上川建設業界に想定外の景気対策

 今年8月、道内を襲った連続台風(7・11・9号)は上川管内にも甚大な被害をもたらしたが、復旧には北海道上川総合振興局旭川建設管理部から応援要請を受けた旭川建設業協会が緊急対応。協会として初めて災害対策協力本部を設置し、総力戦で臨んだ。しかし、災害発生前から取り組んでいた工事も多く、現場を掛け持ちしなければならないばかりか、建設不況による人材不足も重なり、OBや大工職人まで駆り出して対応に追われている。

「瀬替」で切り替え
 この連続台風の影響で美瑛町では、河川の氾濫や用水路の決壊で土砂、泥水が農地に流入。来年の作付けができない圃場が多くみられ、そのうえ地盤が緩み、市民生活にも支障をきたした。
kamikawa 道道天人峡美瑛線では、忠別川の増水による道路の決壊が4ヵ所で発生。延べ約1㌔にわたり不通となり、天人峡温泉郷の宿泊客約90人が孤立する事態に見舞われ、旭川選出の今津寛衆議とともに視察に訪れた自民党幹事長の二階俊博氏は「これを激甚と呼ばずして何を激甚というのか」と惨状に驚いた。
 そして、この被災地の復旧作業にあたったのが、災害発生前から付近で橋梁工事を行っていた旭川市の老舗土木建設会社の廣野組と新島工業。両社とも「天災をそのまま放置するわけにはいかない」と橋梁工事などをいったんストップさせ、夜を徹して復旧作業にあたった。旭川では滅多に目にすることがないという32㌧級のブルドーザーで土砂を運び、高さ約3㍍、延長約400㍍の盛り土をつくり、「瀬替」と呼ばれる伝統的な土木工法で川の流れを切り替えた。
 使用した土砂は、砂利と岩砕を合わせた火山灰2万立方㍍、10㌧ダンプ4000台分にのぼった。災害復旧作業は時間との勝負。
いかにスピード感を持って被害を最小限に食い止めるかが腕の見せ所だが、
ダンプは数分おきに土砂を積んで現地へ。機動力を発揮し流出した箇所の盛り土、路盤層の作成、アスファルト舗装を行い、1ヵ月で開通にこぎ着けた。
 廣野組の中谷登社長は「これまで受け継がれ、経験で知りえた〝経験工学〟に基づき、水の流れを変えて道路を再構築し、車両の安全通行を確保することを最重要事項として取り組み、早期の復旧が可能となった。住民にも感謝され、私たち自身の励みにもなり、使命感を自覚することにもつながった」と話す。
 美瑛町白金にある砂防堰堤施設で、人気の観光スポットともなっている「青い池」でも、水が濁ったり、護岸・遊歩道が壊れるなどの被害があった。青い池では、近隣で砂防工事を請け負っていた旭川のタカハタ建設が対応。紅葉シーズンを迎える9月の大型連休を前に一般公開が再開された。地元町民は「今までより青くなったのでは」と喜んでいる。

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この続きは月刊北海道経済2016年12月号でお読みください。