西武B館の一部地権者は「冬のキリギリス」

 6月2日、閉店が決まった西武旭川店とB館地権者の間で協議の場が持たれた。西武は、開業前に地権者へ預けた敷金の返還を求める代わりに建物の原状回復を実施する予定だが、何人かの地権者が敷金を使い果たしてしまっているため、その代償として土地と建物の無償譲渡もしくは地権者にとって相当不利な条件が西武から突きつけられる可能性が高くなった。B館は道外の大手小売業から入居の打診が多く寄せられていたが、「冬のキリギリス」となった地権者相手では、テナント契約する土台すら作れない状況だ。

交渉の足かせに

 3月8日に西武旭川店の閉店が公表され、その後3月28日に旭川市や商工会議所、平和通商店街振興組合、上川総合振興局の4者が西武本社を訪れ、閉店撤回を求めた。その場であっさり西武に拒否されたが、4月21日、今度は西武の担当者が旭川市を訪れ、「閉店後の従業員の雇用やテナントの問題、営業終了後の建物の活用について、4団体をはじめ関係者らと密に連絡を取り解決策を探る」と伝えた。

 この時、西武の担当者は地権者とも話し合いの場を設けた。地権者の一人は「協議中のため何も話すことはできない」と言葉少なに取材を断った。
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 ただし、本誌6月号でも指摘したが、総額20億円とも30億円とも言われている西武から預かっている敷金の返還ができない地権者が何人もいるという情報が、関係者の間から伝わってきた。

 敷金の返還は今すぐに行なわれるわけではない。西武が閉店する9月末から来年1月末までの間に建物の原状回復を行い、それを地権者が確認した後に支払われる。原状回復とは、建物が完成した当時の状態に戻すことで、店内の間仕切りや内装、什器などがないスケルトンの状態を指す。

地権者の明暗分かれる

 西武旭川店は開業から41年目を迎えた矢先に閉店となるわけだが、取材を進めていくうちに地権者の中で「西武から預かった敷金を使い果たし、返還する見通しが立たない」と、うろたえる地権者が相当数いることが判明した。40年以上前の契約のため、地権者は親から子へ、中には孫に受け継がれている場合もいる。そうした中で、「おばあさんが贅沢三昧で使い果たした。家賃収入だけを見て、敷金のことは知らなかった。1億円近い敷金がある」と頭を抱える孫の話も耳に入ってきた。契約から長い時間が経過しているため、何も考えずに遺産として受け継いだことが悲劇を招く結果となったようだ。

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この続きは月刊北海道経済2016年07月号でお読みください。