詐欺事件で犠牲になった上宮寺が10年かけて再興

 03年4月に発覚した市庁移転問題(サンライズビル問題)をきっかけに設置された旭川市議会百条委員会で、市内神居にある聖徳山上宮寺の敷地内に高齢者優良賃貸住宅(高優賃)を建設する計画が問題視された。画策した首謀者らの失敗によりその計画は頓挫したが、その後、同寺の堀切尚道住職が死去して10年以上も廃寺同然の状態が今日まで続いていた。ところが今年に入り、尚道氏の妻や檀家らが協力して移転に向け動き出した。長く納骨堂に放置されていた遺骨も、ようやくきちんと供養されることになりそうだ。

見るも無残な有様
聖徳山上宮寺は、1922年(大正11年)8月、堀切広道氏が市内10条10丁目に聖徳太子鑽(さん)仰の目的で上宮教会を設立したことから始まっている。その後、市内宮下通、現在ある市内神居1条1丁目へと移転を繰り返してきた。
ところが、13年前に先代の堀切尚道住職が死去した。その妻、堀切千恵子氏が住職として寺を管理していたが、女手ひとつではままならず、ほとんど廃寺の状態になっていた。本堂の納骨堂に納められていた遺骨およそ50体(現在は檀家が減り20数体程度)も、放置された状態が長く続いていた。年々少なくなっているとはいえ檀家からは、その行く末が不安視されていた。
同寺の近くを走る国道12号に架かる旭川大橋の欄干から見ると、寺の屋根はトタン板が剥がれ、見るも無残な姿をさらけ出している。屋根中央にそびえたつ相輪も心なしか寂しさを漂わせている。「寺本体が古くなり、相輪を支える土台も心配。もし倒れるようなことがあり周辺の方々に迷惑をかけることがあったら大変だ」(堀切千恵子住職)
寺の境内も普段から人の出入りがない様子で、本堂に入る崩れた階段や、締め切ったままの庫裡はみすぼらしい。
そこで、今年に入り現住職の堀切千恵子氏が、この寺の本山、真宗誠照寺派誠照寺(じょうしょうじ・福井県鯖江市)へ、移転を含めた寺の再興を申し出た。誠照寺によると「千恵子氏は、前住職の尚道氏が亡くなった後、得度して住職を引き継いだ。そして、今年に入り何度か移転を含めた相談を受けていた」という。

(続きは月刊北海道経済9月号でお読みください)

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!