上川神社祭3条通露店を取りやめ

 短い旭川の夏を彩るイベントの一つが上川神社祭。この期間中、神輿を見たことがない市民はいても、一度も露店を見たことのない市民はいないはずだ。ところが夏の到来を前に、今年1月に実行委員会が、3条通での露店の廃止を決定した。スタッフの高齢化が最大の原因だが、露店側は同じ期間中、市内の他の場所での開催を目指すとしている。

800㍍に300店余
 毎年7月20日から22日にかけて開催される「上川神社祭」。本誌ではこれまで、神幸式(みこしパレード)のあり方に関する記事を何度か掲載してきた。その神幸式と並ぶイベントが「露店」。多くの市民にとっては、この露店こそがお祭りの主役かもしれない。
 護国神社祭で多くの露店が常磐公園内に並ぶのに対し、上川神社祭では古くから3条本通りの中央橋通りから大雪通まで(13丁目~18丁目)まで約800㍍の区間に300余りの露店が軒を連ねてきた。
 悪天候にさえならなければ、期間中、会場は多くの人で賑わう。浴衣姿の男女も多い。フランクフルト、焼きそば、おでん、わたあめなど、祭りだからこそ食べたくなるフードを頬張りながら歩く人も。「型抜き」は祭りの日しか体験できない特別な時間だ。
 ところが、少なくとも3条通では、今年の夏から露店が出ないことになった。地元住民で作る実行委員会は関係者に配布した文章の中で、以下のように説明している。
 「毎年7月20日~22日に開催されております上川神社祭の露店出店の件でございますが、約50年前に誘致され現在に至りますが、時代の変化に伴い市中心部での開催が難しくなってきておりました。十数年前よりいっそう厳しい状況となっておりましたが、3条通りの沿線の皆様のご理解とご協力により、続けてこられました。実行委員会でも改革などに努力、苦慮しておりましたが、実行委員会の高齢化も伴い、どうにも展望が見えなくなり、露店の出店の廃止策をとらざるをえないこととなり、実行委員会で何度か協議を重ね、昨年9月には大成地区の各町内会長にお集まりいただき説明会を開催し、同11月には露店側の役員との協議を行い、結果、平成30年1月に今年度より3条通りでの『上川神社祭の露店出店」を廃止する確約が成立いたしました」
 これまで露店設置のため奔走してきた実行委員会委員長の宮口幸治さんは、寂しさを表情に浮かべながらも、長年の懸案が解決したことでほっとした様子だ。

迷惑駐車も発生
 もともと上川神社に向かう参道で行われていた臨時露店が3条通に場所を移したのは今から約50年前のこと。以来、大成地区市民委員会と銀座商店街振興組合から構成される実行委員会が運営にあたってきた。
 実行委の仕事は多岐に渡る。道路通行止めに関する警察との交渉、警備員の手配、ごみ処理、露店関係者が備品を載せてやってくるトラックの駐車場所の確保…。かつては大成地区にも多くの若者が住んでおり、また露店の開催で地域の商店街全体が潤ったことから、多くの人が協力した。ところが、時代とともに祭りを囲む環境が変化し、開催は年ごとに困難になっていったという。

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この続きは月刊北海道経済2018年5月号でお読み下さい。
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