北彩都シンボル施設公募に道外企業参加

 西川将人市長が公約に掲げた旭川のシンボル的施設建設を目指している北彩都市有地に、ようやく買い手がつきそうだ。保養と食、医療をテーマに掲げた複合施設が建設される構想で、道外大手と旭川の企業がジョイントし計画を進める。利用者は市民だけではなく、道内外や海外からの観光客も対象とし、市では国から認可を受けたプラチナシティ構想を体験できる第一弾としたい考えだ。

購入条件を大幅に緩和

kitasaito 1996年10月、北彩都あさひかわ地区の土地区画整理事業が開始された。2010年11月には市長2期目を目指した西川市長が、同地区の中にシンボル的施設を建設する構想を公約に掲げて当選した。11年3月には、旭川市中心市街地活性化基本計画が国に認定され、シンボル施設を賑わい創生の拠点と位置づけ、同年9月、有識者らによるシンボル施設懇話会が設立。12年3月、この会で示された5つの案を元に公募の手法などが検討され、13年7月に公募が開始された。

 ところが、同年10月28日の締め切りまでに応募した業者は皆無で、締め切りを半年間先送りして翌14年3月28日としたにもかかわらず、応募はなかった。JR旭川駅から徒歩数分の一等地にありながら、応募者すら現れなかった理由について市では、「土地が広すぎたことに加え、シンボル的施設建設という縛りが敬遠された原因ではないか」と分析した。

 そこで市は、土地を一括だけでなく2分割して購入できるよう、しくみを変更した。さらに、施設懇話会から答申された5つの案に関して「あくまで参考であり、イメージと異なる提案について却下するものではない」という注釈を盛り込み、条件を大幅に緩和した。

 この土地は、総面積が1万7496・35平方㍍。最低処分価格は初回の公募より約1割値下げして平方㍍単価4万7700円、8億3457万5000円とした。分割での購入は、西側を1万2078・23平方㍍(残る東側5418・12平方㍍)、もしくは東側を12263・02平方㍍(西側523・33平方㍍)として、いずれも広いほうの最低処分価格を5億7000万円台に設定した。

「万全の体制」で2度目の公募

 2度目となった公募は、昨年11月の市長選が終わったあとの12月12日から開始され、今年8月31日を締切日とした。市長選がなければ、もう少し早い時期から公募する予定だったが、西川市長が2期目に引き続き3期目も公約として掲げる重要案件のため、万全を期して臨んだ。本来、北彩都地区の市有地を販売する市の部署は都市建築部北彩都事業課だが、市の中枢の部署である総合政策部の政策推進課が受け持ったことに、市の意気込みが表れていた。

 公募期間中の今年5月27日に、市は現地の視察・説明会を開催。参加した企業は、道内外合わせて9社、12人。業種は建設業4社に金融機関2社、設計業2社、建設関係の財団が1社。9社の中で道外企業は、金融1社と建設2社、設計1社の計4社。現地を視察した後、市職員とのやり取りでは、特に突っ込んだ質問はなかった。

 記者はこの視察に同行したが、参加企業関係者はあまり関心を持っていないように感じた。とはいえ市では「周辺にどんどん建物が建設され、人の流れが生まれてきた。建設中やこれから建設されるものもあり、これまでと違った結果になるのではないか」と期待を寄せていた。

 このような経過をたどり8月末の締め切りを迎えたが、市のある幹部は「少なくとも道外企業の1社が手を挙げている。具体的な企業名は言えないが、保養や医療、食をテーマにし、地元旭川の企業がジョイントして計画を進める意向だ。土地は一括して購入する」と明かす。

 企業名がはっきりしないため、ここからは推測になるが、これら3つのテーマから真っ先に思い浮かぶのは、道外や海外から訪れる富裕層向けの観光客を対象にした医療ツーリズムだ。日本医師会や地方の医師会が、混合診療につながるなどと警戒して原則的反対の態度を示しているが、旭川ではすでに実践している医療機関もある。

表紙1510
この続きは月刊北海道経済2015年10月号でお読みください。
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!