旭医教授選 想定外!同門から2人が立候補

 旭川医科大学(吉田晃敏学長)第三内科の主任教授で、5年ほど前に市内の民間病院と〝謝礼金〟をめぐるトラブルで話題を振りまいた高後裕氏がこの3月で退官することから、後任の主任教授を決める選考委員会が間もなく開かれる。教授候補に応募してきた複数の人の中には、6年ほど前に女子医学生へのセクハラ問題が取り沙汰された人や、第三内科の高後体制に問題意識を持っていたとされる人もおり、医大内はもとより外部の医療関係者らからも注目される教授選となっている。

最大の同門会員数 伝統ある第三内科
旭川医大教授選01 旭川医大の内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野は通称「第三内科」と呼ばれており、1972年4月の同大開設とともに故並木正義名誉教授によって創設された。
 並木名誉教授は17年間にわたって第三内科の科長として医局員の育成と指導にあたり、全国の消化器内視鏡学会のリーダーとしても活躍、旭川医大第三内科の名前を全国に高める役割を果たした。
 同教授の退官後、1994年12月に2代目教授に就任したのが高後裕氏。並木教授が築いた伝統ある医局を引き継ぎ、以来20年間にわたって消化器、血液腫瘍内科学に関する高度な知識を持った医師、医学研究者を養成してきた。
 この医局に所属した医師たちは旭川医大や市内の医療機関、そして全道、全国に広がっている。同門会員数も300人を超え、旭川医大最大の同門会となり〝旭川医大に第三内科あり〟として高名を誇っている。
 その、2代目教授の高後氏が今年1月16日の誕生日で65歳を迎え、定年退官することになり、今年から後任教授の全国公募が始まり、2月末で応募が締め切られた。今後は学内の手続きを経て、学長や副学長、教授会構成員らによる教授候補者選考委員会によって投票が行われ、数人を選んで教授候補者として推薦することになる。
 今年は旭川医大で2人の教授が退官することになっており、他の医局でも後任の教授選びが行われるが、何と言っても注目は、最大の同門会員数を誇る歴史と伝統の第三内科なのである。

身内から2人が名乗り
 いかに伝統ある第三内科の教授選といえども、なぜこれほどまでに注目されるのか。全国公募で教授候補に応募してきた人物名の公表は行われていないが、伝え聞くところ応募者数は少なくとも4人。そのうち2人は旭川医大内からの〝立候補者〟だというのである。
 しかもこの大学内の2人はともに第三内科の同門。旭川医大の教授選では、同門の中から複数の教授候補が出ることは珍しいことで、通常は前任教授が調整し、1人に絞ってから選考委員会に臨むのが一般的とされている。
 旭川市内の複数の医師はこう話す。
 「普通なら、高後教授のメガネにかなった医局内の准教授が立候補して、他の大学などから応募してきた人と選挙で争い、身内の優位性を生かして当選し、前任教授から医局を引き継ぐという形になるのですが、今回は身内から2人が立候補した。医局の体制をめぐる、やむにやまれぬ理由があったのではないか」
 別の医師は、この辺の事情を次のように推察する。
 「第三内科から立候補している准教授は、高後教授のもとで医局を支えてきた医師としての能力も高い人だ。しかし、6年ほど前に女子医学生、ナースらへのセクハラ問題が取り沙汰されたことがあり、吉田学長も頭を痛めていた。そして高後教授は、この准教授を任命した責任がありながら、頬かぶりした。准教授もいまはもう反省して真面目になったようだが、この種の問題に時効はない。今回、異例なケースとして同門から立候補した人も、高後体制に疑問を持った可能性があるのではないか」

表紙1504
この続きは月刊北海道経済2015年4月号でお読みください。
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!