「医療の街」にもこれだけいる「モンスター患者」

 「何時間も待ったんだからタクシー代を出せ」「順番を後にされたから診療代は払わない」───。病院で医師や看護師に理不尽な要求やクレームをつける「モンスター患者」が医療の街・旭川でも後を絶たない。医療現場から聞こえてくるのは「もはや日常茶飯事。まともに対応していたらこちらの身がもたない」というため息混じりの声。

「タクシー代を払え」
「モンスター患者は1日に数人は必ずやってくる」とあきらめに近い表情で話すのは旭川市内で民間病院を経営するA氏。救急の患者が多いA氏の病院は規模が大きく、待ち時間が長くなることもしばしば。しびれを切らした患者が診察室に入るやいなや、「何時間待たせるんだ」と怒鳴り散らす姿は珍しくない光景だという。
「こんな患者は今や当たり前。平気で医者を『お前』呼ばわりするし言葉づかいも悪いが、もう慣れっこ。医局の仲間で集まるとこうした患者の話で持ち切りになる」と話す。
医師や看護師に無理難題を押し付けるモンスター患者はもはや珍しくない存在だ。医療現場では暴言や暴力を繰り返したり、理不尽な要求やクレームをつける患者が後を絶たず、心理的なストレスから休職、離職する医療従事者も少なくない。患者側の行為がエスカレートして警察沙汰になるケースも起きているほどだ。
「医療の街」と呼ばれる旭川は多くの医療機関が点在するだけに、モンスター患者にまつわる話は枚挙にいとまがない。A氏はこんな驚くべき実態も語ってくれた。
「救急車で朝の8時前に患者が来た。それほど具合が悪い様子ではなかったので理由を聞くと『朝一番で診察をして欲しいから救急車を呼んだ』と言う。明らかに救急のケースではないので説得して通常の診療時間まで待ってもらい最初に診察をしたが、帰り際に『救急車で来たのに待たされた。帰りは救急車で送れ。それが出来ないならタクシー代を寄こせ』と要求してきた」

(続きは月刊北海道経済11月号でご覧ください)

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