西尾林業工場跡地にコープ宅配センター

 西尾林業㈱(遠軽町)旭川工場跡(旭川市北門町19丁目)の一部に、コープさっぽろの宅配事業「トドック」の配送センターが新築される。すでに工事は始まっており、10月完工、11月上旬稼働予定になっている。コープの宅配事業は年々伸長しており、新型コロナの影響で「家庭内消費」が好調なことを追い風に、さらなる売り上げ増を狙っている。

コープだからできた宅配事業
 コープさっぽろ(札幌市)は、売上高において道内でアークスグループ、イオン北海道に次いで3位。2019年3月期でみると、民間企業の売上高にあたる事業高は、2834億3516万円。内訳は、店舗が1889億3583万円(66・7%)、宅配事業867億3610万円(30・6%)、共済事業18億5118万円(0・6%)、その他59億1204万円(2・1%)となっている。実に全体の3割余りを宅配事業で稼いでいることになるが、同業他社でこれだけの比率で宅配事業で稼いでいるところはほとんどない。
 高齢化が進み買い物に出かけることが難しい人が増えていることや、買い物の時間がとれない共働き世帯が増え、宅配事業はどの食品スーパーも注目しているが、これまでなかなか実現することができなかった。その大きな要因として挙げられるのは、専用の宅配センターやトラックなどの初期投資、人員(ドライバー)確保や会員募集の手間や手続きなどの煩雑さ。
 コープさっぽろで宅配事業がスムーズに進んだのは、組織形態が一般的な民間企業とは違い、組合員からの出資金で成り立っていることも要因の一つ。宅配事業は、組合員からの要望で進められてきた経緯があったからだ。
 過去にコープさっぽろは、存続の危機にさらされた時期があり、それを乗り越えることができたのは、無農薬やオーガニックなどといった品質の高い品ぞろえを重点的に行い組合員の支持を得たことが大きい。薄利多売と言われる食品スーパー業界において、初期投資と手間のかかる宅配事業には挑戦しにくい。それでも敢えて組合員の要望に応えることができたのは、コープさっぽろならではのことだ。
 しかし、最近はインターネット通販が盛んになり、店舗販売を脅かしている。危機感を持った小売業は、店舗で購入された商品を自宅まで配送してくれるサービスを含め、宅配事業に力を入れるようになってきた。

配達量の増加でセンターを新設
 現在、順調に業績を伸ばしているコープの宅配事業だが、旭川地区に目を向けると、市内東光にある南センターと永山にある北センターは、宅配する量が年々増加して施設が手狭になっている。
 宅配事業本部旭川地区によると、「商品の供給がここ20年で1・7倍に伸長している。それにつれて商品の積み込みは車両を2回転するなど施設が手狭になっている」。センター新設の必要に迫られていたというわけだ。
 新たなセンター建設は、市内北門町18丁目と19丁目に跨る西尾林業旭川工場跡の約4割の土地を賃借する。土地の面積は約1800坪。センターの延床面積は約400坪。すでに工事は始まっており、10月完工、11月上旬の稼働を目指している。施工業者は帯広市に本社がある宮坂建設工業㈱。
 この場所には以前、イオン北海道のディスカウントスーパー「ザ・ビッグ」が進出するのではないという噂が業界内であったが、近くにイオンモール旭川西店がドンと構えていることから、この情報は実現することなく単なる噂に終わった。
 今年に入ってから、全国大手の旅行代理店がホテルを建設するのではないかという噂もあった。実際、旅行代理店の社員が同地を制服姿で視察に訪れている光景を見た市民がおり、信ぴょう性が高いのではないかと見られていた。ところが、新型コロナウイルスの影響なのかは不明だが、この計画も立ち消えになってしまった。

成長する宅配市場でさらにシェア拡大
 そうこうしているうちに3月に入り、ある食品スーパー大手幹部から「コープさっぽろが新たに宅配事業のセンターを建設する」という情報が寄せられた。5月中旬、現地を視察したところ、北門町18丁目側の土地の整備が進み、古くなって使われていない倉庫も解体されようとした。
 現場にいた施工業者、宮坂建設工業の社員は「近々建物の工事が始まる。10月末までに完成させて、センターの稼働は11月に入ってからと聞いている」と明かしてくれた。
 センター新設について、コープ旭川地区の担当者は次のように目標を説明する。
 「コープさっぽろの2020年3月期は、宅配事業が前年比102・7%の約890億円だった。事業高に対する宅配のシェアは3割を超えている。一方、旭川市内において事業高に占める宅配事業のシェアは現在16・7%。それを23年度に20%まで引き上げる目標を掲げている。宅配事業は今後も伸長すると想定して事業を進めていく。また、配送センターに『トドックステーション』を併設し、コミュニティスペースを提供することで地域に根差した施設を目指している」