場外馬券所がアモール2階に

 中央競馬(JRA)の場外馬券が道北で初めて2013年3月から販売されている旭川レーシングセンター(旭川RC、宮下通15丁目)。昨年12月24日には年の瀬の大一番、第62回有馬記念の馬券を求める人で殺到したが、市内ショッピングセンター、アモール(豊岡3条2丁目)にテナントとして移転することが決まり、3月下旬にリニューアルオープンする。

最後の有馬記念レース
 年末恒例の競馬のグランプリ、有馬記念の映像が流れる旭川RCの大型テレビ。その画面には、大勢のファンの熱い視線が注がれた。千葉県船橋市の中山競馬場で繰り広げられた注目のレース。一番人気の名馬キタサンブラックは渡島管内知内町出身の歌手、北島三郎さんがオーナーで、現役最後のレースとなった。
 キタサンブラックは枠2番から飛び出すとダッシュを利かせ、いきなり先頭に。好スタートを切ったまま、コース内側を軽快に走り、一度も先頭を譲ることなく、後続に1馬身半差をつけて鮮やかな有終の美を飾った。
 次の瞬間、旭川RCでも歓喜の声が沸き上がり、会場は興奮に包まれた。これまでオグリキャップ、ディープインパクトの引退レースも優勝に導いた武豊騎手がキタサンブラックと共にテレビの画面に現われると、ファンからは惜しみない拍手が送られた。旭川と中山競馬場とは1000㌔以上離れているが、身近で見ているかのように興奮しているファンの姿もあった。
 そんな旭川RCを運営する一般社団法人北海道軽種馬振興公社旭川場外馬券発売所では、JRAの馬券を13年3月23日から発売した途端、13年4月から14年3月までのJRA分の馬券売上げが9億8700万円にも上り、当初計画していた7億7600万円を大きく上回る増収となった。
 それとともに道営競馬分が前年対比166%で2億600万円、全国の他の地方競馬分も前年比115%の7億5000万円と、いずれも予想を上回る結果に。入場者数は前年度の2万4000人に対し、13年度は4倍近い8万5000人に。土日開催(一部、祝日も)のJRA分だけでみると、3万4750人が入場したことになり、改めてJRA人気を裏づけた。そして13年度の一番のピークが有馬記念だ。当日の売上げだけで3800万円に上り、一日分の最高売上げを記録している。
 翌14年度には、レース実況やオッズを表示していたブラウン管テレビを順次、大型60インチのデジタルテレビに交換。人の出入りをスムーズにするため場内のレイアウトも変更。馬券購入の際に利用する記帳台も増やすなど改善に努めた。最近はインターネットによる販売が増えつつあるものの、旭川では場外馬券所とはいえ、実際の競馬場にも似た臨場感を味わえるスペースの存在意義が重宝されているようだ。

スポーツクラブと相乗効果?
 旭川RCから移転することになったアモールでは、2006年から07年にかけて敷地内にミニ場外馬券発売所「AIBA旭川豊岡」を新設する計画があった。実現には至らなかったものの、06年の競馬法改正に伴い馬券発売の民間委託が可能になった。
 道としては、道営競馬の05年度赤字が14億9000万円で、これを08年度までに半減することを条件に06年から3年の継続が決まったという苦しい懐事情からすれば、AIBAの設置は有効な手段。しかも、郊外商圏で新設できれば、道内で初めての試みでもあった。
 当時、道農政部や競馬事務所関係者がアモール周辺の町内会、東町小学校、光陽中学校等を訪れ、AIBAを設置する意向を伝えた。競馬法や設置基準によれば、AIBAを受け入れるかどうかについて学校の了解を得る必要はなく、基本的に町内会の判断となったが、町内会の意見は賛否あり、計画が頓挫した経緯がある。
 ところが、今回の移転話は新設するのではなく、テナントとして入るため、前回とは事情が異なる。戸建てで新設するとなるとハードルが高く、なかなか許可が下りにくいが、テナントとして既存施設に入る場合は超えるべきハードルが低く、基本的には地域の同意も不要だ。ただ、慎重を期して近く道などが主催し住民説明会を開く予定だという。
 旭川場外馬券発売所が旭川RCから移転する先は、アモールの2階に広がる空白のスペース。家具販売大手、長谷川グループの「スイートデコレーション」が撤退した跡で、レッスンメニューが豊富なスポーツクラブ「ジョイフィット・ヨガ」に隣接して営業している。このスポーツクラブでは話題のヨガや人気のダンスエクスサイズ、水泳、ニュージーランド発信のグループエクササイズ等も利用できるため、アモールとしては相乗効果も期待できそうだ。
 移転の理由については現在のところ明かされていないが、関係者の話によると、宮下通にある現在の施設の老朽化に伴う耐震上の問題や、駐車場のスペースが不足していることなどが挙げられる。道では昨年12月に設計図の作成や警察、農林水産省との協議をスタート。1月下旬から移転工事に着手し、3月下旬のオープンを予定している。

表紙1802
この記事は月刊北海道経済2018年2月号に掲載されています。

札幌のあきれた弁護士 本誌が見た横顔

 「酔っ払ってると思って、いい加減にしてんだろ」「人をおちょくってんのか」「黙ってんじゃねぇ、ふざけんなお前!」─防犯カメラがとらえた映像には、運転手に怒鳴りちらし、運転席と後部座席を隔てる防犯ボードを蹴って破壊する男のあきれた行状が生々しく記録されていた。この男は札幌弁護士会に所属する杉山央弁護士。本誌は旭川地裁の法廷でこの弁護士と対決し、「絶叫男」の横顔を垣間見ていた。(文中敬称略)

豊田元代議士に続く絶叫事件
 この事件が札幌市の中心部で発生したのは11月6日深夜11時ごろのこと。10日ごろから事件が映像とともにテレビで取り上げられ、週末には全国放送の情報番組でも繰り返し放送された。車内での暴力といえば、「違うだろー」と秘書に対して絶叫する衆院議員・豊田真由子(当時。17年10月の総選挙で落選)のあきれた行状が注目を集めたばかり。札幌の事件は音声だけでなく映像もあり、ひときわショッキングだった。
 映像に記録された会話を確認すると、乗客の男は札幌のすすきのでタクシーに乗り込んだ後、「北3東7」と行き先を伝えた。運転手は「北3東7」と復唱した上で目的地に車を走らせた。ところがしばらくして乗客は「北3東5ですけど、この道でいいんですか」と指摘。運転手が「北3東5ですか。すいません」と言うと、乗客はやや怒った口調で「こんな道通らないですよね」と追及。運転手は「東7だと思って」と釈明したが、乗客は「東7でもこの道通んないと思いますよ。なんですかこの道」とヒートアップ。そして突然、怒りが沸点に達したかのように「おい」と叫んだかと思うと、「酔っ払ってると思って、いい加減にしてんだろ」「人をおちょくってんのか」などと叫びながら、防犯ボードを20回以上蹴って破壊した。運転手に停車を命じた乗客は「こんなカスに金ないわ」と言い捨てて料金を払わずに車を降りた。それでも怒りが収まらないのか、タクシーの車載カメラには乗客が持っていたスマホをタクシーに向けて投げつける姿さえとらえられている。

ウェブページいち早く閉鎖
 タクシーの車内に設置された防犯ボードについては、客を犯罪者予備軍として扱うものであり、犯罪が多発する国ならともかく、治安の良い日本で設置の必要がないとの声もあるが、今回の事件を見る限り、防犯ボードが運転手の安全を守ったことは間違いない。この事件の映像をテレビで見たという旭川市内のタクシー運転手は「私も一度だけ、後ろから防犯ボードを蹴られた経験がある。万一のため、こうした備えは必要だ」と苦々しい口調で語る。

表紙1801
この続きは月刊北海道経済2018年1月号でお読み下さい。

旭川電気軌道 前社長が反撃

 旭川電気軌道(村中浩社長)の迷走が止まらない。子会社エルヴの取締役登記変更が行われたが、河西利記前社長が「虚偽申請、公正証書原本不実記載罪だ」と法的に訴える構え。虚偽申請が事実とすれば刑事罰は避けられない。一方、顧問弁護士の伊東秀子氏は電気軌道の男性社員から懲戒請求された。(記事は12月11日現在)

織田無道の手法
 次々と経営スキャンダルが暴露される旭川電気軌道だが、師走に入ってすぐに本誌編集部に持ち込まれた情報はこれまで以上に衝撃的。「電気軌道子会社の社長交代の登記が法務局に提出された。ところがこの登記は(前任の)社長辞任届や株主総会議事録などことごとく偽造されたものだ」と言うのだ。
 法務局へ提出する公文書を偽ることは、国を騙そうとするもので、発覚した際は極めて厳しい処罰を受ける。高名な弁護士である伊東秀子氏(札幌市)が顧問を務める電気軌道がそんなとんでもないことに手を染めるとはすぐには信じがたいが…。情報提供者は「これが証拠だ」と次々と変更された登記のコピーを示して、まぎれもない事実であると説明する。
 示された登記のコピーによると、変更登記されたのは「有限会社エルヴ」。取締役の河西利記氏が9月19日に辞任して11月1日に電気軌道の取締役である蟹谷正氏が取締役に就いたとなっている。変更登記申請書には「株主総会議事録1通」「株主名簿1通」「辞任届1通」「就任承諾書1通」「印鑑証明書1通」が添付されているが、情報提供者はそのことごとくが「都合の良いようにでっちあげたものだ。15年前に世間を騒がせたタレントの織田無道の犯罪と同じ手法。虚偽申請で取締役になった蟹谷氏だけでなく、登記変更を指示したであろう電気軌道の村中(浩)社長、宮本(典洋)常務も刑事罰を免れない」と言い切る。
 「織田無道の犯罪」とは、2002年2月に発覚した、宗教法人の虚偽登記。僧侶でタレントの織田氏が、東京都町田市で墓地を経営する宗教法人の役員会の議事録などを偽造して登記所に提出し、代表役員が自分に代わったとの虚偽の登記変更を行ったもの。町田市の宗教法人を乗っ取ろうとしたとして、織田無道は神奈川県警に公正証書不実記載罪の疑いで逮捕され、タレント生命は終わった。

子会社3社とも交代
 辞任届を偽造された河西氏は9月まで電気軌道社長を務めていた。電気軌道の子会社3社(エルヴと旭友リース、上川商事)が所有する電気軌道株での議決権行使は違法だと、伊東弁護士、宮本氏(当時は東神楽農協購買部資材燃料課課長補佐)に追及され辞任に追い込まれた。エルヴはいわば因縁の深い法人なのである。
 師走に法務局に閲覧申請を行い、株主総会議事録ほか添付された書類を閲覧した河西氏はこう話す。「辞任届は確かに書いた。しかし、法務局に申請されたものは私が書いたものと様式、印鑑が違っている。また、エルヴの株主は私も含め8人のはずだが、添付書類ではすべて電気軌道が所有している。私も含め株主に連絡がないままに株主総会が開かれたことになり蟹谷氏の取締役就任承諾書が作成されているのは違法。虚偽登記である」。

表紙1801
この続きは月刊北海道経済2018年1月号でお読み下さい。

旭川市土木部建設課の後味悪い観楓会

 不祥事が相次いでいる旭川市役所で、またも上司による部下へのパワハラが起きた。問題になったのは、土木部土木建設課が層雲峡の温泉ホテルで行った観楓会。深夜まで飲み会が続き、午前3時ごろには会を仕切る課長が部下に対して、宴会部屋にある露天風呂へ入ることを強要した。30人近い職員が所属する同課では、観楓会を楽しみにしている職員もいるが、課長のパワハラに一部の職員から苦情が噴出し、この課長は人事課から厳重注意を受けた。

職員から2通の投書
 今回、層雲峡のとある温泉ホテルで起きたパワハラ騒動について、観楓会に参加したと思われる市職員から、11月21日と同月27日付けで本誌に2度に渡り投書が届いた。二つの投書をまとめると、内容は以下の通りだ。

  ─土木建設課が先日1泊2日で観楓会を開いた。そこで課長による部下へのパワハラが起きた。露天風呂つきの宴会部屋で、課長が夜中の午前3時過ぎまで大はしゃぎ。部下に対しては、「露天風呂に入っていない奴は入れ。入ったら人事評価点+10点」などと言いながら、いい加減眠りたい部下を強引に露天風呂へ入れようとした。挙句の果てに、だれが風呂に入ったかを確認するため証拠写真まで取る始末。
 そもそもこの課長は、ちょっとしたことで声を荒げる超ワンマンな人物。普段から部下たちは、彼(課長)の顔をうかがいながら仕事をしている。どうすれば課長に怒られないか、そればかりを考えて仕事をしなければならないという習慣が身についてしまっている。
 今回のパワハラ問題は、部下の一人が市長への手紙や人事課へのメールで伝えたため判明した。それを受けて人事課は調査を始め、本当に課長のパワハラがあったことを確認した。ところが、当の課長ばかりか観楓会に参加した職員全員が、人事課から訓示を受けた。
 悪いのは課長ひとり。部下たちは嫌々付き合わされたのに、なぜ部下たちも怒られなければならないのか不思議だ。これまで課長が行ってきた部下へのパワハラを含めて、市は厳重な処分を科すべきだ。

表紙1801
この続きは月刊北海道経済2018年1月号でお読み下さい。

外来種アライグマ旭川で捕獲数急増

 愛くるしい姿で動物園でも子供たちに人気のアライグマ。実は生態系への深刻な影響が懸念される外来種動物で、旭川を含む道北エリアで捕獲数が急増している。農作物を食い荒らすなど被害が広がり、市ではワナを貸し出すほか、本格的な捕獲作戦を視野に、GPS発信機を駆使した行動調査に乗り出した。

「ラスカル」で人気者に
 40代以上の読者ならば、アライグマと聞けばテレビで放映されていたアニメ「あらいぐまラスカル」を思い出すのではないだろうか。動物好きの主人公の少年とラスカルが一緒に過ごした1年間を描いた作品で、1977年1月に放映された。ラスカルのやんちゃで愛らしい姿が人気を集め、不朽の名作として語り継がれている。最近ではスマホのLINEスタンプのキャラクターとして登場し、人気が再燃している。
 アライグマは、北アメリカ原産の中型哺乳類。成長した個体の体長は41㌢から60㌢で、体重は4㌔㌘から10㌔㌘。尾の縞模様、目の周りの黒いマスク模様が特徴だ。
 森林や湿地帯から都市部まで幅広い環境に適応し、小型の哺乳類をはじめ野鳥やその卵、魚類、両生類、昆虫類、果実、野菜、穀類などを食べ、このたくましい雑食性が強い繁殖力に結びついているようだ。手先が器用で学習能力が高いが、成長すると力だけではなく気性も荒くなるという一面もある。
 アニメ放映をきっかけにペット用に販売されたが、飼育しきれずに捨てられた個体が自然界で繁殖。天敵がいないために次々と数を増やした。
 野生化したアライグマは、畑の果物や野菜を食い荒らしたり、畜舎の餌を盗食。さらに民家の天井裏や床下に侵入して巣を作り、ペットや池の鯉を捕食するなど被害が広がった。また、アライグマより小型で生活域が競合するキツネやタヌキを駆逐するため、生態系にも深刻な影響を与えている。
 2005年には、国外から持ち込まれた外来種の中でも生態系をはじめ人の生命や体、農林水産業への悪影響がとくに大きい「特定外来生物」に指定された。

06年に初捕獲
 旭川で初めてアライグマが捕獲されたのは2006年。市ではすぐに捕獲作戦に乗り出した。
 10年の捕獲数は22頭だったが、翌年の11年には122頭と急増。その後も、14年139頭、15年296頭と右肩上がりで増え続け、16年は307頭と過去最多となった。捕獲作戦が一定の効果をあげているものの、生息数が増えているためにいたちごっことなっているのが実態のようだ。
 このため、深刻になっているのが農業被害。市農政部農畜産係によると、スイートコーンを生産している農家が被害に遭うケースが多く、果樹園ではブドウの被害が発生しており、西神楽をはじめ、神居、江丹別、東鷹栖、東旭川町瑞穂など市内全域に被害が広がっている。
 農家だけではなく家庭菜園も被害に遭うケースが後を絶たない。神居エリアに住む男性は趣味で手がけていた畑をアライグマに荒らされ、ついに畑づくりを断念したという。「畑を囲うなどの対策をしても侵入し、トウモロコシが全滅した。もっと駆除に力を入れて欲しい」と憤りを露わにする。
 今年に入ってからの被害額自体は約15万円と多くはないが、市の担当者は「繁殖力が強く、対策を講じないと被害が拡大する可能性がある」と警戒を強める。
 市では、約200台の箱ワナを用意し、要請に応じて農家に貸し出している。今年は約20台ほどが貸し出され、罠にかかったアライグマは安楽死処分された。

GPSを首輪に装着
 生態系保全の立場からアライグマの防除に力を入れている市環境部環境政策課では、今夏からアライグマの行動追跡調査に乗り出した。
 市に事務局を置く「旭川市生物多様性保全推進協議会」(出羽寛会長)が実施するもので、捕獲した個体にGPS送信機が付いた首輪を装着して再び野に放ち、タブレットを用いてアライグマの行動範囲や活動時間を把握するという調査だ。
 8月下旬に西神楽、9月には東旭川で捕獲したメスにGPS送信器付きの首輪を装着。定期的にデータ化しているが、担当職員によると「継続して追跡することが出来ているため、他のエリアに移動することなく、比較的狭い範囲で行動していることが分かった」と話す。
 収集したデータは専門家が解析し、その結果を踏まえて効果的な捕獲作戦に取り組む考えだ。
 「現段階では行動範囲はそれほど広くないようだが、もし行動範囲が近郊市町村にも及んでいる場合には、市単独ではなく他町村との連携が必要になる」(担当者)
 旭川市には、ウチダザリガニをはじめセイヨウオオマルハナバチ、オオハンゴンソウ、アズマヒキガエルという4つの外来種が確認されているが、アライグマはウチダザリガニとセイヨウマルハナバチと並んで、特に生態系や人間活動への影響が大きい生物として日本生態学会が定めた「日本の侵略的外来種ワースト100」のリスト入りしている特に危険度の高い外来種だ。
 旭川での被害を最小限に食い止めるためにも、市の捕獲作戦に期待がかかる。

表紙1712
この記事は月刊北海道経済2017年12月号に掲載されています。

佐々木隆博 盤石の勝利

 7月末に野党の協力が成立することが確定した時点で、佐々木隆博氏の優位は誰の目にも明らかだった。そこに降って湧いた希望の党の結党と民進党衆院議員の合流、そして立憲民主党の結党。激動の中でも佐々木陣営ではこれまで通り組織が機能し、共産党をはじめとする他党の協力も得て、終わってみれば今津寛氏に2万票以上の差をつける危なげない勝ちっぷりだった。(文中敬称略)

手探りの中で選挙活動スタート
 9月29日に行われた佐々木の事務所開きは、当時の民進党代表・前原誠司が希望の党への事実上の合流を提案し、了承された民進の両院議員総会の2日後。民進党道連代表として事前に打診を受けていた佐々木は、すでに野党協力の体制が道内のほとんどの選挙区で整いつつあったことから、民進党からの出馬を目指すすべての候補が希望の党に合流できること、自公候補と「1対1」で戦う構図が維持されることを条件として、合流に賛同した。とはいえ、29日の時点でまだ状況は流動的で、手さぐり状態の中で正式な選挙戦への準備を整えるかたちになった。事務所開きでマイクを握った選対幹部の言葉にも、先行きへの不透明感がにじみ出ていた。
 ところが、同じく29日に東京で行われた記者会見で、希望の党の小池百合子代表が、一部の民進党の立候補予定者を「排除いたします」と明言したことで、それまで好意的だった希望の党への世論が一変し、追い風は瞬く間に強い向かい風に変わった。多くの候補が希望への合流を取りやめ、枝野幸男を中心とする立憲民主党の結党の動きに加わった。一連の交渉や準備を終えて、佐々木が記者会見を開いて自身も立憲民主党の候補として出馬すると発表したのは10月3日夕方のこと。その背後のポスターには、「民進党」のロゴの上から急造した「立憲民主党」のシールが貼られていた。

希望候補優先で決断 立憲民主に参加
 民進党道連で代表を務めていた佐々木は、自分の選挙のことだけでなく、地盤も知名度も資金も足りないなかで立候補の準備を進めていた他の選挙区の新人候補にも配慮しなければならなかった。このためすべての候補の合流を条件にしたわけだが、道4区に希望の党の政治塾に参加していた人物が擁立されることが決まり、もともと民進党公認で出馬する予定だった元職が希望の党から公認を得られないことが明確になった以上、希望の党から出馬する理由もなくなった。
 民進党には、憲法改正に前向きな国会議員もいれば、護憲を信条とし、格差縮小を主張する議員もいる。佐々木は典型的な後者で、先の民進党代表選では同様のスタンスを取る枝野の推薦人に名を連ねた。こうした状況を考えれば、もともと佐々木が、改憲を主張する小池の下で選挙は戦うとは考えにくかったし、仮にそうなっていたら、従来の主張とのズレを今津陣営に鋭く攻撃されていたはずだ。そもそも、佐々木が希望に加われば、自民、希望、共産が入り乱れた道2区のように野党協力が崩壊するのは確実であり、前回と同様の激戦になるのは避けられなかった。

三井あき子人脈で経済界にも切り込み
 慌ただしい中でスタートしたとはいえ、公示以降はこれまでの佐々木の選挙を支えてきたいわゆる三軸(党、労組、農民連盟)プラス後援会が滞りなく機能した。別稿の通り、立憲民主党と共産党、社民党、新社会党、緑の党、そして市民団体「6区市民の会」との協力関係も期待通りの効果を発揮した。
 民進党系の道議や市議も、選挙戦を支えた。中でも注目を集めたのが道議の三井あき子だ。前回の道議選で木村峰行がまさかの落選に終わったことから、現在、旭川選出の民進党系道議は三井だけ。選挙戦終盤、その三井が佐々木候補の息子を伴い、かねてから懇意にしている経済人の自宅を訪ねた。
 「私は今津さんの長年の友人。三井さんのことも若いころからよく知っているが、これまでの国会議員選挙で三井さんからこのように支持を頼まれたことはないので驚いた」。木村が広い人脈を持つ労組を通じた運動を展開したのに対し、労組色が比較的薄い三井は、新たな試みとして、今津に近い経済人への切り込みを図ったようだ。
 そして10月22日の投開票。選挙事務所に詰めかけた支持者たちの表情は、マスコミ報道などで佐々木の優勢を確信していたためか、表情は一律に明るかった。民放が次々と「佐々木当確」を報じたものの、選対幹部らはテレビに映し出されたNHKからの当確を辛抱強く待った。しかし、支持者を遅くまで事務所に引き留めておくわけにはいかないとの判断で、NHKの当確を待たずに、付近のホテルで待機していた佐々木と家族を呼んだ。
 登壇した佐々木はダルマに目を入れたあと、「初めての取り組みとして野党がしっかり連携した。後援会、三軸、5党の皆さん、選挙期間中に駆け寄ってくださった皆さんの思いを選挙戦で感じた。こうして今日、みんな揃って、この日を迎えることができたのも、みなさんのおかげです。明日から国会でしっかりと戦いたい」と語った。花束を手渡されたものの、いつも苦労をかけているとして、すぐに夫人にその花束を手渡した。
 結果的には佐々木が今津に2万2461票の差をつけて「V4」を成し遂げた。佐々木対今津の直接対決は09年、12年、14年、そして今回17年の4回あるが、これで佐々木の3勝1敗となった(初出馬の05年は金田英行に勝利)。
 地域別に2人の候補の得票数を分析すれば、6区内にある4つの市のうち、佐々木は大票田の旭川市で約1万5000票勝ち、自衛隊員の多い名寄市で負けたものの、士別市、富良野市でも勝った。町や村でも概ね有利に戦いを進め、昨年夏の台風被害からの復興活動に今津が力を入れた南富良野町でも佐々木が勝った。佐々木が負けたのは、愛別町、上富良野町、中富良野町、下川町、中川町、幌加内町だが、多くの町では僅差の負けにとどまり、町村部全体では約4200票、佐々木が上回った。
 選挙期間中、今津の選挙活動に関わった旭川市の経済界は「与党議員がこの地域から消えれば大変なことになる」と「警鐘」を鳴らした。当選後、佐々木はこうした主張に「まっとうな政策なら与野党関係なく実現するはず」と反論した。そもそも公共事業で潤う一部の業界を除けば、与党議員が存在することの利点やアベノミクスの具体的な効果を6区の有権者の多くが実感できていないことが、佐々木の勝利につながったとも考えられる。

安井吉典以来の「政党副代表」
 選挙戦の期間中には立憲民主党で佐々木が副代表・総務委員長に就任したことが発表された。枝野代表ら6人からなる執行役員にも名を連ねている。この地域から選出された政治家として、政党でここまで高い地位を占めるのは1977年から社会党の副代表を務めた安井吉典以来のことだ。民進党では組織委員長を努める傍ら、国会では主に農業に取り組んできた佐々木だが、今回の選挙では同じく農業に明るい新人の神谷裕が道10区から出馬、比例復活を果たしたことから、協力して道内の農業が抱える課題に取り組む一方、党の中でも指導力を発揮することが予測される。
 一方で、今回の選挙で自公連立与党が3分の2の議席を確保したのも事実。立憲民主党は野党第一党として他の野党とともに強大な与党勢力と対峙する方針だが、維新などスタンスがまったく異なる野党もあり、佐々木を含む立憲の幹部は苦労を強いられそうだ。
 なお、佐々木は現在68歳。あと3年で、佐々木秀典が隆博に地盤を譲ったときの年齢、71歳に達する。西川将人旭川市長の今後と絡んで佐々木が次の衆議院選挙に出馬するかどうかが早くも注目を集めているが、佐々木自身は(次の選挙のことは)「まったく考えていない」とだけ語り、そうした憶測に釘を刺す。

表紙1712
この記事は月刊北海道経済2017年12月号に掲載されています。

大地震倒壊の恐れ 旭川市内18施設

 公有・私有の旭川市内18施設が「震度6強から7程度の大地震で倒壊や崩壊の危険性がある」との、耐震診断の結果が出た。公共施設は耐震改修が計画的に進められているが、民間施設所有者は巨額な改修費用に頭が痛い。

飲食店ビル、病院…
 震度6強から7程度の大地震で倒壊や崩壊する危険性のある市内の大規模な建物が10月末に公表された。以前から耐震不足が指摘されてきた市総合庁舎と市民文化会館の管理棟がリストに上ったことに驚きはないが、市内の病院、ファッションビル、飲食店ビル、ホテルも含まれていた。また、児童・生徒が通う市立の小中学校も一部で耐震不足が発覚。市、そして民間の今後の対応が注目される。
 市内の大規模建築物の耐震診断の結果は、市のホームページに掲載された。大規模施設に義務付けられた耐震診断の結果として施設名が明らかにされたのは初めて。
 国の法律改正によれば、2年前の2015年末までに、所管する行政庁、つまり旭川市に報告することが義務付けられていた。そして、その結果は公表しなければならないならないことになってはいたが、いつまでという規定はなかった。このため、道内の各市では公表を見送っていたが、全国的に公表する動きが活発化したため、このほど道内10市が同時に公表することとなった。
 公表の対象となったのは、1981年の耐震基準強化以前に造られた 建物のうち、3階建て以上で、床面積5千平方㍍以上のホテル、病院、百貨店、商業ビルなど。また、一定規模以上の小中学校も含まれる。 
 診断は、震度6強から7程度の大規模地震で、倒壊や崩壊の可能性について「危険性が高い」、「危険性がある」、「危険性が低い」の3段階で評価することになっている。 
 仮に「危険性が高い」と評価されても違法性はなく、震度5強への耐震性は保たれているとされる。しかも、改修はあくまで努力義務で、耐震改修に強制力はない。道内各市町の公表は全国で45番目。対象の大型施設が全国で5番目に多く、公表に時間がかかったようだ。

表紙1712
この続きは月刊北海道経済2017年12月号でお読み下さい。

旭川最古の地域イベント「こたんまつり」60周年

 アイヌ民族の聖地として知られる旭川市の神居古潭(神居町)で旭川最古の地域イベント「第60回こたんまつり」(実行委主催)が9月23日に開かれ、家族連れや観光客など約7000人が訪れた。アイヌ文化の伝承や神居古潭地域の特産品のPRを目的に毎年「秋分の日」に開催し、今回のテーマは「温故知新」。開会式で来賓の笠木薫旭川市議会議長は「神居古潭は魔神が棲んでいたという伝説が残る神秘的な地域で、アイヌの人々が受け継ぐ古式舞踊や伝統儀式が末永く継承されますように」などと語った。
 名寄市の富岡達彦さんが扮する一日駅長の合図とともに汽笛が鳴り、イベントを開始。旭川チカップニアイヌ民族文化保存会と帯広カムイトウウポポ保存会のメンバーが、まつりの由来でもある、石狩川に木幣(イナウ)を捧げるアイヌ民族の伝統儀式「カムイノミ・イナウ」を執り行った。60回記念コンサートでは帯広カムイトウウポポ保存会が、十勝で100年以上前にバッタが大量発生した実話を元にしたアイヌの古式舞踊を披露。演目「クリムセ(弓の舞)」は、弓を構えたものの、仲睦まじい鳥が舞っていたため、矢を射ることができなかったという踊り。歌に合わせて踊る「ポロリムセ(輪踊り)」では、観客も参加し和気あいあいとした雰囲気に包まれていた。

表紙1711
この記事は月刊北海道経済2017年11月号に掲載されています。

大丈夫か旭川電気軌道 不可解な役員の顔ぶれ

 今年3月の株主代表訴訟で始まった老舗企業・旭川電気軌道の経営スキャンダルは河西利記代表取締役社長辞任に発展した。10月11日に臨時株主総会が開かれいったん役員は総辞職し新役員が選出されたが、取締役6人、監査役1人、計7人の顔ぶれは不可解なものとなった。

河西社長辞任
 発端は、今年3月の株主代表訴訟だった。
 原告は電気軌道の株主24人。訴えによると、「元代表の豊島弘通氏は子会社3社を使って親会社である電気軌道の株式を取得するとともに株式を違法に名義変更し、巨額な背任行為を行った」。本来なら賠償を求める相手は元会長本人だが、2015年12月に82歳で亡くなっているため、損害賠償責任は相続財産に含まれるとして、妻と息子、娘の4人の相続人を被告として2億6433万円の損害賠償を求めた。
 この訴訟は相続人への損害賠償請求にとどまらず、子会社「㈲ヒューマック」の設立時の疑惑、実質的な子会社である「㈱光陽商事」のヒューマックなどへの不可解な事業移転追及へと波及していく。株主代表訴訟が起こされてから3ヵ月後の6月23日に開催された電気軌道の株主総会では、男性株主が「ヒューマック設立時に電気軌道が常軌を逸した低金利で資金を貸し付けたのは利益相反行為だ」と河西社長らを厳しく追及。「子会社である3社(旭友リース、エルヴ、上川商事)に議決権はない。(この総会での)役員改選は無効である」とも訴えた。
 総会開催の直前、光陽商事の社長(電気軌道の会計士でもある)を務めていた税理士の小関健三氏が突然辞任した。光陽商事は、電気軌道相手に燃料とタイヤ、自動車部品などの販売、自動車保険業務を行う会社で、電気軌道株108万5700株を所有する最大の株主。光陽商事の事業は、小関氏が休眠会社を見つけて買い取り新たに登記したヒューマックに次々と移されていた。小関氏が社長を辞任したことで、元社長の小山田実氏がトップに復帰した。
 そして小山田社長は、株主総会で男性株主が主張した「ヒューマックへの低金利貸し付けは利益相反行為」「本来は無い子会社3社の議決権を行使した役員再任は無効」との訴えを入れて、河西社長と大竹泰文専務の解任請求を旭川地裁に起こした。さらに、筆頭株主として電気軌道の臨時株主総会召集も請求。河西社長は「解任の理由が分からない」と、小山田社長に解任請求取り下げを求めたが、ヒューマックなどへの事業移転を画策された小山田社長の河西社長、大竹専務への不信感は強く、取り下げを拒否。結局、河西社長は9月13日に辞任となった。

表紙1710
この続きは月刊北海道経済2017年10月号でお読み下さい。

前代未聞 旭川市庁舎110万円盗難事件

 旭川市庁舎の金庫から現金が盗まれるというのは前代未聞。扉を開けるダイヤル番号と、マックス110万円が保管されているタイミングを知っている関係者の犯行と見られる。事件発生から1ヵ月余りが立つが、この窃盗事件捜査は大きな
進展を見せていない。

16年前の旧式金庫
 市によると、犯行に気が付い
たのは休日明け9月11日の午前8時半ごろ。2階の介護高齢課に設置されている金庫の扉が、半開き状態になっているのを出勤してきた職員が見つけ、中を調べたところ保管されているはずの現金がなくなっていたという。すぐに旭川中央署に被害届を提出し、警察官が指紋や足跡などを調べ、窃盗事件として捜査が始まった。
 金庫は福祉保険部の保険制度担当部長席にほど近い書類などが山積している場所に設置されていた。一般市民からは死角になっており、金庫があることは市の職員しか知り得ない状況。大きさはタテ約70㌢、ヨコ約50㌢、奥行約50㌢で、かなりの重量があり一人ではとても持ち上げるのは困難だ。
 金庫は2001年に購入されたもので、扉を開けるには鍵とダイヤル番号を知っていることが条件。番号は購入されて以降、一度も変更されていない。市によると、「16年も前の旧式だけに、変更は難しかった」。これまで延べ34人の職員が管理に係ってきた。つまり、ダイヤル番号を知りうる立場にあったわけだ。

表紙1710
この続きは月刊北海道経済2017年10月号でお読み下さい。