旭川赤十字病院医師のあきれた言い草

 ケガをした患者は痛みを感じるもの。大ケガした患部を動かされれば声を上げるのが当然だ。ところが旭川赤十字病院(日赤)では、柔道の練習中に負傷して受診のため訪れた女子中学生の患者が「痛い」と叫んだ直後、担当した医師が「痛いんだったら見れないわ。帰ってもらいな」と告げてどこかに消えてしまったという。いったいどうなっているのか──。

呆然とする患者と看護師
 優しい医者、厳しい医者。「腕」が変わらないなら、誰でも優しい医者を選ぶはずだ。一方、不愛想で時に患者を叱る医者が多くの患者を集めていれば、それは信頼の証だとも言える。ただ、患者に無意味なほど厳しく、すでに負傷している患者の体をさらに傷つけそうな医師や、そんな医師が勤務している医療機関があるとすれば、敬遠したほうが良さそうだ。
 1月29日の夜、旭川市内に住む中2の女子、Aさんが母親に伴われて旭川赤十字病院を訪れた。通常の診療時間はとうに過ぎていたため、救急センターに向かい、受付を済ませた。
 Aさんはその直前、柔道を練習している最中に右肩に強い痛みを感じた。日赤でまず対応したのは研修医らしき若手の医師と看護師が1人ずつ。担当の医師が来るまでしばらくかかるので、待っているよう告げられたが、その間、研修医と看護師は痛みに表情をゆがめるAさんに優しく声をかけ続けた。
 約15分後、ようやくK医師がやってきた。その表情や歩き方から、母親は「ドラマで観るような虚栄を張った医師のよう」と瞬間的に感じたという。
 K医師は、Aさんの腫れあがった肩を見ず、イスにも座らずに決めつけるように言った。「骨折れてないから大丈夫だわ」。次の瞬間、Aさんの右手をつかみ、「上がらないのかい」と尋ねた。Aさんが驚いて答えられないでいると、いきなりAさんの腕を上に引っ張った。激痛を感じたAさんが「痛い痛い」と叫ぶと、医師はAさんの手首を放し、「痛いんだったら見れないわ。帰ってもらいな」と看護師たちに指示し、茫然とするAさん親子を残してどこかに消えてしまった。周囲には研修医や看護師など数人がいたが、いずれも唖然とした様子で、異口同音に「ありえない」と語っていたという。同時にAさん親子には平謝り。しかし母親は「あなたたちは悪くない。あの医師をここに呼んできて」と求めた。男性の看護師が追いかけるように走って行ったが、結局、K医師は戻ってこなかった。母親がその場に残った看護師らに「いつもこうなんですか」と尋ねたところ、うなずく人もいたという。
 実は、Aさんの母親も旭川市内の医療機関に勤務している。勤務先の医師の中には患者に対してこのような態度をとる人はおらず、だからこそK医師の行動を許すことができなかった。

「副院長から注意させます」
 Aさんはその後、当直ではないがたまたま院内にいた別の医師の診察を受けて、痛み止めを投与され、点滴も受けてから帰宅した。翌日、別の医療機関に行き、「右肩関節亜脱臼」と「腋窩神経麻痺」で全治3ヵ月との診断を受けた。2月19日現在も腕が上がらない状態が続いている。
 母親は日赤の医師への怒りがまだ収まらない様子。本誌の取材に対して、「私が付き添っていてもK医師はあんな態度だった。もしも娘が一人だけ受診していたら何も言えなかったはず。あんな医師が一人いるだけで日赤のイメージが下がってしまう」と語る。
 後日、母親が日赤に電話を入れたところ、総務課から「報告は受けている。副院長から注意させます」との説明があった。母親は内々で済ませるのではなく、この事案について全職員で情報を共有するよう求めたが、総務課から前向きな答えは得られなかったという。
 昔ながらの怖い「先生」は少数ながら今も残っているが、それは「先生の言うことを聞いていれば治してくれる」と患者が信じているからこそ。Aさんの母親が語る経緯からは、医師のプロとしての技量も意識も感じられない。
 Aさんが強い痛みを感じていたこと、右肩が大きく腫れていたことから考えて、医師には大けがを予測できたはずだ。にも関わらず、「持ち上げますからね」「痛かったら言ってくださいね」といった言葉をかけることなく、いきなり痛みのある方の腕を持ち上げようとするとは、いったいどういうことなのか。挙句の果てに「痛いなら診れない 帰ってもらいな」と告げたとすれば、常識では理解できない。

「個人情報保護」理由に取材を拒否
 以上は、Aさんの母親が本誌に語った経緯。日赤ではこの問題についてどう考えているかを尋ねるために取材を申し込んだが、「問題の医師には厳重注意処分を行った。それ以上は患者の個人情報に関することなので取材には応じられない」(総務課)。本誌は「その患者の母親が取材に応じている。個人情報保護を名目に取材を拒否するのは不当なのではないか」と尋ねたが、日赤の姿勢は変わらなかった。

表紙2004
この続きは月刊北海道経済2020年04月号でお読み下さい。