全国各地の厳選フルーツ やおもり果実専門店

 果実と生産者をこよなく愛する店主〝くだもの界のさかなクン〟こと、森大介さん(32、左下写真)。「日本の極み果実」と称して、全国各地から800種類以上もの厳選フルーツを取り寄せて「本当においしいものを価値観を共有できる生産者を介し提供しています」。その名も「やおもり果実専門店」。店舗を構えるのは旭川市緑が丘の中央ストアー内で昭和レトロ漂う味わいのある複合商業施設だ。(文中敬称略)

一品一品に込めた想い 価値相応の価格で提供
 冷蔵機能を兼ね備えた商品棚には日々、季節に応じた〝スペシャル感〟満載の豊富なフルーツが一堂に並ぶ。シーズンが到来した「みかん」でも「一品一品に込められた生産者の想いを大切に、価値相応の価格で美味しい・美しい絶対的満足感を果物を愛する方々に」と森が信じるこだわりに揺るぎはない。みかんを勧めるにしても彼ならではの流儀があるようだ。
 自分が食べておいしいみかんは言うに及ばず。「とにかく酸味がなくて甘いみかんが好きな人、やっぱりみかんは酸味があってほしい人、甘みも酸味もあって、とにかくジューシー、果汁が凄いみかんを求める人」など好みのタイプを見極めて日々、常連客に寄り添う。
 イチゴについては柔らかくて甘いもの、甘酸っぱいもの、口の中に香りが広がるイチゴといった特徴づけからリクエストに応えていく。それぞれ森自身の目利きが問われてくる場面でもあるが、「甘いイチゴに飽きた人には、酸味があるイチゴ、それから口の中に香りが広がるイチゴを欲しがる傾向があるようです」。
 人気を博するシャインマスカットのおいしさの見極めとして「ブルーム」と呼ばれるものがある。「くだものが自分の身を守るため噴き出している白い粉の成分。このブルームがあればあるほど、香りを残しており味自体まんべんなく完成されていくのです」。一房700グラム以上、一粒が25グラム以上のプレミアムシャインマスカットなどスペシャル感のある話題沸騰フルーツのおいしさを見極める上でも一つの判断基準になるそうだ。
 メロンについても森は一家言ある。森によるとメロンには「えぐみ」があるが、これは農薬等に含まれる硝酸に起因するところが大きい。えぐみのあるメロンには森いわく「すっぱにがい」(「酸っぱい」と「にがい」を掛け合わせた造語)味が感じられるだけでなく「舌に膜を張ったような感覚」になる。このため、おいしさをトコトン追求する生産者が目指すのが「えぐみのないメロン」づくりだ。森はしばしば目先の利益にとらわれず理想のフルーツづくりに極端なまでに心血を注ぐ生産者を親しみを込めて〝変態〟と呼んでいる。これら変態生産者たちは味を追求するだけでなく「見た目の大事さ」にもこだわりスペシャル感に満ちたフルーツづくりに余念がない。だからこそ森(本人も自称〝変態〟)はアーティスト的な彼らに特別な思いを寄せる。

実は〝果物アレルギー〟「ドクターⅩ」のように
 そんな〝くだもの界のさかなクン〟ではあるが実は、「果物アレルギー」。リンゴにサクランボほかプラム、洋ナシといったバラ科に関連したアレルギーだがイチゴは大丈夫だという。それでも試食の際には「食べてかゆくなる」というから一定の忍耐力を要するそうだ。野菜や料理嫌いも自認。まな板を使いたくない、のも森ならではの持論で「手を加えなくても美味しいのが果物」と話す。
 やおもり果実専門店は2020年8月、八百屋として創業。22年に果実専門店にリニューアル。果物の詰め合わせ、フルーツギフトなどを中心に販売展開している。信頼のおける市場担当者とのパートナーシップで全国に点在する産地の生産者から商品を取り入れる。いずれの商品についても自ら味を確認しながら、季節に応じた商品ラインナップを組み、作り手の思いを代弁し、フルーツごとの個性を引き出す。
 「かつて高級フルーツとされていたものが当たり前のようにつくられ、いろんな産地でいろんな生産者がクオリティーや内容は別としてつくっています。こうした中でもブランドを守りたい人はしっかり味わえるものをつくっており、そうしたロマンを追いかけ情熱を持った〝変態〟で、宝石のような生産者を大事にしていきたいのです」。
 ところで人気のテレビドラマ「ドクターⅩ」で天才ドクターの主人公が難手術を成功すると、桐箱に入ったメロンが贈られる。フリーランスの主人公にとっても大変有難い話であるが、森が心がけているのも往々にして贈られて嬉しくなる血の通ったスペシャル感あふれるフルーツを誠意を持って提供し、生産者にも消費者にも喜ばれる〝元祖おもてなし〟とも形容できるに違いない。

やおもり果実専門店のウェブページはここをクリック

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