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銭湯の経営危機 「菊の湯」「御料乃湯」廃業
コロナ禍に加え燃料や電気料金の高騰で銭湯が危機的状況で、旭川市浴場組合トップとして奮闘してきた熊谷清志さん経営の「菊の湯」も閉店に追い込まれた。神楽エリアのスーパー銭湯も苦渋の閉店。 廃業を決断した菊の湯 神楽エリアの銭湯 3月末日でまた一つ、旭川から公衆浴場が消えていく。神楽5条14丁目にある、創業46年の「菊の湯」だ。 経営するのは旭川浴場組合の組合長を務める熊谷清志さん。「組合長の任期途中で辞めるのは心苦しいが、入浴客減による売り上げ減少が続いており、これに最近は燃料費や電気代の高騰が加わった。情けないが、営業を続けていけばいくだけ赤字が膨らんでいくのが実情だ。悩んだ末、閉店を決意した。6月の改選まで組合長は続け、閉店後もできるだ... -
無惨! クリスタルホール音楽堂が劣化
たゆたうピアニシッモ(最弱音)が減衰し虚空に吸い込まれる─。「森の中にいるような」「自らのピアノの音が明瞭に聴こえる」とクラシックやジャズの演奏家・愛好家たちが絶賛する旭川市大雪クリスタルホール音楽堂(旭川市神楽3条7丁目)が、オープンから30年を経て無惨な姿をさらしている。市民運動が結実し産声を上げた国内初の音楽専用ホールは、市民全体の財産でもあるが、補修が行き届かず機能が消失しつつある。「見過ごせない」と建設運動の母体となった市民団体が2月、所管する旭川市教育委員会と市に要望書を提出した。 ドアには注意書き 錆び・欠け ドアも傷み音漏れ 建設運動に携わった「ぬくもりホールの会」(村田和子代表)が2月3日、野﨑幸宏教育長と今津寛介市長に要望書... -
2023年04月号の主な内容
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増毛の海に日本製鉄が養分補給
日本の漁獲高は長期的な減少傾向にある。長年指摘されていた乱獲、気候変動などの要因に加えて、近年注目されているのが陸から海に流れ込む養分の減少。砂防事業や護岸事業で水害は減ったが、海藻の生育に欠かせない鉄分をはじめとする養分が海で不足しているというのだ。こうした問題を解決する取り組みの先進地となったのが留萌管内増毛町の海岸だった。 増毛の海の成功体験が日本全国に広がる? 栄華今に伝える 増毛町の市街地の一角にそびえる石造りの建物が「旧商家丸一本間家」。1881(明治14)年から建設された町家造りは、当時のこのあたりの繁栄ぶりを今に伝える。 本間家の隆盛の礎となったのが呉服商、海運、酒造、そしてニシン漁。増毛に限らず、北海道の日本海岸は明治... -
家が引き渡されない!公的補助も受けられず
新築注文住宅の工事請負契約を結んだが設計通りに施工されないうえ、契約に盛り込まれた公的優遇措置を得られる制度の利用も施工業者の不手際で受けることができないまま工事を中断し投げ出されてしまった、として旭川市内に住む40代の夫妻が市内の建築会社A社と一級建築士B氏を相手取り、建物の引き渡しと得られるはずだった公的優遇措置・補助費・カーポートやり直し費用など計400万円の損害賠償を求め旭川地裁に提訴し、係争中だ。一生に一度の買物ゆえに施主(発注者)は、右も左も分からないある意味弱い存在でもある。制度のほころびを含め、こうした問題点が本件訴状に浮き彫りにされている。訴状を基に追う。 車両擦るカーポート 訴状などによると、夫妻は旭川市内の所有地... -
厚労省から〝お墨付き〟中央精工「臓器灌流保存装置」
精密機械加工の〝匠〟旭川市の「中央精工㈱」(永山2条11丁目)が、これまで培ってきた産業用の自動装置技術を駆使して開発した「臓器灌流保存装置」が厚生労働省から国内で初めて認証された。日本の移植医療の発展につながる快挙で、医療機器として製造販売することが可能になった。 臨床試験15例全て成功 この装置の正式名称は「腎臓用臓器保存庫CMP─XO8」。一般的に移植用の臓器は、ドナー(臓器提供者)の体から取り出した臓器を患者に移植するまで劣化しないようクーラーボックスに保存するが、血流が途絶えるため、臓器の機能は低下してしまう。そこで中央精工が開発したのが、保冷庫に保存した臓器にポンプで栄養素や酸素を注入した保存液を、循環させて保存できる装置だ。 保... -
2023年3月号の主な内容
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半世紀前の「道北経済」誌面作り
1966(昭和41)年に『道北経済』として創刊した本誌は、650号を迎えた。創刊時の関係者はほとんど鬼籍に入ったが、「創成期」の誌面づくりの様子を今も記憶するのが、長年本誌の編集長を務め、昨年の10月号を最後に引退した村上史生氏だ。半世紀以上の記者人生の中で数え切れないほどの政治家、経営者、市井の人々を取材してきた村上氏に本誌が初めて取材。1970年代の誌面づくりの様子を振り返ってもらった。 最初の仕事は所得番付 本誌を創刊したのは初代の編集人であり、経営のトップでもあった伊勢常雄氏。戦前から新聞記者として働き、新北海や北海道新聞に勤務していた。昭和40年代に入ってから、道央圏に負けじと道北に根ざした政治経済誌の発行を志すことになる。当時はキャリ... -
札幌新幹線ホーム不足 旭川市の「本気度」に疑問符
新幹線札幌駅の構造のために旭川延伸が極めて困難になるのではないかとの懸念を、本誌は過去にも取り上げてきた。一部読者からは「政界経済界が団結して努力しているのに冷や水をかけるような真似はするな」との批判もいただいた。最近、旭川市が、そういった問題がないことを確認したとの情報を得たため、改めて取材したところ、市の担当者は新幹線の線路が札幌で「どんづまり」にさえならなければ問題ないとの認識で、ホームの数には関心がない様子。当然、十分なホームの数を確保するための働きかけも行われていない。選挙のたびに公約に登場する新幹線旭川延伸の前に数々のハードルが立ちはだかっているのは周知の事実だが、これでは旭川市や政治家たちの「本気度」が疑われる。 ... -
山が動いた 深川市長選挙
一言で表現するなら〝山が動いた〟選挙だった。師走にあった任期満了に伴う深川市長選で、労組を支持基盤に初当選を果たした田中昌幸氏(61)=前市議会副議長=は、1892(明治25)年に屯田兵が入植し深川村が設置されて以来初のリベラル系首長となる。農村社会に培われたある意味保守的な風土性の変化の兆しを象徴する選挙戦でもあった。「変えよう!」のアプローチは、市井で子育て中のママや若者らを突き動かしたようだ。 当選祝いの花束を手にする田中氏(左から2人目) 屯田兵培う風土性 今も色濃く残る「田中は、組合ときっぱり手を切らんと市長にはなれん」。もう16年ほど前になるだろうか、田中氏の市長選出馬の可能性の有無を問うと、深川市内で長く土建業を営んだ社長が当然のご...