訪問診療報酬改定で医療機関に大打撃

 今年4月に行われた診療報酬改定で、訪問診療報酬が前年比で75%の減算となった。旭川でも、患者数の減少に対応して訪問診療の比重を高めていた医療機関が打撃を受けている。一部の医療機関は、訪問診療の「ドル箱」とも言われる老人施設へバックマージンまで支払って診療先を確保していたが、大幅減算で先行きの見えないところも出てきた。

老人施設はドル箱
 厚生労働省が高齢者の医療費増加に歯止めをかけるため打ち出した今年度の診療報酬改定が、波紋を広げている。改定の中で特に医療機関が頭を抱えるのは、在宅患者の訪問診療。同一建物居住者への在宅患者訪問診療報酬が引き下げられ、前年の診療報酬と比べて75%もの減算となった。
訪問診療 「同一建物」とは、マンションや施設など共同住宅のことを指しているが、今回特に大きな影響が出ているのが老人施設だ。訪問診療先の中で大きな比重を占めている老人施設は、これまで医療機関から見れば「ドル箱」だった。月2回程度の訪問診療で、一人当たり約6万円の報酬を得ることができたといわれる。施設の規模にもよるが、旭川市内の老人施設では平均20人程度が入居していることから、1施設で1ヵ月120万円の報酬を得ることができる計算になる。複数の施設で訪問診療を展開する医療機関であれば、その額は相当なものになる。
医療機関も老人施設も淘汰の時代が来る
 訪問診療には、基本診察料(初診料や再診料、往診料)以外に管理料と呼ばれる料金がある。管理料は点数が高く、訪問診療を行う医療機関の中には、「管理料目当てに訪問診療を行うところが多かった」(市内のある医療機関)。管理料の大幅な減算は、厚労省が目指す「医療機関の不適切な事例の排除」につながると期待されている。
 このような見方に異を唱える医療機関もある。
 「個々の医療機関の良し悪しを考えず、減算の対象をすべての医療機関に適用するやり方は机上の空論に過ぎない。早くから在宅医療にに取り組み、できる限り患者を最期まで自宅で看取ることに力を入れている医療機関と、単に金儲けだけで訪問診療を行っているところをいっしょにされたくない」

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この続きは月刊北海道経済2014年12月号でお読みください。
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