耐震上の問題や、駐車場のスペースが不足していることなどが挙げられる。道では昨年12月に設計図の作成や警察、農林水産省との協議をスタート。1月下旬から移転工事に着手し、3月下旬のオープンを予定している。

表紙1802
この記事は月刊北海道経済2018年2月号に掲載されています。

札幌のあきれた弁護士 本誌が見た横顔

 「酔っ払ってると思って、いい加減にしてんだろ」「人をおちょくってんのか」「黙ってんじゃねぇ、ふざけんなお前!」─防犯カメラがとらえた映像には、運転手に怒鳴りちらし、運転席と後部座席を隔てる防犯ボードを蹴って破壊する男のあきれた行状が生々しく記録されていた。この男は札幌弁護士会に所属する杉山央弁護士。本誌は旭川地裁の法廷でこの弁護士と対決し、「絶叫男」の横顔を垣間見ていた。(文中敬称略)

豊田元代議士に続く絶叫事件
 この事件が札幌市の中心部で発生したのは11月6日深夜11時ごろのこと。10日ごろから事件が映像とともにテレビで取り上げられ、週末には全国放送の情報番組でも繰り返し放送された。車内での暴力といえば、「違うだろー」と秘書に対して絶叫する衆院議員・豊田真由子(当時。17年10月の総選挙で落選)のあきれた行状が注目を集めたばかり。札幌の事件は音声だけでなく映像もあり、ひときわショッキングだった。
 映像に記録された会話を確認すると、乗客の男は札幌のすすきのでタクシーに乗り込んだ後、「北3東7」と行き先を伝えた。運転手は「北3東7」と復唱した上で目的地に車を走らせた。ところがしばらくして乗客は「北3東5ですけど、この道でいいんですか」と指摘。運転手が「北3東5ですか。すいません」と言うと、乗客はやや怒った口調で「こんな道通らないですよね」と追及。運転手は「東7だと思って」と釈明したが、乗客は「東7でもこの道通んないと思いますよ。なんですかこの道」とヒートアップ。そして突然、怒りが沸点に達したかのように「おい」と叫んだかと思うと、「酔っ払ってると思って、いい加減にしてんだろ」「人をおちょくってんのか」などと叫びながら、防犯ボードを20回以上蹴って破壊した。運転手に停車を命じた乗客は「こんなカスに金ないわ」と言い捨てて料金を払わずに車を降りた。それでも怒りが収まらないのか、タクシーの車載カメラには乗客が持っていたスマホをタクシーに向けて投げつける姿さえとらえられている。

ウェブページいち早く閉鎖
 タクシーの車内に設置された防犯ボードについては、客を犯罪者予備軍として扱うものであり、犯罪が多発する国ならともかく、治安の良い日本で設置の必要がないとの声もあるが、今回の事件を見る限り、防犯ボードが運転手の安全を守ったことは間違いない。この事件の映像をテレビで見たという旭川市内のタクシー運転手は「私も一度だけ、後ろから防犯ボードを蹴られた経験がある。万一のため、こうした備えは必要だ」と苦々しい口調で語る。

表紙1801
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旭川電気軌道 前社長が反撃

 旭川電気軌道(村中浩社長)の迷走が止まらない。子会社エルヴの取締役登記変更が行われたが、河西利記前社長が「虚偽申請、公正証書原本不実記載罪だ」と法的に訴える構え。虚偽申請が事実とすれば刑事罰は避けられない。一方、顧問弁護士の伊東秀子氏は電気軌道の男性社員から懲戒請求された。(記事は12月11日現在)

織田無道の手法
 次々と経営スキャンダルが暴露される旭川電気軌道だが、師走に入ってすぐに本誌編集部に持ち込まれた情報はこれまで以上に衝撃的。「電気軌道子会社の社長交代の登記が法務局に提出された。ところがこの登記は(前任の)社長辞任届や株主総会議事録などことごとく偽造されたものだ」と言うのだ。
 法務局へ提出する公文書を偽ることは、国を騙そうとするもので、発覚した際は極めて厳しい処罰を受ける。高名な弁護士である伊東秀子氏(札幌市)が顧問を務める電気軌道がそんなとんでもないことに手を染めるとはすぐには信じがたいが…。情報提供者は「これが証拠だ」と次々と変更された登記のコピーを示して、まぎれもない事実であると説明する。
 示された登記のコピーによると、変更登記されたのは「有限会社エルヴ」。取締役の河西利記氏が9月19日に辞任して11月1日に電気軌道の取締役である蟹谷正氏が取締役に就いたとなっている。変更登記申請書には「株主総会議事録1通」「株主名簿1通」「辞任届1通」「就任承諾書1通」「印鑑証明書1通」が添付されているが、情報提供者はそのことごとくが「都合の良いようにでっちあげたものだ。15年前に世間を騒がせたタレントの織田無道の犯罪と同じ手法。虚偽申請で取締役になった蟹谷氏だけでなく、登記変更を指示したであろう電気軌道の村中(浩)社長、宮本(典洋)常務も刑事罰を免れない」と言い切る。
 「織田無道の犯罪」とは、2002年2月に発覚した、宗教法人の虚偽登記。僧侶でタレントの織田氏が、東京都町田市で墓地を経営する宗教法人の役員会の議事録などを偽造して登記所に提出し、代表役員が自分に代わったとの虚偽の登記変更を行ったもの。町田市の宗教法人を乗っ取ろうとしたとして、織田無道は神奈川県警に公正証書不実記載罪の疑いで逮捕され、タレント生命は終わった。

子会社3社とも交代
 辞任届を偽造された河西氏は9月まで電気軌道社長を務めていた。電気軌道の子会社3社(エルヴと旭友リース、上川商事)が所有する電気軌道株での議決権行使は違法だと、伊東弁護士、宮本氏(当時は東神楽農協購買部資材燃料課課長補佐)に追及され辞任に追い込まれた。エルヴはいわば因縁の深い法人なのである。
 師走に法務局に閲覧申請を行い、株主総会議事録ほか添付された書類を閲覧した河西氏はこう話す。「辞任届は確かに書いた。しかし、法務局に申請されたものは私が書いたものと様式、印鑑が違っている。また、エルヴの株主は私も含め8人のはずだが、添付書類ではすべて電気軌道が所有している。私も含め株主に連絡がないままに株主総会が開かれたことになり蟹谷氏の取締役就任承諾書が作成されているのは違法。虚偽登記である」。

表紙1801
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旭川市土木部建設課の後味悪い観楓会

 不祥事が相次いでいる旭川市役所で、またも上司による部下へのパワハラが起きた。問題になったのは、土木部土木建設課が層雲峡の温泉ホテルで行った観楓会。深夜まで飲み会が続き、午前3時ごろには会を仕切る課長が部下に対して、宴会部屋にある露天風呂へ入ることを強要した。30人近い職員が所属する同課では、観楓会を楽しみにしている職員もいるが、課長のパワハラに一部の職員から苦情が噴出し、この課長は人事課から厳重注意を受けた。

職員から2通の投書
 今回、層雲峡のとある温泉ホテルで起きたパワハラ騒動について、観楓会に参加したと思われる市職員から、11月21日と同月27日付けで本誌に2度に渡り投書が届いた。二つの投書をまとめると、内容は以下の通りだ。

  ─土木建設課が先日1泊2日で観楓会を開いた。そこで課長による部下へのパワハラが起きた。露天風呂つきの宴会部屋で、課長が夜中の午前3時過ぎまで大はしゃぎ。部下に対しては、「露天風呂に入っていない奴は入れ。入ったら人事評価点+10点」などと言いながら、いい加減眠りたい部下を強引に露天風呂へ入れようとした。挙句の果てに、だれが風呂に入ったかを確認するため証拠写真まで取る始末。
 そもそもこの課長は、ちょっとしたことで声を荒げる超ワンマンな人物。普段から部下たちは、彼(課長)の顔をうかがいながら仕事をしている。どうすれば課長に怒られないか、そればかりを考えて仕事をしなければならないという習慣が身についてしまっている。
 今回のパワハラ問題は、部下の一人が市長への手紙や人事課へのメールで伝えたため判明した。それを受けて人事課は調査を始め、本当に課長のパワハラがあったことを確認した。ところが、当の課長ばかりか観楓会に参加した職員全員が、人事課から訓示を受けた。
 悪いのは課長ひとり。部下たちは嫌々付き合わされたのに、なぜ部下たちも怒られなければならないのか不思議だ。これまで課長が行ってきた部下へのパワハラを含めて、市は厳重な処分を科すべきだ。

表紙1801
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