佐々木隆博前衆院議員を、夏の参院選比例代表に擁立する動きが民主党内で急浮上している。与党自民党安倍政権がTPP(環太平洋連携協定)交渉参加を表明する中、反対する農業票の受け皿としての期待。佐々木が参院選へ鞍替えするとすれば、来秋の旭川市長選、また次期衆院選に大きな影響を及ぼすことになる。(記事は5月8日現在。文中、敬称略)
農政通で売る
「佐々木前議員を民主党が参院選比例代表へ擁立する動きを見せている」という〝第一報〟は、4月上旬の一部新聞報道で明らかになった。この時点で安倍首相はすでにTPPへの交渉参加を表明しており、道内の農業関係者からは「自民党の公約違反」を指摘する声が相次いでいた。
このため、すでに道選挙区(改選数2)から民主党の公認候補として、4選を目指す小川勝也を擁立することは決まっていたが、参院選の比例代表でも「TPP反対」を明確に打ち出す候補を擁立することになった。〝反自民〟の農業票を獲得する選挙対策である。参院選は7月4日公示、21日投開票の日程が予想されている。
そこで候補として浮上したのが佐々木。佐々木は2005年の衆院選で道6区から佐々木秀典の後継として、道議を辞職して出馬。このときは自民党の小泉首相が『郵政改革』を訴えて衆院解散に打って出た戦いで、自民党に追い風が吹いていた。佐々木にとって強烈な逆風だったが、初挑戦ながら14万票を超える大量票を獲得して初当選を果たした。
当選後すぐに衆院の農林水産委員会の委員として活躍し、『農政通』として知られるようになった。そして2選を目指した2009年の衆院選では17万5千票を上回る大量票を獲得して再選。菅内閣では農林水産大臣政務官に就任したほか、民主党内でも農林水産部門会議の座長としてめきめき頭角を現した。昨年6月からは野田内閣で農林水産副大臣として、TPP参加に慎重姿勢を明確にし、党内で存在感を示していた。
これらの経歴もあって「TPPの経過などを熟知しており、道内外の農業関係者と信頼関係が築かれている」と高く評価されて、参院選比例代表からの擁立という動きになったのである。
(続きは月刊北海道経済2013年6月号でお読みください)