森山領が出馬要請を断った3つの理由

 今年11月に行われる旭川市長選に向けた自民党旭川支部(東国幹支部長)の候補擁立作業が難航している。当初、6月中には候補者の絞り込みに入る予定だったが、人選作業の頼みの綱でもある今津寛衆議も加藤礼一道議会議長も、それぞれ〝意中の人物〟からは「お断り」の回答を受け、さらに選考委員会の次回開催の見通しも立たない状態。選挙に向け体制を固めるどころか、機能停止状態だ。支部内からは幹部の責任を問う声まで噴出している。(敬称略、記事は7月7日現在)

条件が良すぎた
自民党旭川支部は、今年2月に発足した「候補者選考委員会」(森本茂廣委員長)を中心に候補者選びをスタート。選考委内の議論と並行しながら、水面下では今津と加藤、東の選考委顧問3人が、出馬の可能性がありそうな人物探しを行ってきた。
その中の有力候補とされ、加藤が熱心に働きかけを行っていたのが、かつてHBC旭川放送局に勤務したことのある札幌在住のフリーキャスター、佐藤のりゆき(64)。しかし佐藤は6月12日、旭川グランドホテルで開かれた加藤の政経セミナーで講演した際、旭川市長選への出馬の意思がないことを明言した。
佐藤は「母親が西神楽の出身で、父親が自民党と関わりがあった経緯もあり今回の話は光栄でうれしい」としながらも、「札幌に住んでいるので旭川の方には大変申し訳ない」と語った。
これに対して加藤は「やわらかく断られた」と苦笑しながら、「もう一度考え直していただけないか。佐藤さんが旭川に住んでいなくても、お母さんがいるだけで十分。月曜から金曜まで旭川にいて、土曜だけ札幌に帰ってラジオの番組に出ればいい」と翻意を促したが、佐藤は丁重な口調で断った。
本来ならその日、佐藤は旭川に宿泊し、セミナーの後、加藤らと食事を共にする予定になっていたが、その意図を察したためか、「急な仕事ができた」とセミナー終了後、直ちに札幌に戻り、「帰さないつもりだったのに」と加藤を悔しがらせた。
加藤にとって、知名度があり、地方自治にも精通している佐藤の条件は優れていたのかもしれないが、支部関係者は「むしろ条件が良すぎた」と指摘する。佐藤に対しては、札幌で若手の企業経営者らの間で次回以降の知事選への出馬を促す動きもあり、その方向で話が進展する可能性が指摘されている。
候補選びが難航し、支部の中からは現市政との「相乗り」やむなしとの声も漏れ始めた。加藤はかねてから「西川市政には期待が持てず、相乗りできない。トップが代わるとマチが良くなる」との持論を繰り返しているが、肝心の候補が見つかるかどうか。

永遠の市長候補
一方、今津が直談判した相手が、旭川市内で医療法人社団元生会森山病院の理事長・院長を務める森山領(60)。今津は、加藤のセミナーと同じ6月12日、森山を突然訪ね「今回のこと(自民党の候補者選び)は、すべて自分に責任があるので、なんとか出てくれないか」と頼み込んだ。
ところが、森山の態度もつれなかった。6月30日には「市長選には出られない3つの理由」を文書にしたため今津に手渡している。この時は加藤も同行し「一丸となって応援する」と言ったが、森山を翻意させるだけの説得力はなかった。
「3つの理由」とは次のような内容だった。
moriyama1つ目は、森山が理事長を務める森山病院の新築という大事業を抱えていること。
2つ目は家族の問題。森山の妻をはじめ、家族全員が猛反対している。森山の父・元一(故人)は1971年、革新市政の継続を阻止しようと保守系候補として市長選に出馬し、現職3期目の五十嵐広三と死闘を演じたが、その時以来、森山一家は選挙に対しては嫌悪感を抱いている。
そして3つ目が、「今の自民党には信頼が置けない」というものだ。森山は「経済界から『西川相乗りでもいい』という言葉が出ていること自体、信頼できる状況にない」と言う。
そして「1年前から出馬を勧められているならともかく、タイムリミットが近づいてきたこんな時期に言って来るなんて。声をかけてくれたことには感謝しているが、リスクを越えるだけのものが見当たらない」。

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この続きは月刊北海道経済2014年8月号でお読みください。