新谷建設巨額増減資の〝理由〟

 北洋銀行が今春、旭川商工会議所の新谷龍一郎会頭が社長を務める新谷建設㈱(旭川市6条通3丁目)に対し、資本金と資本準備金合わせて16億円の巨額出資を行った。その分の増資を新谷建設は5月にそっくり減資。「増減資」は債務超過解消のスキーム(計画を伴う枠組み)となるのが通例で、経済界からは「債務超過の原因は何だったのか」と心配の声があがっている。

3月に増資して5月に減資
 今春4月の官報に、新谷建設の「資本金及び準備金の減少公告」が掲載された。文面はこうだ。
 当社は、資本金の額を八億円、資本準備金の額を八億円減少し、それぞれ五千万円、0円とすることにいたしました。
 なお、期中に増資を行い現在の資本金の額は八億五千万円、資本準備金の額は八億円となっております。
 この決定に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
平成二十八年四月八日
旭川市六条通三丁目右10号 
新谷建設株式会社 
代表取締役 新谷龍一郎

(この公告には併せて、貸借対照表の要旨が掲載された)

shinya 新谷建設のもともとの資本金は4000万円。公告で「期中に増資を行い」とあるが、実際、今年3月28日に8億1000万円を増資して8億5000万円とし、同時に8億円の資本準備金が積まれた。この増資分と資本準備金の合わせて16億円を減資しますと、官報の公告で伝えているのだ。
 その後、公告通り、5月16日付けで減資され、新谷建設の資本金は以前より1000万円だけ増え5000万円となっている。
 増資は、運転資金や設備資金、または新規事業に使う資金調達の手段だ。実施すれば資金繰りが楽になり財務基盤の強化につながる。また減資は、その目的のほとんどは累積赤字の補てんか節税である。
 また、増減資は、債務超過解消のスキームとされる。いったん増資し、繰越欠損金を資本金で埋めると、減資したときには欠損金は消えている。
 例えば、純資産・資本金1000万円のA社があったとして、この会社が500万円の繰越欠損金を抱えていたとする。その場合、500万円増資すると資本金は1500万円に増額され、続いて500万円を減資すると、資本金は元の1000万円に戻る。繰越欠損金は増資分で解消し、スッキリと帳簿上の見た目がよくなる。
 資本金が1218億円もあった大企業のシャープが、1億円にまで減資し税制上の優遇措置を受けて収益回復を図る奇策を打ち出したのは記憶に新しい。スケールは格段に違うが、資本金4000万円の新谷建設が、一挙に20倍強資本を増やし、また増資と同じ額の資本準備金も積み、それらをすぐに減資するというのは注目すべきニュースだ。

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この続きは月刊北海道経済2016年12月号でお読みください。