開設から34年の歴史を持つ旭川市夜間急病センター(金星町1丁目、以下急病センター)は現在、旭川市医師会が旭川市から指定管理者として運営を委託されている。ただ、これまで医師や看護師の確保に苦労したことが度々あり、市立旭川病院など市内の大型病院へ運営を任せるべきとの声が高まっている。今のところ手を挙げる病院はなく、市としては市立病院に運営を委託する方向で検討せざるを得ない状況になっている。現場の医師からは反対の声も上がり、今後の行方が注目される。
82年から続く体制
旭川市の緊急医療体制が整えられたのは1972年6月。市内の任意登録医による在宅当番医制で夜間の急病診療を担った。77年4月からは市消防本部に急病テレホンセンターが設置され、同年8月には夜間および休日の診療が在宅当番医制、特殊診療科目オンコール(待機)制を取ってきた。
そして5年後の82年、急病センターが現在の金星町1丁目に開設され、旭川市医師会が指定管理者として市から業務を委託された。診療科目は内科と小児科で、診療時間は年間を通じて毎日、午後10時から翌朝8時までとなった。重症の二次や重篤な三次の患者の夜間診療は、市内の公的医療機関が輪番制で行う。急病センターは市保健所が管轄している。
以上のような経緯をたどり現在に至っているが、この体制は5年前に常勤の医師が退職し、ピンチを迎えた。すぐに替わりの医師が見つかり事なきを得たが、医師や看護師の確保が今も綱渡り状態であることに変わりはない。医師会と市の間では、急病センターの指定管理者について2015年に改めて5年契約を結んでいるが、事あるごとに急病センターの運営について「医師会からは相談を受けている」と、市保健所では説明する。
急病センターのスタッフは毎日、医師1人と看護師2人、事務担当1人の体制で運営されている。スタッフの休日を考えるとその3倍の人員を確保しなければならず、夜10時から朝8時までという勤務時間が影響してか、必要な数の人材を確保することが難しいのが現状だ。3人いる医師は、常勤が2人、残る1人は3日に1回の割合で市内の大手総合病院からの派遣でまかなっている。人件費や管理費など経費は年間1億円かかるが、これには市からの予算が充てられている。
五大病院が受け皿?
保健所としては、安定した運営ができるよう市立旭川病院をはじめとする市内五大病院(旭川医大病院、厚生病院、日赤病院、旭川医療センター)へ、急病センターの運営を任せたいという思惑がある。一定の利用者がいるため急病センターを閉鎖する考えはないが、五大病院に運営を移管するには、医師と場所の確保が必要になる。
この続きは月刊北海道経済2017年1月号でお読みください。