ワンマン豊島会長に本人訴訟で勝った電気軌道社員

 解雇が不当かどうかを巡る旭川電気軌道と男性社員の争いは、旭川地裁ー札幌高裁に続き最高裁でも男性社員が勝利した。4年7ヵ月にわたる長い裁判は、弁護士など訴訟代理人を立てずに男性社員自身が裁判手続きや書面作成などをすべて行った。こうした「本人訴訟」の著名な例としては「旭川市国保料訴訟」「ロス疑惑報道名誉毀損訴訟」などがあるが、最高裁を舞台に、本人訴訟で勝利したのはきわめて稀な事例。

一審、二審と勝利
旭川電気軌道と争っていたのは旭川市東光の山崎嘉之氏(48)。
一級建築士の山崎氏は、電気軌道のスーパー事業・旭友ストアーの新店「函館エフロード」の開店準備工事の監督業務にあたるため2008年2月に正社員として採用された。
エフロードは山崎氏が採用された2ヵ月後にオープン。1週間は盛況が続いたが、近接してイオンのマックスバリューが開業すると一気に客足は遠のき、月額売上げが目標の10分の1という目も当てられぬ惨状となった。結局、8ヵ月で閉店・撤退。函館での大コケで電気軌道は2億円の損出を蒙ったといわれる。

最高裁も、社員の訴えを認めた

ワンマンで知られる豊島会長が「改修担当者が金をかけ過ぎたのが失敗の理由だ」と公言し、「業務指示に対する違反」「組織統制を乱した」などを理由に山崎氏に解雇を通知。対する山崎氏は「入社間もない私に改修費を決定する権限などあるはずがない。電気軌道でそれを決められるのは豊島会長だけ。まったくの言いがかりで、出店失敗の責任を回避し私に転嫁しようという悪質な不当行為だ」と主張。①労働契約上の権利を有することを認めよ②08年12月以降の給与支払い③08年12月以降の賞与支払い─などを求めて訴訟を起こした。
一審(旭川地裁)は09年4月に始まり、10年4月に山崎氏の主張を全面的に認める判決が出された。解雇不当の訴えとは別に、「生活を脅かされ精神的に大きな苦痛を受けた」として慰謝料請求の訴えも起こされていたが、こちらも山崎氏勝訴。
電気軌道側は一審の判断を不服として上告し二審(札幌高裁)が10年9月から翌11年10月まで続いたが、こちらも山崎氏が勝訴した。
ところが二審の判決も不服とした電気軌道は、11年11月に最高裁に上告。山崎氏と電気軌道の争いは最高裁の判断に委ねられた。

(この続きは月刊北海道経済8月号でご覧ください)